ずべ公番長 東京流れ者 | 映画、その支配の虚しい栄光

映画、その支配の虚しい栄光

または、われわれはなぜ映画館にいるのか。

または、雨降りだからミステリーでも読もうかな、と。

または、人にはそれぞれ言い分があるのです…。

冒頭、南利明で初めて私は笑ったぞ的くすぐりで始まり、もはや記憶もおぼろげなのだが「人生劇場」を歌いながら脱走を決意するシーンでがんごん盛り上がる。こりゃマキノじゃん、と。
続いて大信田礼子の歌う「東京流れ者」に合わせて脱走、看守たちとの乱闘、赤いレインコートの女一人が逃げ出すロングショットに涙し、やっぱ、このシリーズ悪くないよ、と思ってたんだが。

後がぐだぐだ。前作は東映やくざ映画を屈折した形で継承しているのが魅力だったのだが、これではただの出来損ない、パロディですらない。

jmdbで調べると、前作の併映というか目玉があの「昭和残侠伝 死んで貰います」、今作は「日本侠客伝 昇り龍」。なんか凄いな。

ずべ公番長 東京流れ者
1970年/東映東京/カラー/86分
■監督・脚本:山口和彦/脚本:宮下教雄/撮影:中島芳男/音楽:津島利章
■出演:大信田礼子、賀川雪絵、橘ますみ、集三枝子、渡瀬恒彦、宮城千賀子、南原宏治