昨日は、こんなセミナーに参加しました。

タイトル: 「結い 2101」第3回受益者総会
日時: 2012年9月29日(土)13:15~16:00
場所: 神奈川県鎌倉市 建長寺 大庫裡

私が参加したのは午後の部だけですが、いつもの調子で書こうとすると、冗長になるので、短めにしようかと思います。

午後だと思って油断して、少し遅くなってしまったので、鎌田さんの開会のお話の途中で入って行きました。

すぐに、新井さんの決算・運用報告が始まりました。
いつもの切れ味のよい、お話です。
いや、午後の方が滑舌がよい、って仰ってましたね。

口座数は、足元で3500人。7/19の決算時点では、3263人。これは昨年の985人から3倍となる。
残高も18億と、昨年の6億から3倍。足元では、20億となっているそうです。ほとんどが入金で増えた分。
投資している会社数は、7/19時点で37社。足元38社。内、未上場は2社。3年で100社と言っていたが、達成は難しいかもしれない。残高が20億なので、それほど増やせない。
「人・共生・匠」のキーワードで会社を選定している。
資産構成を見ても、ハラハラドキドキの投資はしていないことが分かる。昨年と変わっていない。株式が63%。今年は債権が入っているが、トビムシが債権しか取得できなかったため。債権は満期があるので、通常は利用しない。
東証一部が過半数を超えないようにしている。が、会社が大きくなって、勝手に上場してしまうので、また他の市場の会社を探す、ということになっている。(笑)
業種については、1カ所が20%を超えないようになっている。全体の15%のみが中大型株となっている。大型株はいい会社が少ないため。
個別のグラフからは、1社に集中していないことが分かる。
パフォーマンスについては、昨年の10,573円から10,684円。4%くらい(つまり、400円くらい)が目標だが。
長期で持つので、悲観はしていない。なぜなら、企業業績が10%以上上がっているため。純資産もいつか追いつく。
もしこれが、10,000円になったら、ガンバレ、と言えばよい。もし9,000円になることは、危機などがあれば、ありうる。8,000円になったら、新井さんうそつきと言ってよい。
数値を確認すると、リターンは3.3%。リスクは、モーニングスターで11.32%(月次)、R&Iで2.6%(年次)。鎌倉投信では日次で出しているので、9.0%。
前期の売却については、らでぃっしゅぼーやがあった。初めての全売却。ドコモにTOBされたため。会社にTOBされて、安定資金で経営したい、という希望もあった。
購入については、トビムシの社債全額取得。地域を何とかしたい。地域にある、森を財産に、と考えている会社。
株式の比率は、常に60-70%。理由は2つ。流動性がないので解約に備えている。リスクを10%とするため。TOPIXは18-20%であり、これを半分にするため。
取引コストは、10,000円あたり9円。少し高い。売買回転率は、2-3回。分配については、今期はゼロ。ただし、1.85%の配当利回りが出ている。もしこれを分配しても、分配再投資になる。
課題先進国「日本」。その課題に対峙している会社を選んでいる。サクセスHDは待機児童の解消を目指す。ベルグアースは野菜苗のアウトソース。根を切ることで、新しい土地に根を張って強くなり、輸送コストも下がる。エフピコやツムラは、しょう害者雇用。ただし、雇用率ではなく、しょう害者が活躍できる経営能力があるかどうかを見ている。その経営能力があれば、雇用率は勝手に伸びる。
地方が元気になれば、と日本全国から会社は選んでいる。
いい会社同士の連携も生まれるようになった。和井田製作所xトビムシ。サクセスHDxトビムシ。

ここで、ビデオ紹介。
ライフネット生命の出口社長、第一稀元素化学工業の井上社長、KOAの向山社長。
それぞれの言葉にうなずいていました。みなさん、語ってしまって、長くなりがちなようでした。

この後は、講演が2本。午後は、「匠」のテーマで。

最初は、ユーシン精機の小谷社長。タイトルは、「世界最速の取り出しロボットで、世界のものづくりに貢献する ~サービスの精神はありがとうから生まれる~」。
まずは、新井さんによる紹介から。ロボットの会社で、上場来赤字なし、というのは珍しい、とのこと。
常識を覆す、と紹介されたが、常識が分からずに必死だった結果、というお話から始まった。
96年に大証2部に上場し、東証2部や大証1部を飛ばして、99年に東証1部に上場した最初の会社。
1973年10月創業。売上は、142億。リーマンショックで下がったが、これから戻す。グループ会社は11社。直近ではインドネシアに拠点が増えた。
先代の社長(創業者)は、ガスメータの誤差を±10%が常識とされていたものを1%にした方。これが創業者がとった、唯一の特許。
会社名の「ユーシン」は「有信」から。「信用のある会社」でありたい、との思いを込めて。
社訓は、「今日も一日、よりよくユーザに尽くし、より多くの信用を得ましょう」。これを毎日社員に言わせていた。
創業者の語録。「できない、無理だ」は出発点。一つのテーマには、少なくとも7つの解決法を考えよ。品質は社運を決める。
現社長は、創業者と婚約後、会社に入り、技術以外のすべてをやってきた。営業が得意。夫が技術者であったため。9年目に取締役となり、営業本部長に。2002年に社長がなくなってから、現職。
直交のロボットが得意。携帯やDVDなどの成型後の取り出し。他に特注機。これは、毎年異なる。
昨日、タイから戻ったばかり。最近は、東洋のデトロイトと言われるくらい工場が多い。1月は水が淀んでいた。昨日は、きれいになっていた。特に日系企業。4日前はフィリピンにいた。人口9500万人の国。これから大きくなる。
現在、新しい設備は海外へ持つようになっている。第一四半期は69%は海外だった。日系企業を含めて。米国では日系企業は5%くらいに減っており、多いのはタイやインドネシア。
新しい分野へもどんどん挑戦している。88年からコントローラが液晶で、対話式となった。カラーやタッチセンサーも業界で初めて取り入れた。
納期は厳守。
利益は高い。設備はない。開発した後、ほとんどが外注のため。最終調整と据え付けのような、お客様に接するところのみ、自社。
無借金経営。本当に無借金となったのは、東証一部へ上場後。それまでは、設備投資の1/3くらいを借りることも。一番の借金は税金。予定納税の時に。
小ぶりな会社だが、思い切ったことをする。最初は18坪から始まったことも。子会社で赤字が続くと、閉めることもある。
最適設計で作られた、初めてのロボットがある。日本機械学会賞をもらった。300台ほど売れたと話したら、驚かれた。賞を取っても売れない物もあるらしい。
群を抜いた業界トップ企業を目指して。グローバル展開。韓国、中国、タイ、・・・など。世界のトップクラス企業をターゲット顧客に。最近はサムソンも顧客になった。半導体・医療関連へ注力。グローバル人材の積極採用。海外に売っているのだから。今は10ヶ国の人が日本人と同じ待遇で働いている。もともと狙っていたわけではないが、母国に帰って活躍している。
人材育成について。大阪大学と共同研究。上級テクノスクールというのは、社員が海外へ行って教えている。入社後1年くらいの社員を海外へ派遣も。

次は、デジタルハーツの宮澤社長。タイトルは、「新『チェックド・バイ・ジャパン』が世界を変える ~デジタル社会を通じて人と人をつなぐ『心』の経営を目指して~」。
まずは、新井さんからの紹介。これからの時代の匠だと思った。IT業界で、日本人らしく活躍できる、と。
会社名は、「デジタルでもハートを持って」ということから。
バグを見つけるだけの会社。主に携帯OS。
親がいろいろな商売をしてきて、2回倒産を経験している。小2の時にカメラ屋が倒産した。3億5千万くらいの借金ができた。坊ちゃんと呼んでいた人に、クソガキと言われ、何かが起こったことを感じた。
2回目は23歳の時。大学へ行かず、18歳で入ったパチンコ屋。この時は、8億7千万の借金。
その後、役者をやったり、バンドをやって、作詞をしたり。
父親が心筋梗塞で倒れ、手術で50万が必要となった。それまで、金など関係ねー、という詩を書いていたが、50万の親父の命、と思い、必要であることに気付いた。
それでも、お金のために働きたくない、いろいろ言われるがお金には色はあると思っている。
一生ではなく、親父の生きている3年なら、人のためだけに生きてみよう、と思えた。その人というのは、当時バイトしていたゲーム会社で目の前にいた子達。東京で暮らせる15万を取らせるようにしよう、と思った。彼らはオタクと言われていた。ゲームを作る時だけ呼ばれて、終わると解散させられていた。彼らはバグを見つけるのがうまい。なぜかと聞くと、臭うんですよ、と言う。会社を作って、社長を他の人に、とも思ったが、それは逃げることになると思い、自分が引き受けた。
杉並の6畳のアパートに、会社を作り、67万のバグ・データベースを作った。ゲーム業界の。
2001年7月。会社設立して半年後に、Microsoft XBOXの仕事が来た。Microsoftの社員と競争し、10倍のバグを見つけた。200名集めて、1か月半研修して。
フリーターやニートと言われる人たちは、教わっていないだけ。だから、教育すればよい。なぜ挨拶が必要か、なぜバンダナをしたままではいけないのか。自分なりに説明した。今では、みんな挨拶して、仕事が始められるようになっている。
厚労省も見に来る。彼らは6億かけて、山で叫んで、6人だけ就職できた。こちらは、ぜんぜんお金はかけていない。
借金は1回もしていない。平成23年2月に東証一部へ上場した。彼らを褒めてもらいたいと思ったから。
バグゼロにしたい。そう考えるのは、日本人だけらしい。モノづくり日本というのは、そういう細やかな考えからきているのではないか。日本人は、総デバッガー。だから、小さなことから突いて、総理大臣が変わってしまう。電気自動車も、アナログからデジタルになることで、バグが増える。これはチャンス。
Made in Japanから、Checked by Japanへ。
1歩ずつ歩んで行きたい。

この後、パネルディスカッション。(以下敬称略)
新井: ユーシンに行った時、この会社のいいところは何でしょう、などと話しながら、工場見学に行った。すると、社長が走ってきて「言い忘れたことがありました。社員がマジメなんです」と言われた。社長が一番マジメ。そして、投資を決めた。また、しょう害者雇用に関連して、アスペルガーがデバッガーに向いているという話をしていた時に、デジタルハーツを見つけた。この会社を見つけた俺はすごいぞ、と言いたくなった。

会場からQ: 「信用」って何?
小谷: 約束事を守ること。。。それだけでは短い? でも、守るのは一番難しい。機械や見えないこと、新しいkとをやっていると。でも、相手の利益が上がることを考えている。私も時間刻みでやっていても、守っている。
鎌田: 補足すると。やるといったことを守るレベルが違う。震災の時でも、納期を守った。30年生存する会社は、100社に2-3社と言われるが、この会社は40年。社員1人1人、約束を守ることをやってきている。地味にでも。

Q: どうしてユーシンには、そういうことができるのか。できる人が集まったわけではないと思う。
小谷: 商学部や普通科の人を最初からエンジニアとして育ててきた。今では、学部卒や院卒もいるが。大事なのは、生真面目さ、喜び、物を作ること。喜びを感じながら。新しいことをやっていると、前は見えない。暗い。でもその時、人の心は持って生き方で変わる。
鎌田: 同じ質問を宮澤さんに。ニートやフリーターはいろんな価値観があると思うが。
宮澤: 信用、信頼されることが、最大の喜びになりえる。信頼することから始まる。お前らは世界一だと。
鎌田: この2社に共通しているのは、すごくフェアだということ。ユーシンでは、外国人でも同じ。
宮澤: 「長いんっすか?」と、バイトの長老と間違えられたこともある。
小谷: いつも作業衣なので、パートのおばさんと間違えられたことも

Q: 機械は、どのくらい使うのか? 不具合対応はどうなっている?
小谷: 法定では7-8年。でも、それは毎日8時間稼働として。うちの機械は、24時間動いている。10年くらい使うところが多い。長いと20年使うところも。サービス拠点は14ヶ所。連絡が入ると、午前中だとその日の午後、それ以外だと翌日行く。業界で一番早いと言われる。無償の期間は1年。以降は有償。

Q: オタクについて。オタクにも種類があり、常識があって、学校の試験が近いと我慢するタイプと、何よりも好きなことが優先となるタイプ。それをどう教育しているのか。
宮澤: 12年引き籠ってて、働きだした子がいる。しかし、世の中を変えてきたのは、オタクだと思う。自分は、オタクではなく、ニュータイプと呼ぶ。できそうなこと、好きなことだけは集中する。それを見つけてあげる。採用する時は、自分で好きなことを出せないだけか、怠け者かだけを見る。型にはめてはいけない。常識というと、常識って何? と言われるくらい。

Q: ユーシンの中国の子会社へのデモ被害は? 今後はどうする?
小谷: 中国に3社ある。広州で製造している。日系で初めてであり、今でも3-4社しかないため、暴動の影響はなかったよう。名前もユーシン、中国語でも有信なので、日本の会社っぽくなかったのがよかったかもしれない。お客様は青島(チンタオ)にいて、命からがら逃げた、と聞いた。上海や深圳に販売会社があるが、18日のみ休んだ。日本人は2-3名しかいない。中国はその前に景気が下がっていたので、出張もしていなかった。今後については、引き上げる気はない。売っているのは地元の企業。あの暴動については、急に治まったり、不思議なところもある。急に大学を増やしたことで、大卒の新卒6割で就職ができないこともあるのでは。

Q: ホルダーへ伝えたい思いをそれぞれ
小谷: 総会というこういう集まりは珍しい。鎌倉投信に選んでいただいて、うれしい。誠実に、景気・不景気を乗り越えていきたい。ご迷惑はかけない
宮澤: ニートが80万人、フリーターが4千万人と言われる。こういう人達に、「よぉ!」と言える世の中になるようにしたい。子供や孫が日本っていいな、と思えるように。日本のベンチャーがどれだけ支えられているか、と思う。最初の300万を出してくれた、八千代銀行には大変感謝している。彼らのことを、知っていただいて、応援していただきたい。
新井: 運用成績というものがあるが、上がらない。そういうとき、私より投資先の社長を信じてほしい。パフォーマンスが悪いのは僕のせい。社会をよくするのはこういう会社である。
鎌田: 2人に講演の依頼をした時、株価・業績は話さなくてよい、と言った。誰のために、何をやっているのかのみでよいと。お金の技術論よりも、投資先の会社の生き方あり方のお話を聞くと、考えが変わる。信用と言われたが、それは小谷社長の姿勢に現れている。ロボットは景気変動の影響を受けやすい。さらに円高。不況時に行った研究開発がヒットすると言う。それは、いつも怠らない姿勢から。だから、14社の後発からトップになった。宮澤社長は、宇宙人的。新しい産業だと思う。一緒に働くニュータイプと。なぜ日本がウジウジしているのかというと、未来に投資していないから。産業を興したい人はいる。それを一緒にかなえたい、というのが鎌倉投信の夢。希望を与えてくれる2人。

最後に。
「NPOいい会社をふやしましょう」というものができたそうです。
元アニコムの江口さんが理事だそう。
12月15日に創立記念シンポジウム。
手帳にメモしました!

以上です。