2ヶ月程前のあの日
、運命に吸い込まれるかのように僕の元にヤツがやってきました。
そのアイテムが生まれたのは今から約8年前。
とある方がオーダーしたものです。
レギュラー品とは全く違う、フルカスタムと言っても良い世界に1本だけのウォレットチェーン。
冗談のように重く、手にしてしばらくは全ての物欲が一切消えてしまったウォレットチェーン。
デザインを考案しオーダーされた方=前オーナーさんも大変素晴らしい方で、お取引の後もいろいろとこのチェーンの事をお話してくれたり、僕がチェーンを気にいった事を自分の事のように喜んでくれました。
僕は大きな愛と歴史を引き継いでしまいました。
これは間違いなく、生涯愛用し、僕の顔になる一品です。
Artitude / アーティテュード
カスタムウォレットチェーン
クリップ
アーティテュードのチェーンの中でも「ヴィアマナ」というタイプのチェーンのみに使用されるクリップです。
通常のクリップよりも一回り大きく、そして開閉が片方(下部)のみとなっています。
まるで壁画に施されたレリーフのような雰囲気。
そしてアーティテュードが得意とする植物の葉脈のようなデザインが秀逸です。
こちらはクリップとは反対部分。
ウォレットへの 連結Tバー です。
Tバーの両サイドにはドラゴンのモチーフ。
これは東洋に見られる龍といったものではなく、西洋の物語に登場するような悪魔的なドラゴンのデザインです。
アーティテュードの世界観にそのまま溶け込むような呪術的な雰囲気です。
実はこのTバーは通常はウォレットチェーンに使われる事は無い ブレスレット用のパーツです。
レギュラーのチェーンはウォレットへの連結はTバーではなく、スカルの後ろにシカゴスクリューがついたパーツで直接ウォレットのグロメット(ウォレットに開けられた穴)に連結する形となりますが、オーダーされた方の意向でこのような取り外しがしやすい仕様になりました。
そしてスクリューのついたスカルは 別パーツのマルカン としてこのように作られました。
ウォレットはしばらくヴァン・アンバーグ・レザーの物を使用していたのですが
先日、ブログで仲良くさせてもらってる コブたさん に、アーティテュードのウォレットを頂いてしましました。
アーティテュードのウォレットの多くはアンバーグで製作されていたのですが、こちらはご覧のとおりパイピング仕様。
明らかにアンバーグによって製作されたものではありません。
(追記:こちらはBWLで製作されたアイテムという事が判明しました。)
中々謎が残るこのウォレット。
IDポケット、コインエリア、札入れ3箇所、4カードスロットと文句無しに良い使い勝手です。
こぶちゃん、本当にありがとう。
こちらのウォレットのグロメットに先ほどのスカルを取り付けます。
ちょっと緩かったので、革の端切れに穴を開けてかましてみました。
非常に良い感じ。
さて、クリップ&Tバーの下にはそれぞれこのような 極厚のプレート が続きます。
片面はアーティテュードのロゴ。
その裏側にはデザイナー=ダリル・コブのイニシャルの“DC”と一点物を意味する“1/1”の文字が彫り込まれています。
もう片側のプレートにはリミテッドを意味する“LTD”とオーダー主=全オーナーの名前が彫られています。
実は手に入れる前までは、他の方の名前が彫られたアイテムはどうんだろう・・と思い、消す、外すなどを考えていたのですが
全オーナー様が本当に素晴らしい方という事、その方がいなかったらこのデザインは生まれてこなかった事、そんな歴史も踏まえ セカンドオーナーとしてこのアイテムを愛して生きたいとの想いから、自信をもってこのまま使う事にしました。
単純にお名前もデザインとしてカッコ良いですし♪
そんなロゴプレートの下には ジェスタースカル が2人頓挫します。
ただでさえ、雰囲気ありまくりのこのスカル。
二匹並ぶと圧巻ですね。
こちらのスカルも非常に良い味が出ています。
ちなみに、ペンダントに使用されているジェスタースカルよりも若干小ぶり、そして面長です。
といっても大きさはかなりの物です。
GABORのハッピースカル(ビーズ)と比べてもそのボリュームが分かると思います。
更に下に。
そこには風をモチーフにした バレル状のパーツ がリンクしています。
このカスタムチェーンの原型となった「ヴィアマナ」というチェーンは、先ほどのクリップとこのバレルパーツのみで構成されていたらしいです。
こちらも風に揺れる葉を表現したような繊細なモチーフです。
一見ハードにも見えますが、植物をモチーフにしている事でどこか柔らかく優しい印象が生まれています。
驚くのが、このリンクをしているマルカンにも葉のレリーフが施され、それが一周しているんです。
つまりロウ付けした後で、更に直接細工をしています。
こういう拘りが嬉しいですね。
そして、手に入れてから驚いた事なのですが、このヴィアマナというチェーンは
マヤ文明における風の儀式からインスピレーションを受けて作られたという事で・・。
マヤ文明モチーフといえば、やはりナグァール を思い出すのですが、そんなデザインに魅了されてはや10数年。
「全く違うブランド、無意識な所で僕は知らず知らずにこのデザインを追いかけていた」という事実に驚きました。
正に宿命。
不思議な縁を感じずにはいられません。
そんなマヤの風に揺られる葉の下には クラウンスカル が2つ。
このスカル、連結の構造状、このように背中合わせに横を向いています。
これがたまりません。
横を向いたクラウンスカル、首から飛び出た背骨のようなジョイントパーツ。
このブランドのエグさ、そして怪しさ全開です。
そして、そのクラウンスカルが支えているのが・・
ホグスタースカル
イノシシの頭蓋骨モチーフです。
デザイナーのダリル・コブは雑誌等でも猪の骨格標本を手に写真に写っていたりもしました。彼自身もかなり思い入れのあるデザインなのかもしれません。
このリアルなディテールからもそれがバシバシ伝わってきます。
そして、このチェーンをオーダーされた方は、この猪にダリル・コブに「自由にメッセージを彫ってくれ」とお願いしたらしく・・
その応えはコレでした。
Power
最高ですね。
最高すぎます。
猪の頭蓋骨にPowerとか狂ってます。
因みに、何度も紹介しているように僕の故郷の設楽町
の名産品は猪肉。
そんな巡り合わせももう驚きません。笑
間違いなく僕の元にくるのは運命だったと思うんです。
っていうか、猪の裏側まで気合入りすぎです、ダリル・コブ。
さて・・
そんな渾身のチェーンの全貌が・・
コチラです!
ヴィアマナというアーティテュードの中でも取り分け個性的なチェーンに主要3スカルをカスタム。
更に、最もアクが強いホグスターをドロップ。
そして鼻先にPower。
正に狂人的なチェーンです。
全てのモチーフ、いやパーツに至るまでが“俺が主役だ”と言わんばかりに主張しまくりなのですが、そんな主張が結果的に普通とは違う一体感を生んでしまっています。
これは「バランス」から生まれた一体感ではありません。
「相克」から生まれた一体感です。
スポーツに例えるなら、全員が四番、全員がセンターフォワードのチームのような。
そんな最狂のチェーンです。
実はセンタードロップのウォレットチェーンってのは僕は初めてです。
これは普通のチェーンと同じように感じますが、デザインの意図する所が全く違います。
一般のストレートのチェーンはモチーフの向きが一列にそろうのに対して、センタードロップはセンターに向けて両サイドから並行に下がっていきます。
シルエットも通常のチェーンは“U”を描くのですが、センタードロップは“V”を描きます。
着用する時にセンターの位置を微妙に調節する必要が生まれますが、それが決まった時は最高の装飾品になってくれます。
僕が今まで観た中で最狂のセンタードロップのチェーンはガボールのバターナイフドロップだったのですが・・
コレ全く負けてないですね。
圧倒的なバランス感と、完成され尽くされたデザインのGABOR。
一方、個性のぶつかり合いの中に生まれたバランス感、そして危うい魅力に溢れたArtitude。
デザインが目指す所は違いますが、これはどちらとは決して言えない素晴らしさです。
完成度の高すぎる物に慣れてしまうと、人は未完成の魅力を欲したりします。
贅沢な欲求なのかもしれませんが、それが僕の中での今のアーティテュードの魅力なのかもしれません。
これはGABORには無い魅力です。
このアイテム、現時点では僕が今まで目にしたチェーンの中で、いや全ての銀モノの中で 最高のアイテム です。
本当に芸術すぎる・・。
僕の顔として、そして家宝としてこれから大切にし、代々受け継がせていこうと思います。