広島市中心部の国道2号を通る車の騒音や排ガスで健康や生活に被害を受けたなどとして、沿道の住民や勤務者らが国と広島市に国道の供用の一部差し止めや高架バイパス建設工事の差し止め、損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、広島地裁であった。橋本良成裁判長(植屋伸一裁判長代読)は「住民らの騒音被害は社会生活上受忍すべき限度を超えている」として、総額約2166万円の損害賠償を命じた。差し止め請求はいずれも退けた。国土交通省によると、道路騒音被害への賠償を認めた判決は兵庫県の国道43号訴訟に続き2例目。3大都市圏以外の道路公害で賠償を命じたのは初めて。

 高架工事(全長4.2キロ)は交通量増加に対応するため1971年に着工。地元の反対で中断後、03年までに西側2.1キロが開通した。残り区間の工事は財政難で凍結されているが、判決で、国は計画再検討を迫られる。

 訴状などによると、原告は沿道の住民38人と勤務者39人。通行量は1日6万~10万台で、基準を超える騒音や排ガスで、睡眠や会話、テレビ観賞、業務などに支障があり、健康被害にもつながると主張した。国側は「沿道の住民や事業者に便益をもたらし、日常生活の維持存続に不可欠な道路」「国道設置後に転入した原告もいる」などと反論していた。

 判決は、騒音被害について、「住民の一部が国の環境基準(昼間70デシベル、夜間65デシベル)を超える騒音にさらされ、睡眠や会話などを妨害されている」と指摘。その上で、「道路の公共性・公益性の一定部分は沿道住民らの犠牲の上に実現され、不公平があり、住民の一部は受忍限度を超えた被害を被っている」と判断、損害賠償を認めた。

 勤務者については、「被害と道路からの利益を比較すると著しい不均衡はない」として賠償請求を棄却した。

 また、道路や高架工事の差し止め請求は、「具体的な健康被害に至らないなど、被害とはいえない」として退けた。【中里顕、寺岡俊】

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