2017年夏 | 映画、その支配の虚しい栄光

映画、その支配の虚しい栄光

または、われわれはなぜ映画館にいるのか。

または、雨降りだからミステリーでも読もうかな、と。

または、人にはそれぞれ言い分があるのです…。

備忘録的に夏休みに見た映画。10年ぶりくらいにツタヤでDVDを借りた。

よかったものから。

 

「エンド・オブ・トンネル」

「マダムと泥棒」というよりは、ウォシャウスキーの大傑作「バウンド」を彷彿とさせる、これは嬉しき、あの手この手のサスペンス。少々説明不足のところもあるのだが、ここまで見せてくれれば文句はない。コトが終わり、その後に畳み掛けるツイストもいい。

 

「コンサルタント」

これは面白い。映画館で見逃したことを後悔した。

表の顔は会計士で裏の顔は殺し屋という設定は、ま、よくあるのだが、彼が巻き込まれる事件、彼の正体を探る女性捜査官、そして彼の過去という3つのストーリーの絡み方が上手くて、凡百のアクションものの域を超えている。

 

「月に囚われた男」

「ミッション: 8ミニッツ」のような1アイデアもの、結末ありきのものだと思い、そう期待はしていなかったのだが、途中でネタを割り、その後の展開をサスペンスフルに描くのがいい。アイデアを発展させるつうのはこういうことね、と。微妙に流れるユーモアもいい。

 

そのあとはぐんと落ちて

 

「シークレット・アイズ」

ビリー・レイの未公開作ってんで観たのだが、アルゼンチンの映画「瞳の奥の秘密」のハリウッドリメイクであった。知らないで観て損した気分。しかも、結末までリメイクだとわからなかったと言う。

ま、リメイク元自体そう面白いわけではなく、というか全くつまらない映画であったわけで、こういう結末でいろんなことが明瞭になる手の映画ってのはダメだね。シナリオでは面白いかもしれぬが、そこまで見させられる退屈。

ビリー・レイの演出はさすがに堅実だし、ニコール・キッドマンは出てるだけで素晴らしいし、リメイク元を凌駕する作であることは間違いないのだが、ビリー・レイにはリメイクなんかで寡作なキャリアを潰してほしくはないと思う。

 

もっとぐんと落ちて

 

「インビテーション」

不安感を煽るだけの具体のない映画で、これはつまらぬ。ラストも予想でき、予想できるとこを、ただ不安感を煽るだけで切り抜けようとしている志の低さ。しかもそのネタ、ラストもつまらず、全く駄目な糞映画。

 

 

「ダークレイン」

不安感を煽るだけの具体と頭のない映画で、これはつまらぬ。頭の良い中学生程度が考える大ネタを繰り出すのだが、本気なのかギャグなのかわからぬし、ギャーギャー喚くだけの展開にひたすらイライラする、全く駄目な糞映画。

ファンタスティック映画祭で時折やってた見知らぬ外国映画、みたいな感じの懐かしさはあったが。

 

「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」

これは映画館で。敵地潜入、暗殺、籠城と心踊り血が騒ぐ題材に、相当期待してたんだが、久々に怒髪天つく糞映画であった。しかもそれなりに評判がいいというのも解せぬ、腹たつ。本作については後日。

 

というわけで妻は実家から戻り、私の日常は続く。