日本が攻撃されてもいないのに戦争をしますか。本当に正気で耐えられますか?( `・ω・) | 私にとって人間的なもので無縁なものはない

日本が攻撃されてもいないのに戦争をしますか。本当に正気で耐えられますか?( `・ω・)



元自衛隊員が語る「集団的自衛権」
殺し殺されるのが実態

しんぶん赤旗日曜版2014年5月25日
元自衛隊員が語る集団的自衛権
 日本が攻撃されていないのに自衛隊が海外の戦争に参戦する-。そんな集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の変更へ、安倍晋三首相が公然と動きだしました。私的諮問機関(安保法制懇)の報告をうけ、歴代政権の憲法解釈変更を検討する、と表明(15日)したのです。記者会見で「゛戦争する国になる”というのは誤解」と必死で弁明した首相。しかし、元自衛隊員たちは「集団的自衛権行使とは戦争そのもの」と告発します。
 前田泰孝記者

元3等陸曹、レンジャー隊員 井筒高雄さん

 「どんなにごまかしても集団的自衛権の本質はひとつしかない。自衛隊が米軍やその同盟軍といっしょに海外で戦争することです。殺したり、殺されたりする。殺される前に殺す先制攻撃もする」
 そう語るのは、元陸上自衛隊の3曹、井筒高雄さん(44)=東京都在住=です。遊撃戦を遂行する小人数の隠密行動部隊、レンジャー部隊で訓練を受けた際、最初に遺書を書かされました。訓練で山中をさまよい、死は身近にありました。先輩隊員は訓練中、戦車にひかれ即死しました。
 「相手を一発で殺さず、死ぬまでの時間をコントロールする殺し方も教えられた」とも。
 そんな体験をした井筒さんだからこそ訴えたいことがあります。
 「日本が攻撃されてもいないのに戦争をしますか。本当に正気で耐えられますか。私は絶対に嫌です。だからカンボジアに派兵するPKO(国連平和維持活動)法成立を機に93年に自衛隊をやめました。日本の防衛とまったく関係のない軍事行動で死ぬなんて犬死にだと思ったのです」

 ―面で紹介した元3等陸曹の井筒高雄さん(44)。「集団的自衛権を行使して、海外で戦争するようになれば、自衛隊員だけの問題ではすまない」といいます。

 「自衛隊員のなり手が減れば、次は一般国民が動員される。軍はどの作戦でも死ぬ人、”捨て駒”になる人が何%になるかを常に計算して行動します。お金と時間をかけて養成した職業軍人は温存し、米国のように、民間軍需会社が出現することも予想できます。だから集団的自衛権は本当に国民一人一人が考えるべき問題なんです」

憲法順守を宣誓した
元2等陸曹 神田貫太さん

 福岡県在住の元2等陸曹の神田貫太さん(45)は、「自衛隊は専守防衛のはずだったのに」と語ります。
 入隊式では服務の宣誓で、「日本国憲法と法令を順守し」「もって国民の負託にこたえる」と声を大にしました。
 神田さんは、日航機墜落事故で懸命に被災者の人命を救助する自衛隊員の姿を見て感動し、入隊しました。
 「戦闘訓練より災害派遣で、本当に人の役に立っているときの方がとても生き生きと誇りを感じることができた」と言います。
 しかし、海外派兵が話題になり始めると隊内がざわつきました。
 「先輩、命令されたら行きますか」と聞くと、「銃を持った瞬間におれは逃げる」と多くの先輩が答えました。
 神田さんは訴えます。
 「米国と一緒に、日本防衛と何の関係もない戦争で命をかけることに何の意味もない。自衛隊も憲法9条によって守られてきたんだと思います」

PKOも希望者なし
元陸自1尉 加藤好美さん

 元陸上自衛隊1尉の加藤好美さん(62)は、1993年、茨城県の古河駐屯地に勤めていたとき、部下と面談し、PKO(国連平和維持活動)への参加希望の有無を確認したことがあります。
 当時はまだ”非戦闘地域″への派遣でしたが、それでも誰一人「希望する」人はいませんでした。
 「家族のことを考えると、偽らざる気持ちだったと思います。私も行かせたくなかった。もし命を落としでもしたらどう責任を取ればいいかと悩んだ。幸い、″適任者なし″と、上層部に報告し、それ以上の追及はありませんでした」
 しかし、集団的自衛権が行使されたら状況は変わります。
 「希望ではなく命令になる。いや応なしに派兵させられる。志願制度のもとでは自衛隊は成り手がいなくなり、結局、徴兵制を敷かざるを得なくなることを心配しています」


これがイラク戦争だ 元米兵語る
集団的自衛権 行き着く先は・・

しんぶん赤旗日曜版2014年6月1日
これがイラク戦争だ 元米兵語る

 解釈改憲を急ぐ安倍政権。〃戦争する国にはならない”と弁明しますが、その狙いは、集団
的自衛権の行使容認=米軍とともに海外で戦争する国づくりです。戦争の現場とは、どんなも
のか。2003年のイラク戦争に加わった元米陸軍伍長のマイケループリスナーさん(30)=ロサンゼルス在住=に聞きました。
 田中一郎記者

元米陸軍伍長
マイケループリスナーさん(30)


 プリスナーさんは、01年に陸軍に入りました。17歳の高校生のときでした。二つの理由がありました。
 一つは、大学に行く経済的余裕がなかったこと。單の新兵募集担当官は、「高校を卒業しても
経済的に苦労するだけ」と不安をあおりました。もう一つは、「米政府は、自由と正義、平等の味方だ」と信じていたから。軍に入るのは「最も崇高で名巻なこと」と考えていました。
 陸軍に入ると6ヵ月間、軍の情報関連の学校で訓練を受けました。そこで空爆や砲撃の際に使うレーダーシステムの運用法を教えられました。当時、所属していた小隊のモットーは「ポイン
ト、クリック、キル」(コンピューターの画面で照準を定めて攻撃すること)でした。
 当時のプッシュ米政権は03年3月、イラクが大量破壊兵器を保有しているとでっち上げ、イラク戦争を始めました。プリスナーさんは、第173空挺(くうてい)旅団に配属され、侵攻の第1陣に加わりました。。

 無実の人に発砲した幹部
  「親だったら…」


 イラク側の抵抗を小さく見積もっていたため、プリスナーさんの部隊では兵員が不足。プリスナーさんは、拘束したイラク人の尋問、地上偵察任務、民家への襲撃など「何でもやらされた」といいます。
 その中で自分たちがイラク解放の「救世主」どころか、「抑圧者」だと気付きました。
 忘れられない光景があります。プリスナーさんが収容施設にいたときのこと。首を撃たれたイラク人男性が連行されてきました。血を流していました。
 進行してきた兵士らは尋問しろといいました。理由は、検問所に車で並んでいたときに車列から離れたから…。それだけでした。
 撃った中尉は笑いながら、自分の行為を自慢しました。やがて尋問の本当の理由が分かりまし
た。無実の男を悪者に仕立て上げ、中尉の行為を正当化するためだったのです。
 イラク人男性は暗い部屋で、冷たい机の上に横たわっていました。血を流し、泣いていました。「家族に会いたい」と繰り返しました。
  「これが自分の父親だったら、米兵をどれだけ僧んだだろう」-。プリスナーさんはそう思ったといいます。
 19一ヵ月の派遣期間を終え、帰国。05年に軍から離れました。

 怒りと戸惑いが

 イラク戦争に強い怒りを感じていました。それに自分が加わっていたことに戸惑いがありました。06年にワシントン郊外の国防総省前での反戦デモに参加しました。同じ思いの多くの退役軍人と出会い、「自分の居場所を見つけた」と思いました。
 プリスナーさんは現在、元米兵らでつくる平和組織「平和のための退役軍人会」の理事を務めています。
 日本で安倍政権が進める集団的自衛権行使に向けた動きを懸念しています。
 「日本での極右とナショナリスト(国家主義者)の台頭を憂慮しています。私たちは、自分の国の好戦的で強欲な支配勢力とたたかわなければいけません。日本の仲間たちと国境を超えて連帯します

イラク戦争米兵死者4500人

 米国が起こしたアフガニスタン戦争(2001年開始)とイラク戦争(03年開始)で日本は、自衛隊を派遣したものの、特別措置法で”武力行使しない”″戦闘地域には行かない″と縛りをかけざるをえませんでした。
 他方、米兵の死者数は、アフガン戦争で約2300人。イラク戦争で約4500人に達します。(民間ウェブサイト「イラク連合軍犠牲者総数」の集計)
 両戦争から帰還した米兵は約260万人。米紙ワシントンーポストの帰還米兵調査によると、派遣前より心の健康が悪化したと答えた人が31%。「帰還米兵で自殺者や自殺未遂者を直接知っている」と答えた人は51%に及んでいます。
 帰還兵による殺人事件も相次いでいます。今年4月には米南部テキサス州のフォードフット陸軍基地で、イラクから帰還した米兵が3人を射殺し、自殺する事件がありました。発砲した米兵は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性が指摘されています。
 日本の集団的自衛権行使の「モデル」とされる英国では、アフガンで約450人、イラクで約180人が死亡しました。

平和憲法は国を守る

 集団的自衛権を容認するために展開した安倍首相の理論は極めて稚拙です。あたかも集団的自衛権の″限定的な″行使がありうるような話は間違っています。
 集団的自衛権の本質は一つです。米国が第三国から攻撃を受ければ、日本はその第三国から攻撃を受けていないにもかかわらず、その国との戦争に参加する。それだけです
 いくら日本が″限定的ですから″といったところで相手国に通用するはずもない。いったん攻めれば全面戦争を覚悟しなくてはなりません。それは軍事の常識です。
 首相が例示した事例は、日本人の救助を含めてどれも個別的自衛権で対応可能です。ただの一つも限定的な集団的自衛権の例を示すことができない。それもそのはず。そんなものは存在しないからです。
 平和憲法があるがゆえに、日本は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争にも直接参戦することがありませんでした。イラク戦争でも、ぎぴぎり″海外派兵ではない″と武力行使と一線を画すことができたんです。
 安倍首相は、”国際情勢が緊迫してきた″と繰り返していますが逆だと思います。米ソ対決の時代はいつ核戦争になるか、いつ地球が全滅するかという危険な事態でした。
 昔よりは、平和な時代でおり、尖閣諸島もしっかり守られているのに、なぜ、兵を用い、血を流すことを好むのでしょうか。自衛隊員はたまったものじゃないですよ。
 部下を殺さない指揮官こそ一番優れた指揮官です。みだりに兵を用いることを好むものは滅びますよ。
 日本は海外派兵をめざす防衛政策を改め、平和憲法のもとに祖国防衛中心の政策に立ち返るべきだと私は思います。



外交・安保の実務者 「安倍法制懇は非現実的」
(田中龍作ジャーナル)
http://tanakaryusaku.jp/2014/05/0009396

「国民安保法制懇」の設立記者会見。元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は「(立憲主義への)危機感に加えて怒りすら覚える」。=28日午後、参院会館 写真:筆者=

 「安保法制懇」が、国民の声を聞かない安倍首相の私的諮問機関であるなら、我々は国民の立場に立った安全保障論議をしよう。法律家、元外交官、元国連職員らがきょう、「国民安保法制懇」を発足させた。

 メンバーは元内閣法制局長官の阪田雅裕氏、元外務省国際情報局長の孫崎享氏、紛争解決請負人の伊勢崎賢治氏ら12人。外交や安全保障の実務を知る人たちがいるのが特徴だ。

 安倍首相の唱える「集団的安全保障の容認」がいかに現実離れしているか。元実務者たちが斬りまくった―

 元国連職員の伊勢崎賢治氏は、安保法制懇が事例として挙げる「駆けつけ警護」がいかにナンセンスかを指摘した―
 
 「安倍首相の説明で自衛隊が国連のPKO要員として入った時に、現地で働いている日本のNGOワーカーや国連職員を助けられないじゃないか。9条が足かせになって集団的自衛権が行使できないで困るという。これは非常に不謹慎だ」

 「多国籍軍に同道した経験があるが、国連は国籍を差別しない。国連ピースキーパー全体として、現地で働いている軍民官を一丸となって、正当防衛という形で区別せずに彼らを警護する。国連の安全保障の議論上、問題にすることは非常に不謹慎だ。こういう議論をなさらないで頂きたいと首相官邸に申し上げたい」

 「駆けつけ警護と言う言葉、現場の我々の中でそんな言葉はありません。駆けつけて当たり前だ。ピースキーパーであろうと、国籍が違う部隊であろうと、ひとつの部隊が窮地に陥っている時に助けないという事態はありえない。駆けつけ警護は当たり前の正当防衛だ」。

 伊勢崎氏はアフガニスタンで紛争当事者の間に入り武装解除に漕ぎ着けた。内戦が続いていたシエラネオネ、東チモールなどでも紛争解決にあたった。武力衝突の現場では、安倍首相が唱えるような集団的自衛権の行使はあり得ない―伊勢崎氏はこう説いているようだった。


解釈改憲反対は安倍独裁への反対でもある。=首相官邸前 写真:筆者=

 元外交官の孫崎享氏は邦人保護の観点から「安倍法制懇」の不自然さを指摘した―

 「自分自身、邦人の危機があったイランやイラクなどで仕事をして来たが、邦人を米軍の飛行機や艦隊が来て助けてくれる等のシナリオはどの大使館も持っていないと思う」

 「イラン‐イラク戦争時のテヘランで助けに来たのは米軍ではない。日本のコミュニティが手配してトルコ航空が出してきた。邦人保護という問題が集団的自衛権の問題として出てくるのは、すりかえであろうかと思う」。

 孫崎氏は邦人がテヘランからトルコ航空機で脱出した翌年の1986年にイラク大使館参事官を、99年にはイラン大使を務めた。邦人救助の現場を知る孫崎氏は、米軍の日本人救助はあり得ない、ということを知り抜いているようだった。

 元内閣法制局長官の大森政輔氏は「安倍総理が指示する方向に結論があって(安保法制懇は)それに理由づけをしただけ。実にひどい」と眉をしかめる。

 自衛隊が紛争地域に派遣されれば、日本は否応なく紛争に巻き込まれる。現実離れした陳腐な理屈が、悲惨な現実をもたらす。


石破 「日本の若者も戦争で血を流せ」
石破幹事長 「日本の若者も戦争で血を流せ」





首相「戦闘地域活動」否定せず
(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/kyodoPoliticsNews/idJP2014052801001927
 安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会集中審議で、自衛隊の海外任務拡大に向け、憲法が禁じる「他国の武力行使との一体化」の制限緩和を検討していく方針を表明した。一体化を避けるため設定してきた「非戦闘地域」の考え方の見直しにも言及し、戦闘地域での自衛隊による支援活動を明確には否定しなかった。戦闘地域での活動に実際に乗り出せば、安全保障政策の大きな転換となる。

 一体化の制限緩和は、国連決議に基づく多国籍軍への後方支援拡大などが念頭にある。首相は一体化を禁じること自体は維持するとした上で「何が一体化する行為なのかを明確にすることは検討課題だ」と強調した。


集団的自衛権もう拡大 首相答弁 その時 対抗する「安保懇」始動
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014052902000112.html
集団的自衛権もう拡大 首相答弁

 安倍晋三首相は二十八日の衆院予算委員会で、武力で他国を守る集団的自衛権の行使容認に向け、政府が与党に検討を求めた十五の具体的事例のうち、邦人輸送中の米艦防護について「私は一言も米国以外の船はだめと言ったことはない」と述べ、米国以外の船籍でも邦人を輸送する場合は護衛対象に含む考えを明らかにした。与党は政府が示した具体的事例に沿って協議に入ったが、首相の発言は検討対象に示した事例以外にも、集団的自衛権行使の対象が広がる可能性に言及したものだ。
 首相は予算委で、米国以外の船籍を護衛対象に含める理由を「どこの国の船であれ、避難する邦人の命を守る責任を負っている」と説明した。また、邦人輸送を理由にした米艦防護も「避難計画は米軍とともに立てる共同作戦。日本人が乗っていない船は護衛できないということはありえない」と述べ、邦人が乗っていない米艦でも自衛隊の護衛対象とする考えを示した。
 その他の事例では、ペルシャ湾での機雷掃海への参加について、機雷で原油輸送に支障が出る事態を想定し「わが国の商船隊の95%は外国船籍。攻撃を受けた場合は個別的自衛権で対処できない」と述べ、行使容認の必要性を強調した。
 また自衛隊の海外活動に際し、憲法が禁じる「武力行使との一体化」について「何が一体化する行為か明確にすることが課題。非戦闘地域、後方地域の概念も含めた検討が必要」と、判断基準の見直しを目指す考えを明らかにした。

◆「解釈改憲は立憲主義を破壊」

 集団的自衛権の行使を認める解釈改憲に反対する「国民安保法制懇」が28日、設立記者会見を国会内で開いた。会見は、衆院予算委員会で安倍晋三首相が行使容認を唱えたのと同じ時間帯で、委員らは「解釈改憲で行使を可能にすることは立憲主義の破壊に等しい歴史的暴挙だ」と首相を批判した。
 法制懇は樋口陽一東大名誉教授ら憲法、国際法、安全保障の重鎮や専門家12人が安全保障への考えの違いを超え「解釈改憲は許されない」との一点で一致。会見に6人が出席した。

 小林節慶応大名誉教授は、首相が「イラク戦争、湾岸戦争に武力行使を目的に参加することはない」と発言していることを「放置するとわが国の安全保障に重大な影響が出ると首相が考えれば、どの場合でも武力行使できる。歯止めでも何でもない」と批判した。


集団的自衛権 国会論戦始まる 限定条件 早くも骨抜き
(東京新聞【核心】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014052902000126.html
 安倍晋三首相が憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認の検討を表明してから、初の本格論戦の場になった二十八日の衆院予算委員会。首相は、行使容認が必要との自説を押し出した。政府が示した事例の枠を自ら広げるなど踏み込み、解釈改憲に反対する公明党との溝も一段と鮮明になった。野党各党にとっては議論に参加する機会だったが、行使への賛否では温度差も表面化した。
(新開浩、後藤孝好)

集団的自衛権国会論戦始まる 限定条件早くも骨抜き

与党協議の説明一転

■意欲

 首相と公明党の考えが食い違ったのは、避難民を輸送する艦船を自衛隊が守る事例だ。
 政府は二十七日の与党協議で、集団的自衛権の「限定容認」の事例として、邦人が乗っていて、なおかつ米艦船であることに絞り込んだ活動をイラスト入りで示したばかり。主に朝鮮半島で有事が発生し、韓国から邦人が避難する可能性を想定してのことだ。
 だが、首相は予算委で、邦人が乗っていない米艦船を守る可能性に関し「乗っていないから守
れないという避難計画を立てることは現実的ではない」と明言した。質問したのは、与党協議メ
ンバーの公明党の遠山清彦氏。仮に米艦防護が限定容認の事例になるとしても、邦人が乗っていなければ認められないと主張し、首相の答弁には「それが認められるのか。しっかり考えないといけない」と納得しなかった。
 首相は民主党の岡田克也元代表との質疑では、邦人が乗っていれば、米国の船でなくても守れるとも言い切り「分かりやすい例として米国を挙げた。さまざまなケースがあるから検討してもらう」と強弁した。首相の答弁で米艦防護の政府事例は、わずか一日で「限定」の範囲が大幅に広がり、骨抜きになった。
 首相は、`別の事例である海外での機雷除去にも強い意欲を示した。輸入する石油を運ぶタン
カーが通る中東・ペルシャ湾入り口のホルムズ海峡を挙げ「ホルムズ海峡に機雷が敷かれて、国際社会の合意ができたときに、日本船が多く通るのにやらなくていいのか」と力説。「危険な活動」との見方には「不正確な議論をまき散らすべきではない」と強い不快感を示した。
 まだ与党協議が始まったばかりで、「協議に差し障るようなことは言わない」(周辺)はずだったのに、首相は行使容認を前提にした発言を続けた。異論ばかりを唱える公明党への不満もにじむ。

野党は追及に温度差

■表面化

 集団的自衛権の行使容認へ踏み込んだ発言を続けた首相に対し、野党は共産党の志位和夫委
員長らが「海外で戦争する国への大転換を、絶対に認めることはできない」と批判を強めたが、各党の立場は反対から容認まで幅広かった。
 生活の党の鈴木克昌幹事長は「国民の意思を問わず、統治権力だけで行使を認めるのなら、立憲主義が成り立たない」と反対論を展開。結いの党の江田憲司代表も「歴代政権が築き上げてきた憲法解釈がある。憲法の長年の安定性を重んじることも大事だ」と慎重論を唱えた。
 これに対し、日本維新の会の小沢鋭仁国対委員長は首相の容認論に「認識は全く同じだ」と
同調。みんなの党の浅尾慶一郎代表も「自衛権を憲法に書き込むべきだ」と主張した。
 民主党の岡田氏は「首相は集団的自衛権の事例をつくるのに熱心で、本当に日本人を守るという認識が欠落している」と批判したが、賛否両論がある党内事情を踏まえ、容認するかどうかは「今後の議論の中で判断したい」と述べただけだった。

鈴木克昌(生活の党)【集団的自衛権集中審議】衆議院 予算委員会 5月28日

http://youtu.be/1RGgKyspaSw


首相「戦地」派兵否定せず
衆院予算委 志位委員長が追及
憲法破壊 断じて許さない

(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-29/2014052901_01_1.html
 集団的自衛権の行使容認を含む憲法解釈の変更によって、「戦闘地域に行かない」などとしてきたこれまでの海外派兵法の歯止めが失われる――。日本共産党の志位和夫委員長は28日の衆院予算委員会でこう追及し、その危険性を浮き彫りにしました。安倍晋三首相は「戦闘地域に行かない」との歯止めの見直しを否定しませんでした。志位氏は「憲法破壊の暴挙を中止せよ」と迫りました。

論戦ハイライト

 志位氏は、米国が主導したアフガニスタン戦争(2001年~)、イラク戦争(03年~)への派兵の根拠となった両特別措置法に、「武力行使をしてはならない」(2条2項)「戦闘地域に行ってはならない」(2条3項)との歯止めが明記されていたことを指摘(表)。憲法解釈の変更によって、“二つの歯止め”が失われることになると追及しました。

 安倍首相は「武力行使を目的とした戦闘行動に参加することはない」と釈明する一方、“二つの歯止め”を「残す」とは言いませんでした。

 志位氏は、両戦争当時の米政府高官が、当時の日本が集団的自衛権を行使できていれば、「派兵要請したと思う」などと証言している事実をあげ、行使が現実の問題となったのは政府があげるあれこれの事例などではなく、アフガン・イラク戦争だと批判。「非戦闘地域」に限定してきた補給・輸送・医療など米軍への支援活動に対して課してきた歯止めを残すのかと重ねてただしました。

 首相は「非戦闘地域、後方地域という概念も含めた検討が必要ではないか」と述べ、自衛隊の戦場での活動範囲を見直す考えを表明。志位氏は、「自衛隊が『戦闘地域』に行くこともありうるということで、きわめて重大な答弁だ」と批判しました。首相の答弁は、これまで「非戦闘地域」に限定してきた米軍などへの支援活動を、「戦闘地域」でもできるように「検討」を進めようというものです。

 さらに首相は「何が(他国軍の)武力行使と一体化する行為なのかを明確にすることは検討課題だ」とも述べ、「後方支援」の内容についても拡大する方向で見直す意向を示しました。

 志位氏は、米国の要請で集団的自衛権を行使したNATO(北大西洋条約機構)21カ国で犠牲者が1031人にのぼり、「後方支援」のみの参戦であっても多くの死者が出ていることを指摘。「『海外で戦争する国』への大転換を憲法解釈の変更で強行することは断じて許されない」と強調しました。

 非戦闘地域と後方地域 政府は憲法9条の下、海外での武力行使を禁じていますが、アフガニスタン、イラクの両戦争へ派兵を可能にするため、戦場を「戦闘地域」と「非戦闘地域」という概念に区分。「非戦闘地域」に活動を限定することで「他国の武力の行使との一体化」にあたらないとの“論理”をつくりあげました。朝鮮半島有事などでも同じ理屈で、自衛隊の活動は「後方地域支援」に限定されています。

非戦闘地域と後方地域

志位和夫(日本共産党)【集団的自衛権集中審議】衆議院 予算委員会 5月28日

http://youtu.be/ZUGdkV668pY