11/14 坂崎出羽守・沓掛時次郎 | Sleepless Town - in Tokyo-

11/14 坂崎出羽守・沓掛時次郎

いつもと違う設定が多かったです。

・新歌舞伎なので、定式幕がない。

・暗い場面が多い、セリフが少ない(2演目とも)

・主人公は薄幸。惚れた女に振られたり、死なれたり。

 

 

坂崎は、かなり屈折した武将。

 

武功のために千姫を助けにいき、顔にやけどを負います。「褒美に千姫を

嫁にやる」といわれて、それだけを励みに生きる。

 

駿府への船上で本多との戦いで点数を下げることに。

魚つり:航路になれた本多 VS 不案内の坂崎。釣果はさんざん。

鳥落とし:飛んでる鳥を落とす本多 VS はずす坂崎

木刀:本多には勝ったが、本多が手をケガして、千姫が気にする。

 

家臣も「本多のやつ」と意気込む。

 

家康と千姫の会話はほぼ「ホームドラマ」(by大和田さん)です。

 

結局、千姫が拒否したため嫁取りレースに敗れます。あきらめたものの、

婚礼行列をみて逆上。「乱心」扱いされるよりは正常で死にたい、と切腹。

 

どんどんダークになる坂崎、見てて重くなります。演じる役者も、「祖父も

父も坂崎をやった時はずっと不機嫌でした」というほどです。

 

亀蔵さんの「イヤミにならないさわやか家臣」は悪くなかったです。

実直な家臣の歌昇もOK.

 

 

沓掛は、公演決定時に(本人も感じた)なぜ梅玉が渡世人をやるの、という

疑問がわきました。

資料によると、羽左衛門がやってるので親戚筋の流れらしいのですが。

 

けど、みているとこういう時次郎もありだなと。

わりと上品で、「本当は博徒などやめたい」と思っている時次郎とリンクします。

 

この演目、でた人がみなマッチしていました。

時次郎が世話することになるおきぬ&太郎吉。本当の親子みたいでした。

太郎吉の心情が複雑で、「父親を斬った人だけど、僕たちを助けてくれた。

だから、おじさんはいい人」と時次郎を慕う。

 

終盤の「おっかさんに会いたい」というと時さんも「俺もおきぬさんに会いたい」。

亡くなった後に本音をもらす。

 

泣ける芝居です。

 

2演目ともジミなので、時代物好きな人向けとは思いますが、昨今は見られない

世界観を味わえます。

 

なお、新歌舞伎なので御簾がありません。よって、セリフだけでゆったりと

展開するので間延びするかな。