小出裕章先生:廃炉すると資産だった物が資産でなくなる(儲けのため)彼らは何としても避けたいのです | 私にとって人間的なもので無縁なものはない

小出裕章先生:廃炉すると資産だった物が資産でなくなる(儲けのため)彼らは何としても避けたいのです



現場からの告発~パイロットしか知らない日米安保
(ラジオフォーラム#103)
米軍機ニアミス

http://youtu.be/--95auPyEqE?t=16m52s
16分52秒~第103回小出裕章ジャーナル
福一事故・燃料デブリ回収の困難「多分、もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていますので、それをつかみだすことは基本的にはできないと思っています」

http://www.rafjp.org/koidejournal/no103/
福一作業

西谷文和:
12月と1月の小出裕章ジャーナルは、特集シリーズでお送りしております。1月は「原発はなぜいけないのか?」ですね。小出さん、福島第一原発の廃炉作業は計画がすでに遅れてるのですけれどもね。これ素人から見て、チェルノブイリとかスリーマイルは1基だけ事故を起こしたんですが、4基同時に廃炉をしないといけないということで、これ大変作業は無理があるんじゃないでしょうか?
EBR-1炉の炉心溶融状況
チェルノブイリ象の足

小出さん:
だろうと思います。人類が初めて遭遇している大変な事故なわけで、どうやったらほんとに収束できるかということは、経験的には分かりませんし、とにかく知恵を絞って一歩ずつやるしかないということです
損傷燃料の状況

西谷:
核心は、例えば燃料デブリというのを取り出すということをできるのかどうかということなんですけど、これからの自体を見守らないといけませんが、この燃料デブリというのは、これは取り出せるんでしょうか?

小出さん:
私は出せないと思います。
燃料デブリとは

西谷:
出せない?

小出さん:
はい。国や東京電力は、もともとその原子力発電所は事故など起こさないと言って、大変その楽観的な見通しのもとに原子力発電というものを進めてきてしまいました。
福島原発で爆発 朝日新聞20110313
こわい「メルトダウン」
福島の事故が起きた時も、事故をとにかく軽く考えたい、軽く考えたいということで、「炉心は溶けてないよ」とかですね、国際事象評価尺度というものに照らせばレベル4だとか言っていた。初めのうちはですね。でも、結局レベル7という一番破局的な事故だという事になってしまったわけですし、とにかく楽観的、楽観的に彼らは対処しようとしてきたのです
国際原子力事象評価尺度
燃料デブリの取り出しということに関しても、国や東京電力はそのデブリが圧力容器の底を抜いて、格納容器の床の上にまんじゅうのように積もってるんだという、そういう想定をしているのです。
燃料デブリの取り出し
もしそうであれば、格納容器の底を全部削って穴を開けてですね、上から見ることができるだろうし、上に取り出すことができるだろうというのが、彼らが描いている、いわゆるロードマップなんですね。でも、もしそうだとしても、上から取り出す為には30メートルもの水の下にある物をつかみ出さなければいけないわけで。

西谷:
30メートルの水の下ですね?

小出さん:
はい。そんなことは、まずそれもできないでしょうし、私自身はその溶け落ちた物が真下にまんじゅうのように溜まってるなんてことは決してあり得ないと思っていまして、多分、もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていますので、それをつかみだすことは基本的にはできないと思っています
メルトスルー

西谷:
そうですね。これですね、うがった見方かもしれませんが、その電力会社って総括原価方式で利潤が決まるじゃないですか?

小出さん:
そうです。
総括原価方式って何?

西谷:
つまり、原発のコストに3%の利潤を乗せるということですから、そういう意味では廃炉にしたらコストは0になりますので、0×3%は0じゃないですか?

小出さん:
はい。
原発廃炉 会計ルール見直し案後始末は家計負担

西谷:
つまり、彼らはずーっと長く使いたいから、敢えて廃炉のことを考えないでいたんじゃないでしょうか?それはどうなんでしょうか?

小出さん:
要するに、廃炉にしてしまうと、これまで資産だった物が資産でなくなってしまうわけですから、彼らとしては、何としてもそれを避けたくて、とにかく運転したい、再稼働もしたいということになっているのです

http://youtu.be/A57-UU7M_tk

西谷:
ということは、本来は廃炉をもっと早い段階から計画的に考えておかないといけないけれども、それを前面に出すと、自分達の資産が0になっちゃうので、先送り先送りにしていたという側面もあるんでしょうか?

小出さん:
私はそうだろうと思いますし、電力会社に聞いて頂ければいいだろうと思います。はい。

西谷:
そうですね。これは先生に聞かずに電力会社に直接聞かないとダメですね。
総括原価方式 ボーナスと役員報酬

小出さん:
はい。

小出裕章ジャーナル

西谷:
そういう疑いが濃厚であるということですが、最終処分場についてなんですけどもね、これが決まっていないのに、例えば燃料棒を取り出すと、これどこに置くんだということになるんですが、この点についてはどう考えればいいんでしょうか?

小出さん:
燃料棒というのは福島第一原子力発電所のですか?

西谷:
そうです。

小出さん:
それは今、例えば使用済み燃料プール、1号機、2号機、3号機の中にまだ燃料棒が眠っているわけで、それだけは放っておくことはできませんので、とにかく少しでも危険の少ない場所に移さなければいけませんので。

西谷:
今、4号機は移しましたよね?

小出さん:
4号機はようやくにして移し終えて、私はほんとにホッとしているのですけれども、1号機、2号機、3号機ももちろん、移さなければいけません。

移したところで、でもじゃあその後どうするのかということは、もちろん全く見えないのですけれども、今のような危険な状態に置いていくことはもちろんできませんので、やらざるを得ないだろうと思います

そして、溶け落ちている燃料デブリについてもですね、もし取り出せるならば取り出すべきだと私は思いますけれども、取り出したところで、どうしていいか分からないのですよ。分からないけれども、でも取り出せるなら取り出した方がいいだろうと思います。多分、でもそれができないというのは私の見方です

西谷:
最後にですね、科学者の専門家の集団がですね、100年単位のスパンでどうするかを考えたいので、見えるところにそういうもんを置いといて、乾式、いわゆる湿式というこのプールじゃなくて、そのキャスクに入れて空冷して、埋めるんじゃなくてね。そういうふうにして、人類の叡智にあとでまたバトンタッチするという、そういうことが出たんですけど、やっぱりこういう形で取り出していくべきなんですかね?
乾式キャスクの例

小出さん:
国の方は取り出したものはどこかに埋めて、埋め捨てにしてしまうというのがこれまでの国の方針だったし、もうそれが法律ですでに定められているわけですけれども、日本国内で埋め捨てにして、10万年、100万年も安全だというような場所はありませんので。

西谷:
地震多いですからね。

小出さん:
はい。西谷さんはもちろんご存知の通り、モンゴルに埋めてしまおうというような話まで出てきていたのですね。
モンゴルの処分場までの核のゴミの輸送ルート
モンゴルの処分場までの核のゴミの輸送ルート

でも、そんなことはやっぱりやってはいけないことなわけですから、日本学術会議という、いわゆる学者の国会と言われてきた組織が、これまでの日本のやり方はダメだから、いちから考え直せと、乾式貯蔵をして当面は監視するしかないだろうというような提言を出すようになっているわけです。私はもうずーっと昔からそれしかないと言ってきましたし、多分そうなるだろうと思います
高レベル放射性廃棄物の暫定保管に関する技術的検

西谷:
分かりました。小出先生、時間がやってまいりました。この廃炉への道のりは極めて厳しくて長いということがよく分かりました。今日はどうもありがとうございました。

小出さん:
ありがとうございました。

日本学術会議が再稼働に「待った_1

日本学術会議が再稼働に「待った」_2


1~3号機、阻む高線量
 福島4号機、核燃料取り出し終了

(東京新聞)2014年12月21日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014122102000124.html
1~3号機阻む高線量福島4号機核燃料取り出し終了

 東京電力は20日、福島第一原発4号機のプールに残っていた核燃料4体(未使用)の取り出し作業を報道陣に公開した。事故当時、大量の使用済み核燃料が残り国内外を震撼(しんかん)させた4号機。昨年11月から71回に及ぶ作業が続き、プールは空になった。これで課題の一つは解決されたが、建屋内の放射線量が高い1~3号機を含めた全体の廃炉に向けた作業は続く。 
 前日まで二十六体が残っていたが、別の輸送容器で二十二体が運び出され、最後の四体がプール内で容器に詰められていた。
 この日公開されたのは、建屋に併設された取り出し用骨組みのクレーンで、四体の入った容器をプールから引き上げる作業。
 クレーンはプール上に移動し、容器をつかんでゆっくりと上げた。作業員十数人が容器を拭いたり、シートを広げて水滴が落ちないよう保護したりし、容器は三十メートルほど南の除染場に到着。作業は約四十五分で終わった。
 今後、容器は除染し、ふたを閉めた後、別のクレーンで地上に下ろされ、6号機プールに移される。これが済めば、千五百三十五体あった核燃料はなくなり、4号機のリスクは実質的になくなる。福島第一の小野明所長は「作業員の努力のたまもの。気を緩めず、廃炉を進めたい」と話した。

◆残る難題 除染に限界
 4号機の危険性は取り除かれたが、1~3号機には、炉内に溶け落ちた核燃料、プールには計千五百七十三体が残る。作業できるようどう放射線量を下げ、どう取り出すのか。検討課題は山積している。正念場はこれからだ。
 比較的早く取り出しに入りそうなのが3号機。建屋上部に積み上がっていたがれきはほぼ除去された。二〇一五年度中の取り出し開始を目指す。
 しかし、プールのある五階の線量はいまだ高い。床のコンクリートを削り、高圧洗浄し汚染は減ったが、放射性物質は深く床に染みこんだ。東電は百分の一に汚染が減ると期待したが、五分の一程度までしか下がっていない。除染には限界があり、鉛による遮蔽(しゃへい)など追加策が必要になる。
 1号機は一七年度から取り出す計画だったが、建屋カバーの解体が遅れたこともあり、二年ほど延びることになった。
 建屋が健全だった2号機は汚染蒸気が充満し高濃度に汚染が残る。高い所だと毎時八八〇ミリシーベルトもある。建屋上部を解体する方向だが、具体策の検討は二年後という。
(荒井六貴)



原発廃炉は可能か? ~計画とその現実~

http://dai.ly/x18kovf
NHK BS世界のドキュメンタリー 2013.12.18.
原題:Decommissioning Nuclear Power Plants: Mission Impossible?
制作:Eclectic Presse / ARTE France (フランス 2012年)

原子力発電を進めてきた国々は今、老朽化や閉鎖などによる廃炉を着実に行うという局面を迎えている。ドイツやフランスなどで進む廃炉プロセスと、それぞれが直面する状況を見つめる。
ドイツではかつて、岩塩採掘所に放射性廃棄物を埋めていたが、岩塩が割れ地下水が流れ込む状態になり、回収もままならなくなるという苦い経験をした。廃炉が始まって18年になるルブミン原発では、安全な管理方法が見つからないため、使用済み核燃料が現地にそのまま保管されている。
2005年に廃炉となったアメリカ・メイン州の原発では、建屋の取り壊しをダイナマイトで爆破する形で行った。1960年代には放射性廃棄物を海に投棄していたフランス。現在は、地下深くの粘土層に多重のバリアシステムを持つ地層処分場を建設中だが、住民から反対の声が上がっている。
専門家は、放射性廃棄物の処理は、予想されていたより難しく、コストがかかると指摘。原子力分野の“先進国”と言われる各国は、高レベル放射性廃棄物の有効な処分方法をなかなか見いだせていない。


原発問題~廃炉について~

http://youtu.be/KgM4_nOEqAg



らっきーデタラメ放送局★第45回 『原子力村の利権構図』

http://youtu.be/wwGS56pWIt4

らっきーデタラメ放送局★第47回 『デタラメディアの利権構図 Part2 電力会社篇』

http://youtu.be/sp-ggcOT9ec

らっきーデタラメ放送局★第51回  『絶対儲かる電力会社Part-1電気料金の決め方と使い道』

http://youtu.be/DwpP3-IatBY

らっきーデタラメ放送局★第52回 『絶対儲かる電力会社Part-2電気料金の使い方原発ならではの多額なコスト

http://youtu.be/I2WDcAmfM4Q



医師に #福島 #原発 #放射能 関連の病公表するなと脅迫
❢DrsThreatenedForRevealing #Fukushima☢ILL❢

http://youtu.be/K4XYLyuhTKw
日本語訳・字幕↓: Jo2Rayden☻CCクリックで字幕☺ "Japanese doctors threatened for revealing data on how bad Fukushima related illnesses." Arnie Gundersen「多くの日本人医師は、福島原発関連の病気が、いかに実際に悪いか­というデータを公表しないよう脅かされている。」*from USA radio,Nuclear Hotseat, Libbe HaLevy, Nov. 12, 2014: http://www.nuclearhotseat.com/2200/
* 司会者HaLevy: 福島で子どもが直面している問題に目を向けましょう。子どもたちの健康へのすさまじい­影響があり、甲状腺結節、癌と診断される人数が増加しています。しかし、同時に、あな­たが以前に示唆したように、日本の医者たちに、そこで起きている真実を報告しないよう­、すさまじい圧力がある。あなたが日本の多くの医療専門家と連絡を取っていることを存­じています。彼らは何と言っていますか?

Gundersen: 私たちは、少なくとも6名以上の日本人医師から直接の情報を得ています。もちろん氏名­を明かせませんが。
彼らは、病院の特権で上司から[口外するなと]脅かされていると言いました。現地で経­験している健康への影響に関し患者たちに率直に話すことや、実際の測定結果、放射能に­よる病気がどんなに実際に悪いか、その恐れに関して率直に公に話すこともです。
そう、少なくとも、6人ほどの医師が座視しているのを、知っています。また、そこで6­人ならば、さらに多くが同様であると確信できます。広範囲にわたり上意下達に働いてい­る圧力です。
あなたが今後見るだろうものは、まさに私たちが見ているのです。早期の癌と甲状腺結節­です。次の15から20年にわたって、筋肉の癌と臓器癌も増加するだろう。
朝日新聞は、主要な新聞で、基本的に不合理な仮定に基づき、人々に[福島の]家に帰る­のを求めている。
先天的障害やこの第一世代で予期できる事は、全く理不尽なものだ。どれだけ死産と流産­が、日本のその地域で関連しているか、彼らは私達にその数字を教えない。そして、それ­は放射能で引き起こされている。
日本では、死産、胎児の奇形、流産が出てくる。または、すでに癌を発病する。あなたの­体は発症するだろう。
日本人は、福島の死産と流産の報告をしていない。それは大変良いことですよね? (* 皮肉)
問題の核心は、私達が、40から30年の期間で、多くの癌の発症を見るであろうことだ­。
そして、今も同様に、私が3年間ずっと言い続けている事を言います。
福島第一原発事故の結果として、通常より100万人多く癌を発症すると思う。
-END-



汚染水投棄の圧力に、いら立つ福島の漁業者たち
(東京新聞【こちら特報部】)2014年12月19日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014121902000182.html
 衆院選の最中、福島県沿岸部では原発事故に伴う処理済み汚染水の海への放出をめぐり、東京電力と経済産業省が再び漁業者らに説明会を開いた。漁業者の抵抗は根強いが、原子力規制委員会の田中俊一委員長も放出の必要性を強調する。事故から四年弱。三回の国政選挙を経て、記憶の風化と事故を「過去のもの」にしたい政権の動きが強まる。だが、事故収束が遠いという現実は変わっていない。
(上田千秋、榊原崇仁)

汚染水投棄の圧力に、いら立つ福島の漁業者たち_1

福島汚染水 再び説明会

「大丈夫なら東京に持っていけ」

 「他に手がなくても、これ以上、風評が広がると(福島の)漁業の復興はますます遠のいてしまう」
 福島県いわき市南部の小名浜港。低気圧の影響で寒風が吹き荒れた十八日午前、試験操業を終えて港に戻ったばかりの男性(五七)は憂うつな表情を浮かべた。
 現在、福島の沿岸漁業は原発事故で自粛を強いられている。魚種を決め、週一回ほどの試験操業が二〇一二年六月から続けられているが、水揚げ量は事故前の約一割だ。東電から休業補償を得ている一方で、漁業再建のめどはまだたっていない。
 そうした中、東電は福島第一原発の汚染水対策で、原子炉建屋周囲の井戸から地下水をくみ、浄化して海に放出することを検討。九月に県内の漁業者らを対象に説明会を開いたが、強い反発に遭った。
 だが、今月に入って東電や経産省は説明会を再び始め、いわき市でも十日に開かれた。東電は「放射性物質を取り除き、排出基準を下回ったものしか流さない」と強調。漁業者からは「他に方法がない以上、仕方がない。事故収束を第一に考えるべきだ」という声があったものの、「認められるわけがない。消費者が不安を感じ、福島産のイメージがさらに悪くなる」という意見が大勢を占めた。
 いわき市漁業協同組合の吉田和則理事は「事故直後に汚染水を海に流してから、東電に対する信用は消えている。不信感は簡単には払拭できない」と話す。
 「『本当に大丈夫というなら、東京へ持っていって流せばいい』と主張する組合員もいる」。ただ、会場では「説明内容が同じこともあり、淡々とした人が多かった」(漁業者の一人)という。
 同県北部の相馬双葉漁協(相馬市)の担当者も「東電から言われて『はい、そうですか』というわけにはいかない。もっと詳しく説明してもらわないと判断のしようがない」と言う。
 来年三月で、事故から四年。この間、三回の国政選挙があった。今回の衆院選の公示日には、安倍首相、民主党の海江田万里代表(当時)とも県内で第一声を上げたが、被災地の現状には深くは触れなかった
 とりわけ、首相は十月の参院本会議でも「全体として(汚染水の)状況はコントロールされている」と従来の見解を繰り返した。
 ただ、汚染水問題は事故収束の難関の一つ。十二日に福島第一原発を視察した規制委の田中委員長は「汚染水をため続けることはできない」と放出への強い意志を示した。
 世間の関心も次第に薄まりつつある。冒頭の漁業者は「まだ、修復が終わっていない建物も多い。経済優先なのは分かるけど、もう少し、私たちの生活に目を向けてもらえないものか」とつぶやいた。

汚染水投棄の圧力に、いら立つ福島の漁業者たち_2

事故レベル今後提示せず

規制委放出に躍起

 福島原発事故に伴う汚染水問題の現状はどうなっているのか。
 第一原発の敷地内には現在、地上タンクが約千基設置され、約三十五万トンの汚染水が保管される。東電は放射性物質を取り除く切り札として「多核種除去設備(ALPS)」を三基設置した。しかし、昨年三月の試運転開始以降、十回以上の運転停止を繰り返しており、当初、今年四月を見込んでいた本格運転は、いまだに始まっていない
 一方、原子炉建屋には毎日約四百トンの地下水が原発の山側から流入し、汚染水は増え続けている。新たにタンクを設置しようにも、敷地には限界がある。このため、汚染水を増やさない対策が必要になる
 東電は五月から山側の井戸から水をくみ、放射性物質が基準値内であることを確認、海に放出する「地下水バイパス」を始めた。
 ただ、これだけでは不十分なため、建屋周囲の地下水水位を調整する井戸(サブドレン)からも地下水をくみ上げ、除染したうえで海洋放出する考えだ。
 さらに地下水が建屋に流れ込まないようにする抜本的な対策として計画されたのが、建屋周囲の土壌を凍結させる凍土遮水壁だ。周囲約一・五キロに約千五百五十本の凍結管を打ち込む。東電は六月に着手した。
 だが、これほどの凍土遮水壁は前例がなく、京都大原子炉実験所小出裕章助教は「コストがかかるとしても、コンクリートによる遮水壁をつくった方が確実性は高い。失敗が目に見えていることはやるべきではない」と指摘する。
 凍土遮水壁をつくるとしても、海側の建設ルート上には地下トンネルが横切つている。建設前にこれを埋める必要があるが、トンネルにたまる汚染水の抜き取りに手間取っている。
 小出助教は「十万トンの水を運べる巨大タンカーがある。これを活用し、東電の他の原発敷地内に運び込むことも考えるべきだ。ALPSの稼働がうまくいかない理由の一つに、放射線量が高い過酷な現場では保守管理が行き届かないという点がある。それならば、他の原発敷地内にALPSを設けるべきだ」と説く。

トリチウム除去できず

 規制委は、福島第一原発敷地内にあるALPSで汚染水を処理し、基準値内の汚染水を海に流すことを想定している。ただ、ALPSではトリチウムという放射性物質を除去できず、水で薄めて放出する。放射線医学総合研究所の元主任研究官、崎山比早子氏は「トリチウムのリスクは見過ごせない」と懸念する。
 トリチウムが出すベータ線はエネルギーが弱いとされるが、水と同様、どこにでも入る性質がある。崎山氏は「DNAにも入って、傷をつけていく。魚を通じて人間の体内に入った場合にどうなるか、慎重に考えるべきだ」と説明する。
 現在まで漁業者らは汚染水の海洋放出に抵抗しているが、社会から事故の記憶が薄れれば、抵抗も次第に困難になってくる
 現に規制委は今月十日の定例会合で、福島第一原発で今後、汚染水漏れなどが起きても、国際的な事故評価尺度(INES)に基づくレベル提示をしないことを決めた
「INESのレベルは平常時の原発で事故が起きた時に示すもの。既に事故が起きた原発に当てはめると誤解を生む」(担当者)という理屈だ。
 こうした事故の「意識的な風化」も進んでいる。福島大の後藤忍准教授(環境計画)は「被災地では『もう、とやかく言うな』、という空気が広がっている。でも、政府の横暴を見過ごせば、生活を守る権利はないがしろにされる。被災地以外の人たちも一緒に考えてもらいたい」と訴えた。

汚染水投棄の圧力にいら立つ福島の漁業デスクメモ


再処理の仕方 小出裕章氏

http://youtu.be/vN1E5X2JI3E

小出裕章+志葉玲+増山麗奈~凍土壁、4号機~ママの約束トーク

http://youtu.be/HjWx5-sjKTs