昨年末に出版された本。元HPのCEO、カーリー・フィオリーナ。彼女のサクセスストーリーを読みたいというより、巨大企業の頂点を極め、そして、おそらく本人の望まざる形でその座を退いた人間が、現在どのような心情でいるのか、当時について何を語り、そして約3年前のあの時一体あの企業に何が起こっていたのかを知りたくて購入。『私はこうして受付からCEOになった』という自己啓発コーナーにありがちなタイトルは、どうやら日本が後から付けたものらしく、原題は『Tough Choices』。こちらのタイトルの方が的を得ている気がする。終盤、彼女が退任に追い込まれる件の泥沼っぷりは読んでいるこちらが苦しくなるほどで、翻訳書とはいえ明らかに彼女も感情的に記述していると見受けられる箇所もあり、誰も信じられない状況下において彼女の記述もどこまで信じて良いのか、自身を正当化する為の手段としての出版なのではないだろうか、などと憶測してしまう瞬間もあった。とはいえ、約15万の社員のトップを経験した口から語られるリーダーシップ論は学ぶべき点が多く、本当ならこの手の本は1・2日で読んでしまうのだが、久々にじっくり時間をかけて読みかえしつつ読む本となった。



私はこうして受付からCEOになった/カーリー・フィオリーナ