追記しました 災害列島に住む者の宿命(´・ω・`)…しかし、お寒い体制… | 私にとって人間的なもので無縁なものはない

追記しました 災害列島に住む者の宿命(´・ω・`)…しかし、お寒い体制…



御嶽山 大噴火!

http://youtu.be/7Ea3uED1Zgc
大滝口登山道 九合目 避難小屋の少し上から撮影開始。
避難小屋に間に合わず 1回目の噴煙に飲み込まれる。(動画はここで終了)
この後 避難小屋に逃げ込んで2回目 3回目の爆発→噴煙に耐えてから下山しました。
自分たちは避難小屋が近く助かりましたが 今回の噴火で たくさんの方々が犠牲になられてしまいました。


飛び交う噴石

http://youtu.be/yvrXrosZ9TM
御嶽山噴火
20140927 奥ノ院付近


火山弾の大きさ参考画像(落下速度720km/h)
火山弾の大きさ参考画像



噴火警戒レベル「3」桜島などと同水準
しんぶん赤旗2014年9月29日
噴火警戒レベル「3」桜島などと同水準

登頂多い時間 被害拡大

 御嶽山の噴火で気象庁が引き上げた「噴火警戒レベル」については、御嶽山と同じ「3」とされている火山は、ほかに鹿児島県の桜島口永良部島があります。
 噴火警戒レベルは、噴火の大小と周辺住民の防災対応を5段階で示した指標。気象庁が2007年に従来の火山活動度レベル(6段階)を改めました。地元自治体との協議に基づき、全国110活火山のうち30火山で運用されています。
 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生したか切迫している場合は最高の5(住民避難)、予想される場合は4(避難準備)。居住地域近くまで影響を及ぼす噴火の発生または予想が3(入山規制)、火口周辺に影響を及ぼす噴火の発生または予想が2(火口周辺規制)、静穏な状態が1(平常)。5と4が特別警報、3と2が警報として扱われます。

紅葉見頃、好天…登山者多く

 噴火した御嶽山は紅葉が見頃を迎え、観光客数がピークにさしかかる時期で、好天に恵まれた週末の27日には多数の登山者らが訪れていました。噴火が発生したのは、頂上付近に登山者が特に多い時間帯で、被害拡大の要因になったとみられます。
 御嶽山は例年、9月下旬から10月上旬に紅葉がピークとなります。この週末は8合目以上で見頃を迎えていました。
 長野県木曽町観光協会の須藤邦男事務局長(58)によると、標高約2150がにある駅と山麓とを結ぶロープウエーの利用客は、この時期に年間で最も多くなります。今年は、7月に同県南木曽町で発生した土石流災害の影響でJRの特急が利用できなかったり、8月に長雨が続いたりした影響で利用者は落ち込んでいましたが、9月は好天が続いていたといいます。
 ロープウェーは登山者も多く利用し、駅から山頂までの所要時間は3時間程度。噴火が発生した正午前は、朝から登り始めた人が昼食を取るなど、頂上付近に多くの人がいる時間帯でした。


火山弾で屋根に穴が開き窓の割れた山小屋の中の様子
火山弾で屋根に穴が開き窓の割れた山小屋

山小屋に入らずに、一晩を外で過ごし、奇跡的に生き残った人
山小屋に入らず一晩を外で過ごし奇跡的に生き残


噴火警報と噴火警戒レベル

噴火警戒レベルの説明
(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/level_toha/level_toha.htm
噴火警戒レベル(「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」)

 噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。
 国全体の火山防災の基本方針を定めた防災基本計画(火山災害対策編)と「噴火時等の避難に係る火山防災体制の指針」に基づき、各火山の地元の都道府県等は、火山防災協議会(都道府県、市町村、気象台、砂防部局、火山専門家等で構成)を設置し、平常時から噴火時の避難について共同で検討を行っています。 火山防災協議会での共同検討の結果、火山活動の状況に応じた避難開始時期・避難対象地域が設定され、噴火警戒レベルに応じた「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」が市町村・都道府県の「地域防災計画」に定められた火山で、噴火警戒レベルは運用が開始(導入)されます。
 噴火警戒レベルが運用されている火山では、平常時のうちに火山防災協議会で合意された避難開始時期・避難対象地域の設定に基づき、気象庁は「警戒が必要な範囲」を明示し、噴火警戒レベルを付して、地元の避難計画と一体的に噴火警報・予報を発表します。 市町村等の防災機関では、あらかじめ合意された範囲に対して迅速に入山規制や避難勧告等の防災対応をとることができ、噴火災害の軽減につながることが期待されます。

※なお、平成19年12月より、火山活動度レベルに代わって、噴火警戒レベルが運用されています。

政府インターネットテレビ「火山災害から命を守るために~避難計画を知る大切さ
リーフレット「噴火警報と噴火警戒レベル」(全般的な解説)
火山別に設定された噴火警戒レベルを解説したリーフレット

 噴火警戒レベルの活用にあたっては以下の点に留意する必要があります。
・火山の状況によっては、異常が観測されずに噴火する場合もあり、レベルの発表が必ずしも段階を追って順番どおりになるとは限りません(下がるときも同様です)。
・各レベルで想定する火山活動の状況及び噴火時等の防災対応に係る対象地域や具体的な対応方法は、地域により異なります。
・降雨時の土石流等、噴火警報の対象外の現象についても注意が必要であり、その場合には大雨情報等他の情報にも留意してください。


噴火警戒レベル
噴火警戒レベル
注1: 住民等の主な行動と登山者・入山者への対応には、代表的なものを記載。
注2: 避難・避難準備や入山規制の対象地域は、火山ごとに火山防災協議会での共同検討を通じて地域防災計画等に定められています。ただし、火山活動の状況によっては、具体的な対象地域はあらかじめ定められた地域とは異なることがあります。
注3: 表で記載している「火口」は、噴火が想定されている火口あるいは火口が出現しうる領域(想定火口域)を意味します。あらかじめ噴火場所(地域)を特定できない伊豆東部火山群等では「地震活動域」を想定火口域として対応します。
注4: 火山別の噴火警戒レベルのリーフレットには、「大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流等が居住地域まで到達するような大きな噴火が切迫または発生」(噴火警戒レベル5の場合)等、レベルごとの想定される現象の例を示しています。


火山防災協議会、噴火警戒レベル、避難計画の関係について(防災基本計画)
火山防災協議会
噴火警戒レベル避難計画の関係について

噴火警戒レベルが運用されている火山

 噴火警戒レベルは、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された47火山のうち、30火山(平成25年7月現在)で運用されています。今後、このほかの火山も含め、地元の火山防災協議会における避難計画(いつ・どこから誰が・どこへ・どのように避難するか)の共同検討を通じて、噴火警戒レベル(いつ・どこから誰が避難するか)の設定や改善を地元の気象台を含む関係機関が共同で進めていきます。

 各火山の現在の噴火警戒レベルについてはこちら

噴火警戒レベルが運用されている火山
噴火警戒レベルが運用されている火山


救助の様子

御嶽山噴火 火山ガス心肺停止とは
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2014年10月2日

 御嶽山の火山活動が続く。登山者の救助・捜索活動は続いているが、事故に関連して耳慣れない用語も出てくる。あらためて確認した。
(篠ケ瀬祐司)

御嶽山噴火 火山ガス心肺停止とは

硫化水素を検知 救助中断

 警察や消防、自衛隊などによる救助・捜索活動の障害の一つになっているのが「火山ガス」だ。地下のマグマに溶けている水素や酸素、硫黄などは、噴火に伴って水蒸気や二酸化硫黄硫化水素という化合物となり、火山ガスとして地表に放出される。
 東京工業大・火山流体研究センターの野上健治教授によれば、火山ガスのほとんどが水蒸気で、「多い時はガス全体の95%以上を占める」。水蒸気だけなら問題ないが、毒性を持つ二酸化硫黄や硫化水素が含まれていると、人体には有害だ。
 気象庁の火山監視・情報センターによれば、九月二十九日の時点で、二酸化硫黄の放出量は一日当たり千トンだった。火山活動に伴う放出量としては多い。
 二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、野上氏によれば、二~五ppm程度で、せきが出る。ぜんそくなどの疾患を持つ人は、より大きな影響を受ける。
 「卵の腐ったようなにおい」と表現される硫化水素は「一〇〇ppm以上で危ない状態になり、五〇〇ppmなら重篤に、一〇〇〇ppmなら即死する(野上氏)という。長野県・王滝口から登った救助隊は、身に着けた検知器が五ppm以上の硫化水素を検知し、活動を打ち切った。
 この「ppm」は、大気中における気体の大気汚染物質の濃度を表す単位だ。
 「百万分の一を意味し、一ppmは一立方びの空間に一立方センチの気体が含まれている状態を指す。

「死亡」は法律上 医師判断

 火山ガスに阻まれながら続く救助・捜索活動中には、新たに「心肺停止」の人が見つかったという報告も相次いだ。
 心肺停止とは、どんな状態なのか。消防庁救急企画室は「生命を維持するために必須の二つの機能である、心拍と呼吸が停止した状態を指す」と説明する。心肺停止になっても、救命措置で一命を取り留めることがあり、死亡とは言えない。
 そして、死亡の確認・宣告は法律上、医師と歯科医師が行う。日本法医学会理事で和歌山県立医科大教授の近藤稔和氏は「心肺停止に加え、目に光をあてても瞳孔が反応しないことなどを確認し、亡くなっているか判断する」と解説した。
 この原則を踏まえ、長野。県警などは、心肺停止の人と亡くなった人の数を分けて発表している。
 多くの人は、「噴石」が頭や体に当たった外傷性ショックによって亡くなったと発表されている。気象庁は、噴火によって噴出した固形物の名称を、大きさで呼び分けている。直径二ミリ未満を火山灰、直径二ミリ以上を噴石と呼ぶ。
 また、噴火で起きた「火砕流」とは、高温の火山灰や岩、水蒸気などが一体となって山肌を下る現象のことを言う。時速は数十キロから百数十キロで、通過した地域は焼失、埋没など大きな被害を受ける。
 火山監視・情報センターは三十日に発表した「御嶽山の火山活動解説資料」で、火口から四キロ程度の範囲で、大きな噴石の飛散や火砕流に対する警戒を呼びかけている。


雲仙普賢岳火砕流の発生状況(平成3年)

http://youtu.be/r0gFFJUsIrE

雲仙火砕流災害 巻き込まれる直前まで撮られていた映像

http://youtu.be/bnLYksi3YAE



日本列島 110活火山 噴火リスクいつも
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月30日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014093002000157.html
 いきなり噴火し、大惨事となった御嶽(おんたけ)山。日本には、百十もの活火山があり、気象庁はうち四十七を常時監視する。だが、噴火予知は、技術的に限界がある。火山災害は、一度発生すれば大きな被害をもたらすが、対策は遅れている。火山列島は突然、噴火が起こる危険性を常にはらむ。
(篠ケ瀬祐司、上田千秋)

日本列島 110活火山 噴火リスクいつも_1

避難計画 策定自治体15%

 日本には、世界遺産・富士山を含め百十の活火山がある。世界には約千五百五十の活火山があるとされ、その約7%に当たる数だ。
 活火山は全国各地にある。北方領土・択捉島の茂世路岳から、硫黄島の南南東約二百十キロの海底火山、日光海山まで。北海道や東北、関東甲信越、中部、九州を中心に、二十六都道県に活火山がひしめいている。
 かつて、活動を続けている火山を「活火山」と呼び、そうでない火山を「休火山」「死火山」と呼んでいた。
 一九五〇年代になると「火山にとって数百年程度の休止はわずかな期間だ」として、噴火の可能性がある火山は活火山とする考え方が国際的主流となり、気象庁も六〇年代から、噴火記録のある火山を活火山と呼ぶようになった。
 七五年には、火山噴火予知連絡会(予知連)が「噴
火の記録のある火山および現在活発な噴気活動のある火山」と定義し、七十七を活火山とした。
 その後の研究で、記録はなくても噴出物などから噴火の証拠が見つかるケースが相次いだ。予知連では九一年に定義を「過去、約二千年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」と改め、数を八十三に修正した。
 二〇〇三年には過去の噴火時期を「約二千年以内」から二万年以内」に延ばして数も百八に増えた。一一年に二つ加えて現在の百十になった。
 千年、万年単位の休止後に噴火する火山は珍しくない。御嶽山もそうした歴史を歩んでいる。
 国土地理院の資料などによれば、御嶽山は約七十五万年前から約四十二万年前までの間に活発に活動した。約三十万年の休止を挟んで活動を再開し、約九万年前の大噴火では直径五~六キロのカルデラができた。約二万年前まで、溶岩や火砕物などの噴出が続いた。
 記録に残る最初の噴火は一九七九年の水蒸気爆発だ。産業技術総合研究所で活断層・火山研究部門の主任研究員を務める及川輝樹氏の研究では、七九年噴火と同程度か、それ以上の噴火は、最近二百五十年間はなかった可能性が高い。
 及川氏は「御嶽山は噴気や噴煙は上かっていても、噴火は起きないと思われてきた。それが七九年に噴火し、さらに活火山の見直しを促すきっかけになった」と話す。
 岐阜県のホームページでは、七九年噴火の火山灰などの推定総噴出量は約十八万トンで、百五十キロ離れた群馬県内でも降灰が確認されたことが紹介されている。九一年、○七年にも小規模の噴火があった。七九年以降はそれまでと別の場所でも噴気・噴煙が起きている。

日本列島 110活火山 噴火リスクいつも_2

大災害前提に備える意識を

 活火山の観測態勢や、噴火した際の自治体の対策はどの程度整っているのか。
気象庁は二〇〇九年、百十の活火山のうち、〈噴火した場合に社会的影響が大きい四十七の火山を選定し、二十四時間監視するようになった。地震計や衛星利用測位システム(GPS)を設置し、地殻変動のデータなどを精査。活動が静穏で「平常」なレペル一から、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生または切迫していて「避難」が相当のレベル5まで五段階に分け、警戒情報を随時発表している。
 噴火後にレベル一から「入山規制」に当たるレベール3に引き上げられた御嶽山と同じく、現在3になっているのは桜島と口永良部島。阿蘇山三宅島など五つの火山が2で、それ以外は1もしくは「レベルの発表なし」となっている。
 ただし、火山の専門家が常駐する観測施設があるのは、桜島や有珠山など一部に限られる。
 噴火した場合の各自治体の備えは、遅れている。内閣府が三月にまとめたデータでは、四十七の火山のうち、防災協議会を設置していたのは三十三、ハザードマップ(被害予測図)を作成していたのは三十七にとどまる。具体的な避難計画いを定めていたのも、関係する百三十市町村のうち二十しかなかった。

国の研究予算 地震の9分の1

 地震に比べ火山のリスクは過小に見積もりがちだ。琉球大の木村政昭名誉教授(地震地質学)は「地震は頻繁に起こり、防災に対する住民の意識も高い。火山は数十年に一回、噴火するかどうか。火山から離れた場所に住んでいる人は関心も薄い」と話す。
 こうした傾向は、国の予算面にも表れている。文部科学省は毎年、地震と火山の研究に関する政府機関や国立大学法人などの予算額を発表している。○九年度以降は二つまとめて集計するようになったが、分けてまとめていた○八年度までは百億~二百億円程度で推移していた総予算額のうち、おおむね地震が九割、火山が一割の配分になっていた。
 研究者の数も少ない。内閣府の有識者検討会(座長・藤井敏嗣東京大名誉教授)が昨年五月にまとめた「大規模火山災害対策への提言」によると、大学で火山の観測や調査に従事する研究者は四十人程度。また国立大学では、噴火の実例が少なく学術論文につながりにくいため、調査研究費が縮小傾向にある現状を紹介。火山学専攻の学生が減っているとも指摘している。
 神戸大大学院の鈴木桂子准教授(火山地質学)は「大学院博士課程まで研究を続けても、大学にポストがないために民間企業に就職し、成果を生かせない学生も珍しくない」と話す。

東日本大震災後 火山活動活発に?

 火山噴火のリスクは減っていない。有識者検討会の提言は「東日本大震災後の日本列島は、同じく三陸沖で大きな地震が発生し、火山活動が活発になった九世紀に状況が似ている。大規模噴火が短期間に連続して発生することも考えられる」と警告している。
 過去には有珠山や三原山など噴火を予知して住民の避難に成功したこともあるが、こうした例はむしろまれだ。鈴木准教授は「予知が可能なのは、比較的頻繁に噴火を起こしていて観測データがしっかりしている火山に限られる」と指摘する。
 静岡大の小山真人教授(火山学)は「二十世紀は比較的噴火が少なかった時代と言えるが、これからどうなるかは分からない。どの活火山も噴火することを前提に対策を進めていく必要がある。国や自治体、住民それぞれが意識を高めていくべきだろう」と話した。

日本列島110活火山噴火リスクいつも デスクメモ



NHKスペシャル <巨大災害 MEGA DISASTER>
第4集 「火山大噴火 迫りくる地球規模の異変」
/高度に発達した文明社会で大噴火が起きると何が起きるのか?

http://v.youku.com/v_show/id_XNzg3ODEyMTI4.html
富士山や浅間山など110もの活火山が集中する日本列島。その地下100km付近には、大量のマグマが存在し火山に向かって上昇している様子が、最新の“地震波トモグラフィー”によって捉えられている。
年間800回以上も爆発的な噴火が起きている鹿児島・桜島では、マグマが溜まり続ける様子が観察され、近い将来、大規模な噴火のおそれがあることがわかってきた。アメリカ最大の火山地帯・イエローストーンでは、地下2000km以上の深さから「マントルプルーム」と呼ばれる巨大で高温のマントル物質が上昇、その熱によって長さ60km・幅30kmに達するマグマが生まれ、地下5km付近にまで迫っていることが確認されている。
高度に発達した文明社会で、大噴火が起きると何が起きるのか。世界で最も詳細なシナリオが描かれているのが、ポンペイの悲劇で知られるイタリア・ベスピオ火山だ。噴火すれば100万人近くが暮らすナポリ市を火砕流が襲い、市街地の多くが焼き尽くされることが想定されている。
一方、アメリカ・イエローストーンで巨大噴火が起きれば、火山灰が地球全体を覆い、世界の気温が平均で10度以上も下がることが最新のシミュレーションで導き出されている。
地球の歴史上、繰り返されてきた火山大噴火。現代の私たちが経験していない大噴火は、地球環境や人類にどれほどの影響をもたらすのか。火山研究の最前線を取材し、その脅威の姿を見つめていく。



世界有数の火山国・日本で
問われる監視・観測体制
(しんぶん赤旗【とくほう・特報】)2014年10月4日

 火山災害として戦後最悪の犠牲者を出した御嶽山の噴火。世界有数の火山国・日本で、これから火山活動の活発期に突入する可能性が指摘されるなか、観測機器の維持や充実だけでなく、門家の育成さえ危ぶまれる状況があります。その噴火監視体制の不十分さにたいして、早くから疑問の声があがっていました。
(内田達朗、中村秀生、松沼環)

世界有数の火山国・日本で

関連予算 政党助成金より一桁少なく

 日本には110の活火山があります。そのうち47火山は、火山噴火予知連絡会によって「監視・観測体制の充実等が必要な火山」に選定され、24時間体制で常時観測・監視されています。
 2011年の東北地方太平洋沖地震によって、日本と周辺の地殻の状態が変化し、各地で活発な火山活動が発生する可能性があります。現在の日本は、貞観地震(869年)前後に伊豆諸島、富士山、鳥海山、新潟焼山などの噴火が続いた9世紀の状況に似ているという指摘もあります。

年間十数億円で推移

 まさに今、火山防災は待ったなしの課題です。ところが防災のための大前提となる監視観測や調査研究は、不十分です。
 昨年5月に内閣府などの有識者検討会がまとめた「大規模火山災害対策への提言」は、科学技術・学術審議会が建議する観測研究計画にもとづき大学が実施する火山噴火予知研究の予算が年間―億円程度にすぎず、「噴火シナリオの作成に欠かせない噴火履歴の調査等には十分な予算が投入できない」と窮状を訴えました
 文部科学省の資料によると、国の火山関連予算の総額は、最近20年間は大ざっぱにみて年間十数億円規模で推移しています(09年度以後の予算は地震と火山を合算しており内訳は不明)。これは米軍への「思いやり予算」(2000億円規模)より二桁小さく、憲法違反の政党助成金(350億円規模)より一桁小さい額です
 提言は「(常時観測の)47火山でさえ必ずしも観測体制が充実しているとは言えない状況」だと指摘しています。実際、気象庁によると、47火山のうち、地震計が一つしか設置されていない火山が複数力所あります。
 一方、04年の国立大学法人化にともなって国の予算が削られてきた結果、技術職員の削減で大学の観測所が無人化されたり、観測機器の維持が困難な状況も生まれました
学者は伊の30分の1
 深刻な事態は、現在の問題にとどまりません。人材の欠乏が将来の火山監視体制に暗雲を投げかけています。
 現在、大学で火山観測などに従事する研究者は40人程度。火山学で博士課程に進む学生の減少も顕著です。
 火山活動の推移や発生する現象の予測にとって、個々の火山活動のくせを知ることが重要。そ
のためには火山ごとの″ホームドクター″(かかりつけ医)が欠かせません。
 ところが、日本の1火山あたりの研究者の数は0・36人。イタリアの10・7人、インドネシアの0・85人、米国の0・83人と比べて見劣りする数です(今年3月、防災担当相の国会答弁)。
 今回の御嶽山の噴火は比較的小規模とされていますが、多数の犠牲者を出しました。日本各地では歴史的にさらに大規模な噴火による災害に見舞われてきました。火山国・日本で将来の噴火への備えの充実が急がれます。

今こそ人員・設備の拡充を

火山観測を行う現場からは、人員体制の充実を求める声が上がっています。
 気象庁の火山の観測は、東京にある本庁と三つの管区気象台が担当しています。各地の火山に地震計、観測カメラなどを設置していますが、気象庁職員は常駐していません。各地の管区気象台では、5人の職員が24時間2交代で、地震計などのデータやカメラの映像をもとに観測を続けています。
 災害発生時などは、観測に従事していない職員などの応援を受けて対応しています。しかし、政府は7月、今後、気象庁職員の定員を1割削減する方針を決定しました
 人員体制の充実を求めている国土交通労働組合の安藤高弘委員長は、「人員が不足しているのが現場の実態です。職員が減らされれば、正しい観測に必要な経験・知識が継承されず、国民の安全を守ることができなくなります。今こそ人員・設備の拡充が必要です。労組としても体制の充実へ引き続き声を上げていきたい」と話しています。


御嶽山

3ヶ所で地震計ストップ

 気象庁によると、御嶽山の火山活動監視は13力所に設置した地震計などによって行っています。このうち気象庁の地擴計は2ヵ所。1ヵ所で、地表に設置され、強風による雑音が問題となっていました。このため2ヵ所目は、地下に地鰹計を埋設しました。
 このほか、長野県が3ヵ所、岐阜県が2ヵ所、名古屋大学などが地震計を設置して、観測体制をしいていました。
 しかし、御嶽山の観測体制について詳しい東濃地震科学研究所の木股文昭副首席主任研究員は、「火山の場合、精度が1キロぐらい欲しい。現在は、密度が十分ではなく、地震の回数はわかるが、どこに起きているか、どの深さか非常に曖昧だ」と指摘します。
 しかも、噴火当時、両県が設置した5ヵ所のうち、長野県が山頂に設置した1ヵ所を含む、3ヵ所の地震計が動いていませんでした。
 長野県によると、県が設置した3ヵ所のうち2ヵ所が老朽化により昨年6月と8月から停止していました。名古屋大学が機材を提供し、今年10月にも更新する計画を進めていたところでした。岐阜県が設置した2ヵ所のうち1ヵ所は、電源を供給しているスキー場の電源が夏季には停止するため停止していました。
 木股氏は、「予知できたかは別として、山頂の地震計が勳いていれば、予知につながる一つのステップを進めた可能性があります。3000メートルを超える御嶽山で、県が地震計を維持するのは困難です。大学もひっ迫していて、観測網の維持が困難な状況です。国の責任で整備すべきです。火山地域にある測候所を廃止するなど、国は火山活動監視から大きく後退しています。地域の切り捨ての一環として、火山も切り捨てられている」と懸念を示しています。