納涼・怪奇映画五本立て | 映画、その支配の虚しい栄光

映画、その支配の虚しい栄光

または、われわれはなぜ映画館にいるのか。

または、雨降りだからミステリーでも読もうかな、と。

または、人にはそれぞれ言い分があるのです…。

というわけで、怪奇映画(ホラーってんじゃないな)をDVDで続けて観た。
特に涼しくはならない。

「ザ・ショック」マリオ・バーヴァ大先生の遺作。
公開時に観てるんだが、その時はこの手のショック・ムービーを馬鹿にしてたんで、まったく覚えてない。不肖の息子ランベルトが実質上の監督だという噂もあり長らく観なかったのを、ひっぱりだしてきました。
いやぁ、無茶苦茶面白いじゃん。バーヴァ印の極彩色照明こそみられないものの、ロングショットの不気味さは往年に匹敵する。
子供が抱きつこうとした瞬間、血まみれの死体に変わるとか、トリッキーなことを撮影時にやっていて、これって、凄い勇気がいることだと思うんだがどうか。

「蛇女の恐怖」監督はジョン・ギリング。
大昔、テレビで観て、蛇女に震えたもんだが、今回もやはり蛇女の造形に尽きる。「尽きる」つうのがすごい。それだけで充分成立してるんだもん。

「魔獣大陸」監督はマイケル・カレラス。
難破船での人物関係をえんえん繰り広げ、残る30分で「魔獣」がどこどこ出てくる変な映画。難破船が浮かぶサルガッソー海の情景とか、全篇、蒸し暑い感じがナイス。

「東海道四谷怪談」「怪談累が渕 」もちろん共に中川信夫。
前者は金字塔、言うべきこと無し。
後者は久々に観たんだけど、かなり緩い出来。丹波哲郎がいつもながらいい味だしてるんだけど、こんな役、中田秀夫版に出てきたか?