前回、著者である伊藤たかみさんの本のブックレビューを書きましたが
今回は、芥川賞受賞作である「八月の路上に捨てる」です ↓
実は、ワタシはもともと「●●受賞作」「ベストセラー」「話題作」と
オビやTV、ネットで紹介されているものは余り手にしない人
というのは、本屋が好きで
たーくさんあるジャンルや本の中から「これっ!」というものを探し
だす事が好きだからだ
なんで話題作とかベストセラーというのはその時は興味もないし
買おうという気もならず、何故かブームが去ったあとに読むという人
でも、今回の「八月の路上に捨てる」は実はTVで紹介されていて
その内容に「ちょっと読んでみようかな」という気になった
このストーリーは、30歳前の男性が妻と離婚をする、という時に
職場の「なんでも話せる人(女性)」に離婚する経緯、過程を言う形で
展開されている
主人公(夫)と妻は互いに目標があり、結婚
妻は願っていた編集という仕事につくも、人間関係が基で仕事を
辞めてしまう
脚本家を目指している主人公は、なかなか芽が出ず、夫婦食べて
いく為もあり、配送のアルバイトをする
そして日に日に、夫と妻の「価値観の違い」が生まれてしまう
ちょっとした事で各々が反応して腹がたったり、言い合いになる
ちゃんと話し合おうとしても、片方がそれを拒む
そうした状態が何度も続いたのち、主人公はふと
「どうして離婚ってことに気づかなかったのだろう」という考えに
向かいます
これは単なる夫婦の離婚までの話なんだけど
夢もって東京にいるが、なかなか実現しない難しさ、現実の厳しさ
人間関係や思うようにいかない現実を受け止めながら
夫婦の夢が壊れ、互いを傷つけあってしまうようになる寂しさと哀しさ
修復しようにもしきれなくなってしまい、心がどんどんと荒んでしまう姿
を淡々とした文体ながらも描かれていると思ったし、離婚することって
夫婦のかたちによるんだろうけれど、苦しくて、やりきれなくて、辛くて
という気持ちが表現されていたかな
はっきりいうと壮大なストーリー、という訳じゃないので
そういう思いで読んでしまうと「もう終わり?」と物足りなさを感じるかも
しれません
でも、これが現実っぽいし、伊藤さんらしいさらっとした文体なのかも
次はどんな作品がでるのか、可能ならば恋愛ものも読んでみたいな
と思ってしまった