石棺 | 私にとって人間的なもので無縁なものはない

石棺



石棺    斎藤紘二

その中で科学の全能を否定するために
その内側に文明の傲(おご)りを閉じ込めるために
まずは石棺の準備を急がねばならない
原子炉を襲うtsunamiが
あり得ないひとつの仮構とされた歴史を
今はにがく思い出しながら

焼(く)べた薪の火がはぜる暖炉ではなく
ただひたすら臨界のつづく炉の内部で
知らぬ間に融合されていた新しい時代のクライシス
安全神話の炉心溶融(メルトダウン)が近づいていた海辺の建屋

神話は滅びるための美しい仮象であろうか
三月のとある寒さの厳しい午後
時化(しけ)た海のマグロ漁船のように
この国の半分が激しく揺れて
やがて水素爆発とともに滅びた神話よ
信じてはならないものを信じたゆえの
あの爆発がこの国の風景を変えたのだ
自然の風景 心の風景もろともに

春まだ浅いふくしまの海辺
恐山の荒涼たる景色の地平を遥(はる)かにこえて
ヒロシマ・ナガサキの惨劇につらなるところ
人々は涙ながらに
はてしなく臨界を欲望する原子炉と
人間の倨傲(きょごう)をともに封印しようとするのだ
腐食(ふしょく)する木棺ではなく 石棺の中に
けっして腐食することのない石棺の中に




斎藤 紘二 さいとう ひろじ

1943年10月12日、樺太生まれ。
引き揚げ後、秋田県横手市で育つ。東北大学法学部卒業、現在仙台市居住。
中学2年頃から詩作を始め、大学卒業後に勤務した国立療養所時代に私家版詩集『直立歩行』を出版。
20代に詩人会議に所属し、『現代青年詩集』(秋津書店)などに作品を発表する。2006年5月、思潮社より『直立歩行』を上梓。同年12月、『現代詩手帖年鑑』で『直立歩行』の中の「自由」という詩が『2007年代表詩選140篇』のひとつに選ばれる。




20130713 R/F #027「小出裕章ジャーナル」

http://youtu.be/vpkyvwJ6r6Y
今西:
今日は広瀬隆さんにもスタジオに来ていただきまして、原発のお話を色いるかがって行きたいと思いますが、福島第一原発ですね、
$私にとって人間的なもので無縁なものはない
今廃炉作業が進んでおるんですけれども、6月27日にですね、政府と東京電力が、福島第一原発の廃炉の工程表を改定したという公表をしました。
$私にとって人間的なもので無縁なものはない
最大の難関であるですね、1号機2号機3号機の原子炉内に落ちた核燃料、要するにメルトダウンした燃料ですね。
その回収が、順調に進んだら「1号機2号機は従来の計画より約1年半早い2020年度前半に始める」というような会見の内容でした。
なんか、かなりスムーズにいくのかな?と思えてならないような気もするのですが、小出さん、そのあたりはどのように見ておられるでしょうか?

小出:
出来ません、残念ながら。全く絵に描いた餅です。

今西:
広瀬さんはこの改定をみられていかがかご感想をお持ちでしょうか?

広瀬:
まずあり得ないですね、まずそんなことは無理です。

今西:こういうあり得ない事が原子力ムラでは簡単に通ってしまうという、非常に不思議な気もするのですけれども、小出さん、どういう所が一番ポイントとしてあり得ないと思いましたでしょうか?

小出:
いま進行している事故というのは、人類が初めて遭遇した事故なのです。これまでの最悪だと言われていたのは旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故でしたが、そこで溶け落ちたのは、原子炉が一つなのです。
$私にとって人間的なもので無縁なものはない-象の足
チェルノブイリ原発の溶けた炉心

今福島では3つの原子炉が溶け落ちてしまって、さらに4号機という、溶け落ちてはいないけれども、建屋が壊れかけて膨大な死の灰を抱えたままの使用済み燃料プールが宙ぶらりんになっているというような、大変な、いま事故が進行しているわけで、簡単に「どうこう」言えるような事態ではないのです。
$私にとって人間的なもので無縁なものはない

今西:
なるほど。広瀬さんはそのあたりどのように見ておられるでしょうか?

広瀬:
ま、いま今西さんがおっしゃった燃料をね、メルトダウンした燃料がそもそも、ま、最悪の場合コンクリートの下にめり込んでいます。原子炉を突き破ってね。
$私にとって人間的なもので無縁なものはない
それはもう、これは取り出すとか取り出さないとか、そういうような話じゃないです。
それと原子炉の、おそらく壁の中にもへばりついたような形で、いろんな形で、まァ細切れになっている可能性も非常に高いし、そんなものをですね、仮にロボットをつくったからって取り出せませんよ。

今西:
そうですよね。それにメルトダウンしたその燃料というのはですね、私も実際原発で作業しておられる専門家の方にも聞いたんですが、「かなり重いんだ」というふうに聞いたんですが・・

広瀬:
そりゃ重いですよ、ウランですから。ね。

今西:
感じとして100kgとか200kgとかそういう単位なんでしょうか?

広瀬:
いえいえ、これは小出さんに聞いた方がいいです。

今西:
小出さん、いかがでしょうか?

小出:
ウランの塊は100トンあります。

今西:
100トンですか…すみませんキロじゃなかったですか。

小出:
それも、セトモノ状に焼き固めてあって、もともとはあったのですが、そのセトモノは比重が20というモーレツに重たい物なのです。
ウランというのはもともと重金属の一種で重たいもの。
だからこそ、劣化ウラン弾という形の、超優秀な砲弾にもなるわけですけれども、その重たいものが100トンも溶け落ちてどこへ行ってしまっているのか、今でも分からないというそういう状態なのです。
いま広瀬さんもおっしゃって下さったけれども、それがもう、塊になっているというだけではなくて、もうそこらじゅうにあちこちにへばりついてしまっているという状態にありますので、それをいずれにしても全量回収するなんていうことはできませんし、わずかな物でも回収しようと思えば大変な被ばくになってしまいますので、私は多分、作業自身が実質的にできないと思っています。

今西:
なるほど。
けどいまの廃炉作業のやり方をみておりますとですね、まぁまぁ建屋を一定のところまで潰しして、その上に覆いをかけ、そしてメルトダウンした燃料を取り出すという方向で首尾一貫やっておるんですけれども、これが、そうすると、全く無駄な作業に終わってしまうという可能性もあると言う事なんでしょうか?

小出:
今やっているのはまずは使用済み燃料プールの底に眠っている、これ以上燃やせない、つまり核分裂生成物が目いっぱいたまったという使用済み燃料が、プールの底に眠っているのですが、それを少しでも危険の少ないところへまずは移さなければいけないという作業をしているのです。
私はその作業は絶対にやらないといけないと思いますし、東京電力にも急いでやってほしいと願ってもいますが、その作業自身が大変困難な作業で、これから何年かかるのか、それすらが分からない。

今西:
そうするとあれですね、溶け落ちた燃料を取り出す以前の問題ということになりますね?

小出:そうです。
溶け落ちた燃料は広瀬さんが今おっしゃって下さったように、そんなものをつかみだすことはまず「出来ない」のです。でも、今のところまだ溶け落ちていない使用済みの燃料というものは、どうしてもプールからさなければいけないという仕事があるわけで、それをいま何とかやろうとしている訳ですが、それだけでも大変な作業で、10年かかるか、20年かかるか分からないという、そういう仕事なのです。

今西:
それでまァ、日本より前にですね、チェルノブイリ原発で大きな事故が起こりました。
その際にはコンクリートで原子炉自体を固めてしまう「石棺」という方法がとられました。
$私にとって人間的なもので無縁なものはない
福島第一原発の時も、今回の事故でも、当初そういう方法を取るのではないか?というような話もあったのですが、現状のところは燃料を取り出す所にかなり固執しているような気がするのですけれども・・

小出:
燃料を取り出さない限りは石棺で覆う事が出来ないのです。
石棺で覆ってしまうと、使用済み燃料プールの底に今眠っている使用済みの燃料を取り出すことすらできなくなってしまいますので、まず、作業の優先順位としては使用済み燃料プールの底に眠っている使用済み燃料をまずは移す。
$私にとって人間的なもので無縁なものはない
その次に国や東京電力が言っているように、溶け落ちた燃料を何とか掴み出せるかどうかという作業が、始めて考える事ができるようになるのですが、
$私にとって人間的なもので無縁なものはない
それは私は多分出来ないと思いますので、その段階で諦めて「石棺」というものをつくるという事になると思います。

今西:
なるほど。
広瀬さん、福島第一原発でですね、事故の収束作業としてチェルノブイリ原発に見習うべき、手本にすべきところという事がもしあればと思うんですが。

広瀬:
えっとね、状況が違うんですよ。
いま、要するに新聞やなんかで断片的に見ているのと違って、今実際に福島第一で毎日3000人ぐらいの作業者の方がやっている作業っていうのは、もう、本当にかわいそうなんですけど、
被ばくしながら、要するに汚染水やなんかをどこへやるか?というね、そういう日常作業にほとんど追われているんですよ。
だから今小出さんがおっしゃったようなきちっとした作業っていうのは、ま、別のグループが一応ゼネコンと組んで、建屋を組んだり、骨組みを作ったりして、たとえば一番危険な4号機について、そういう燃料を取り出すための土台作りをやっている訳ですけれど、現実に作業している人たちの作業っていうのは、もうそういうもんじゃないんです。

今西:
日常の目先の作業

広瀬:
もう、めちゃくちゃなんですよ。それは今西さんがご覧になった通り、あの状況と何も変わってないんですよ。基本的に。
もうめちゃくちゃな中で、作業員の人が送りこまれて、「これをあっちやれそっちやれ」っていう作業をね、毎日必死でやっている。それが現実なんですよね。
だからこういうなんか、ポンチ絵みたいなのをね書いてやるっていう段階のところへは、たぶんね、いってないと思います。
我々は東電とヒアリングもやったんです。
だけど彼らは、東電のこっちに、東京なんかに居る人達はね、何も分かっていないです。かわいそうに。現場を分かってないです。

今西:
そうなんですね、小出さん、そういう現場をよく分かっておられない方が陣頭指揮をとり、いま、廃炉作業が進んでいるという現状を聞くとですね、もう言葉もないんですけれども、いかがお感じになられますでしょうか?

小出:
確かに広瀬さんがおっしゃったように、今はとにかく日々悲惨な作業を続けるという事に追われているのですね。でもやはり仕方がないのです。
もう事故がここまで来てしまっていますので、とにかく何とかこれ以上汚染をひどくさせない。
事故をこれ以上進行させないという事をやらなければいけませんので、それに追われているという状態なのです。
私が心配しているのは、若い人たちも含めて、殆ど被ばくに対して知識のない人達が、下請け孫請け構造。
1次、2次3次…何か10次にまで及ぶというような、そういう下請け構造の中で、毎日被ばくを強要されて働いているという、そういう事が一番心配です。
$私にとって人間的なもので無縁なものはない-原発労働の下請け構造

今西:
わかりました。
小出さんありがとうございました。



被曝する労働者達:下請け・日雇いが支える原発の実態

http://youtu.be/wuvwO1RlIVo


20110809 原発下請け作業員の実態

20110809 原発下請け作業員の実態 投稿者 PMG5
福島第一原発では先週、人がほぼ確実に死亡する1万ミリシーベルトが計測された。未だ高い被ばくリスクと隣り合わせの作業だ。重層的な下請け構造がつづく原発労働の裾野で、いま搾取の構図が見え隠れする。危険手当もピンハネ? 原発労働の実態に迫る。


原発収束作業の現場から ある運動家の報告(再掲)
(福島 フクシマ FUKUSHIMA)
http://fukushima20110311.blog.fc2.com/blog-entry-54.html

ピンハネ率93%・核燃料プールに潜る外国人労働者-重層的下請構造で使い捨てられる福島原発労働者(放射能を考える下町ネットワーク)
http://nonukes-edogawa.jimdo.com/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E3%81%AE%E5%A3%B0-%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF%E9%9B%86/%E3%83%94%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%8D%E7%8E%8793-%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81%8D%E5%B8%82%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%A0%B1%E5%91%8A/
 福島第1原発の労働者の多くが宿泊する福島県いわき市で市議会議員をやっています渡辺博之です。

 上の図は私が作成した「原発の重層的下請構造の構図」です。

 東京電力から日立や東芝などプラントメーカーなどへの発注のほか、「東電御三家」と呼ばれている「東電工業」「東京エネシス」「東電環境」という2次下請の企業に発注されます。この「東電御三家」の下に、3次下請となる「常駐下請」の企業がそれぞれ20社ぐらいずつぶら下がっています。

 さらに、その下請として、地元の専門業者が4次下請となります。4次下請は、パイプやバルブ、電気など、それぞれ固有の技術力を持っている業者で、ある程度地元では知名度がある企業です。

 この4次下請の専門業者が、5次下請となる「派遣会社」――「派遣会社」と一応呼んではいますが実態はまともな派遣会社からすれば一緒にしてくれるなと怒り出すような違法な「人夫出し業者」と言うべきものです――この人夫出し業者(派遣会社)を経由して、必要なだけの作業員をかき集めているのです。

 さらに、人を集めることができなければ、その下に、6次、7次の下請となる人夫出し業者(派遣会社)から作業員を集めることになり、場合によっては20次下請ぐらいまでの重層的な人夫出し業者(派遣会社)がからんでくることもあります。

 5次下請以下の人夫出し業者(派遣会社)になると、下請の順位はその都度入れ替わったりしますし、派遣会社から派遣会社への多重派遣というのも日常的に行われてます。
 実際の労働者は、5次以下の下請となる人夫出し業者(派遣会社)に雇われていたとしても、書類上は「常駐下請(3次か4次下請)」の社員ということにされています。しかし、給料は実際に雇われている4次下請以下の人夫出し業者(派遣会社)から受け取ります。

 東電からは労働者の日当が多い場合1人10万円ぐらい出ていますが、この重層的下請構造の中で中間搾取され、4次、5次下請労働者で日当8千円ほどにされ、さらに末端の原発労働者では私が知っている中で最も低い日当は6千500円程度でした。底辺の原発労働者の実態は、日当10万円から9万3,500円も中間搾取され、ピンハネ率は93%で9割を軽く超えているのです。

 原発労働者には、大きく分けて技術者とそれを支える簡易作業労働者がいます。技術者は継続して雇用されるわけですが、簡易作業労働者は必要なときだけ雇用されるという不安定な状態に置かれます。

 とりわけ簡易作業労働者が大量に必要とされるのは、原発の定期検査のときです。原発1基の定期検査で、4千~5千人が必要とされるわけですが、たとえば福島原発の立地町の一つである双葉町のすべての労働人口でも4千人程度ですからとても足りませんので、いわき市など周辺地域からも多くの労働者が駆り出されることになるのです。そして、必要なときだけ多数の原発労働者を集めるために重層的下請構造が利用されているのです。

 原発下請労働者の社会保険未加入問題

 こうした重層的下請構造の中で、福島原発事故が起こる前から、私のところには多くの原発労働者から様々な相談が持ち込まれてきました。一番多い相談は、健康保険や雇用保険などの社会保険未加入問題です。一例を紹介すると、失業して生活ができないと相談に来た30歳代の方ですが、原発下請労働者として1年間働いていたにもかかわらず、雇用保険未加入で失業給付を受給していませんでした。失業後も雇用保険に加入できるので失業給付の受給手続きをすすめたのですが、その方は「これから先も原発で働くかもしれない。手続きをすれば、会社から悪く思われ再び原発で働くことができなくなる」と拒否されました。その方は健康保険証も持っていませんでした。

 また別の原発派遣労働者の方は、社会保険未加入問題について話をすると、「最初から社会保険に加入しないという条件で原発で働かせてもらっているのに、文句を言う奴はとんでもない」と語るなど、仕事がなかなか見つからない人にとって、社会保険に加入させてもらえなくても仕方がない、原発労働の多重派遣の中で賃金が中間搾取されても仕方がない、働けるだけまだましということにされてしまっていて、貧困問題は原発労働においても劣悪な労働者状態を蔓延させる要因になっています。

 こうした相談を受けて、東京電力に対し、原発下請労働者の社会保険未加入問題の実態調査と改善を求める申し入れなどを昨年2月にも実施しましたが、東電側は「下請・孫請会社の調査は難しい」、「プライバシーの問題もあり実態把握が困難である」などと繰り返すばかりで問題解決をはかろうとする姿勢は一切見られません。

 危険手当までもピンハネされているのでは

 福島原発事故が発生してからは、事故収束のために賃金のほかに危険手当が支給されるようになりましたが、3~4月は1日の危険手当が10万円弱でしたが、5月以降は危険手当が1万円程度の人と、5百円~千円程度の人、まったくもらえない人もいるなど、「危険手当までもピンハネされているのではないか」と語る労働者もいるほどで、原発ジプシーと呼ばれる他県の原発から来た労働者なども危険手当が出ないので帰ってしまう人も出ています。事故発生で放射線量が高く危険が多いのに危険手当も満足に出ないのでは福島原発で働こうという労働者が不足するのは当然ではないでしょうか。この労働者不足にもつけこんで暴力団など反社会的団体の跋扈を許すことにもなっています。そして技術者も不足し、素人が作業をせざるをえない状況も生まれているのです。

 東電による徹底した労働者の口封じ
 「マスコミに話したら仕事やめてもらう」


 現場の仕事によって被曝線量が多い所と少ない所があるので、それを考慮して仕事を変更しながら進めたりする必要があるのに、仕事が固定化されています。そうした問題があるのに、原発下請労働者は「何があっても訴えません」という念書を書かされた上で働かされています。また、徹底した箝口令が布かれています。東電は原発下請労働者に対して、「マスコミに匿名で話をしたら、誰が話したか分かり、仕事をやめてもらうことになるぞ」という脅しをかけることで徹底した労働者の口封じをはかっているのです。

 複雑な重層的下請構造は
 暴力団など反社会的団体の介入許す温床


 また、複雑な重層的下請構造は、暴力団など反社会的団体の介入を許す温床にもなっています。福島原発事故前にも、ヤミ金で返済不能になった人や多重債務者などを原発労働者として無理矢理に働かせることなどがありましたが、事故後はさらに暴力団の介入が激しくなっています。作業現場では私物が盗まれるなどの問題が多くなり、まじめな労働者が安心して働けない状況にもなっています。「働く人数が少なくなってもいいから暴力団関係者がいない方が作業が進む」と私に訴える労働者もいるほどです。

 原子炉・使用済み核燃料プールで
 潜水作業させられる外国人労働者


 それから、原発における労働者使い捨ての象徴とも言える外国人労働者の問題があります。外国人労働者は、原発の定期検査のとき、水が入った原子炉や使用済み核燃料プールに潜水して修繕箇所の事前チェックをさせられているのです。私は実際に福島原発で働かされていた外国人労働者のプール潜水作業を手伝っていたという日本人原発労働者から直接話を聞きました。プールの中は水が青く光っているなどして外からだけではなかなか修繕箇所などが見づらく、人間が実際にプールにもぐって事前チェックをする必要があるそうです。この危険な潜水作業を外国人労働者にやらせていて、潜水作業後は、放射性物質を体外に出すという目的で利尿作用のあるビールを飲ませるそうです。外部の人間が原発構内を視察する場合などには、外国人労働者は目につかないようにしているそうです。あくまで噂話ですが、原発労働者の間では、そうした外国人労働者は囚人が連れてこられているのではないかとまことしやかにささやかれているそうです。外国人労働者が原発でこうした使われ方をしていることは、私自身、多くの原発労働者から実際に聞いていますので、日本の多くの原発で現在も日常的におこなわれていることだと推測しています。

 国際的にも最悪で深刻な福島原発事故のもとで原発労働者のこうした重層的下請構造と無権利状態、使い捨て労働に拍車がかかっています。過酷な状況のなかで被曝しながら働いても、原発下請労働者には何の補償もない現状を即刻あらため、中間搾取をやめさせ、相応の手当を払うなど労働条件の向上が必要です。

 福島第1原発を廃炉にする作業は今後数十年かかると言われています。技術者を全国から集めるためにも、東電は相応の緊急災害手当を支給するとともに、末端の労働者にも届いていることをすぐに確認すべきです。(福島県いわき市議・渡辺博之氏による「原発労働問題~現場からの報告」)



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驚愕! 
東電幹部 原発再稼働へ向けて猛暑を念じ、経産省幹部へメール
(週刊朝日)
http://dot.asahi.com/wa/2013071000002.html
 電力4社は7月8日、原発の再稼働を申請する。その直前、経済産業省幹部が「柏崎は、やはり反発がきましたね。根回し、ウラでどの程度、されたのでしょうか?」などというメールを東京電力幹部に送っていたことがわかった。本誌が入手した10通のメールには安倍政権の“再稼働シナリオ”が赤裸々に記されていた。ジャーナリストの今西憲之氏と本誌取材班が取材した。

 冒頭のメールを出した経産官僚が気にしていたのは、東電が再稼働を目指す新潟・柏崎刈羽原発6、7号機についてだ。福島原発事故の当事者である東電だけに、再稼働のハードルは高いため、6月に東電幹部に宛てたメールでこう危惧していた。

〈反発、怖いのは御社がKK(柏崎刈羽)で動かれる時でしょうか。一気に世論が高まり、地元もNOというしかない状況になりかねません。過去の裏での積み重ねが、一気に壊れてしまう。そのところ、いかがでしょうか? 巧妙にされておられるとは、思ってはいますけれど〉(経産官僚)

 後に経産官僚の不安は的中した。

 東電は7月2日、柏崎刈羽原発の再稼働申請の意向を表明したが、これに対し、新潟県の泉田裕彦知事がこう猛反発したのだ。

「地元に何の相談もなく申請する。こういう態度で、立地地域との信頼関係を築けるはずがない」

 翌日の新聞、テレビ各社がトップで泉田知事の発言を大きく取り上げたが、それを読んだ東電幹部はメールでこうぼやいていた。

〈どの新聞もトップで、新潟県知事でほとほと、まいりました〉

 さらに東電幹部は地元の対応については、こう暴露している。

〈離れたところで地元と話をすると、早く再稼働してもらわなければ困るんだよ、東電さん、とみんな話している。それで、再稼働を申請しますよとなれば、反対だ、地元の同意を要求でしょう、本当に。あなたたち、どうすればいいのって、言いたくもなります。議員さんたち、たいてい、(原発関係の)商売にかかわっている。再稼働しろという、だが、議会になれば、ダメダメ〉

 一方の経産官僚は冷静に事態を分析し、その先の展開をこう予測している。

〈柏崎は、やはり反発がきましたね。(略)先に地元の了承をとりつけろとの論になるでしょう。それやっちゃったら、永遠に再稼働は無理なことは明白。わが社OB、新潟県知事(泉田氏は経産省OB)、次の選挙はまだ先。つめたいでしょうね、きっと。他の事業者の動向を眺めつつ、申請となるのでしょうか〉

 この予測は現実となりつつある。

 泉田知事は7月5日、説明に訪れた東電の広瀬直己社長に再稼働の拒否を改めて表明し、申請は延期となった。

 本誌が入手した計10通のメールは、いずれも今年5月から7月にかけ、東電はじめ複数の電力会社幹部と経産官僚との間で、“情報交換”として交わされたものだ。いずれも原子力ムラの露骨な「本音」が赤裸々に記されていた。

〈夏は猛暑という世論形成はどうなるのでしょうか? 1F(福島第一原発)の事故で2度の夏を経験。結局、原発なくとも電力がまかなえたので、大丈夫だとの意識が国民に植え付けられているのではないでしょうか。もう、足りないだけでは、国民の意識は変えられない。/(他メールの引用)気温40度が3日間ほど続けば、原発再稼働してほしいとの声が高まるはずです。/天に任せるのも、つらいところです。昔のようにお金だけでは世論は操れず、時代がかわってしまいましたね…〉(経産官僚)

 これは5月頃に経産省幹部官僚と東電の原発部門幹部の間で交わされたメールの一部だが、さらに生々しい記述もあった。

〈今年の夏、気温40度くらいまで猛暑になれば、議会、世論ともに再稼働容認になるだろうとか、つい期待して、毎朝、天気予報を見ています。あがれ、あがれと新聞の天気図に手を合わせていると、ビール飲みながら、笑わせている上司もおります。情けないですが、今のうちには、猛暑頼み、すがるしかありません。株じゃないですが、あがれ、あがれ!〉(東電幹部)

 事故の反省もなく両者が「猛暑」の話でこうも盛り上がる背景には、原発再稼働の命運を決める“一大イベント”を前にしても再稼働に否定的な世論へのいら立ちが垣間見える。

 原子力規制委員会は福島第一原発の事故を受けて作った原発の新規制基準を7月8日に施行。これを受け、全国4電力会社が6原発12基の再稼働を申請するという。申請を前に、メールで入念な情報交換をしていたことが読み取れる。

※週刊朝日 2013年7月19日号



農業用水に汚染水340トン 
原子力機構が計画了承
(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013071101002057.html
 日本原子力研究開発機構が発注した除染モデル実証事業(2011~12年)で、中堅ゼネコンの日本国土開発(東京)が福島県南相馬市で生じた汚染水340トン(同社推計)を、農業用水に使う川に流していたことが11日、共同通信の調べで分かった。原子力機構は、川に流すことを知りながら、排水経路に触れていない国土開発の計画書を了承、地元に提出していた。
 南相馬市は「排水の説明はなかった。排水されたことも知らなかった」と反発。福島県も説明は受けていないとしている。放射性物質汚染対処特措法(特措法)は正確な情報伝達を求めており、環境省は調査に乗り出した。

(;`O´)o


原発は究極の高コスト(原発をなくす湯沢の会)
http://yuzawagenpatu.blogspot.jp/2013/07/blog-post_15.html
 「原発の発電コストは安い」と主張する政府や電力会社のウソはもう通用しませんが、その具体的な金額をしんぶん赤旗が明らかにしました。

 はじめに記事の前提になっている3つの事柄を説明します。

発電コスト
 「2004年度総合資源エネルギー調査会」によると、電力1キロワット時当たりの発電コストは、原発 5.3円、石炭 5.7円、LNG 6.2円、石油 10.7円で、原発の発電コストが一番安いとされていました。

火力発電燃料の比率
 2010年の火力発電の燃料の比率は、「我が国の電源構成の推移」※によると石炭25・0%、LNG 29・3%、石油7.5%です。火力発電では石炭とLNGが主力であって、石油が火力全体に占める割合は僅かに12%に過ぎません。 (LNG=液化天然ガス)
 石油が安かった1980年までは石油が火力発電全体の45・6%を占めていましたが、その後オイルショックで高騰したために一斉にLNGと石炭に転換されました。
 石炭を燃やすといっても別に直炊きをするわけではなく、微粉状にしてバーナーから噴出させる方式を取るため、石油用のボイラーがそのまま使えたのでした。
    ※ 「火力発電について」 資源エネルギー庁  平成24年2月
( http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/13th/13-7.pdf )

総括原価方式
 電力料金は、電力会社が総括原価の3%の利益が上げられるように決められます。その原価には「減価償却費、修繕費、人件費、配当金」などと並んで「燃料費」が含まれているので、燃料費は高い方が利益も増えるという関係にあります。
 それを目指したとまでは言わないにしても、電力会社においては、出来るだけ安く燃料を調達しようという意思が希薄になっていたであろうことは否めません。電力会社のLNG(天然ガス)の購入価格が欧米の3~4倍の高額になっている背景に、そういう事情があった(からだ)と疑われても仕方がありません。

 しんぶん赤旗の記事によれば、原発の発電コスト「1キロワット時当たり5・3円」には、原発のために国民が負担している分が除外されているので、それらを含めて計算し直すと「1キロワット時あたり10・25円」になり、これにさらに使用済み核燃料の処分費用や廃炉費用が加わるということです。

 結論として、原発の発電コストは火力発電の主流である石炭(5.7円)やLNG(6.2円)に比べて驚くほど高額であるといえます。
 LNGの購入価格が今後もっと下がれば、その差はさらに拡大することになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
首相「安上がり」と言うが… 
原発こそ究極の高コスト

しんぶん赤旗 2013年7月14日
 安倍晋三首相は、原発を「安上がり」であるかのように描いて、「安全と判断されたものは再稼働していく」と明言しています。原発は「安上がり」か、検証します。(佐久間亮)

隠された国民負担
 歴代政府はこれまで、原発の発電費用が他の電力より安上がりだという試算をたびたび発表し、それを根拠に原発建設を進めてきました。例えば、2004年には1キロワット時あたり5・3円という数字を出しています。この試算は、根拠となるデータが公表されていないうえ、いくつもの国民負担を隠しています。
 まず、国の税金で原発を支えている費用が含まれていません。原発の研究費用や立地自治体への交付金として、11年度には3193億円が使われています(政府のコスト等検証委員会調べ)。
 コスト等検証委員会の委員を務めた立命館大学の大島堅一教授は、電力各社が発表している資料をもとに、原発の発電費用を1キロワット時あたり8・53円と試算。さらに、電源特別会計のおよそ3分の2、一般会計のエネルギー対策費の97%が原発に使われてきたとし、税金による「補助金」を加えた原発の真の発電費用は1キロワット時あたり10・25円と試算しています。大事故が起きない場合でも火力や水力と比べ「最も高い」(大島教授)電力です。

 さらに、使用済み核燃料の処分費用や、廃炉費用もばくだいです。政府は、再処理を含めた核燃料サイクルの総事業費を約19兆円としていますが、それですむ保証はありません。43兆円以上になるとの指摘もあります。
 核燃料サイクルは破たんが明らかであり、そこに固執し続ければ、費用は際限なく膨らみます。放射性廃棄物の処分も技術が確立されておらず、実際にいくらかかるか全く見通しが立っていません。

超巨額の事故費用
 福島事故は、ひとたび原発で過酷事故が起きれば、経済や社会にはかりしれない被害を与えることを明らかにしました。住みなれた土地を奪われた苦しみは、金額では表せない被害を被災者に与えています。原発は安上がりだという議論は、事故によって発生する国民負担を隠しています。
 国の原子力委員会は、福島原発事故による損害費用を約6・9兆円と見積もり、そのなかで損害賠償額については約5・9兆円としています。賠償額は5年間でゼロになると想定しています。
 しかし、事故による被害が5年間で終わる見通しはありません。被災者にとって、これまで生活してきた環境や文化が奪われるという問題を見ないで、固定資産税の評価額だけで賠償額を算定しているという問題もあります。放射線被ばくによって将来発生する可能性のある健康被害も、算定の対象になっていません。

 さらに、放射能の除染にかかる費用も含まれていません。福島県飯舘村が策定した除染計画では、除染と放射性廃棄物の管理に3224億円かかるとしています。福島をはじめ汚染された地域の広さを考えれば、その費用ははかりしれません。

安易な値上げ許されない
 原発推進の側からは、原発が止まっているために火力発電の燃料費用がかかり、それが電気料金を押し上げ、経済や生活を圧迫しているという議論が振りまかれています。値上げがいやなら再稼働をという“脅し”です。

 東電の広瀬直己社長は「3期連続の赤字は避けたい」といって新潟県柏崎刈羽原発の再稼働を迫りました。これは国民の安全より、電力会社の経営を優先するものです。

 日本共産党の塩川鉄也議員が3月の衆院経済産業委員会で追及したように、日本の天然ガス購入価格は欧米と比べ4~5倍と異常な高額です。そのツケを電力利用者に回すこと自体が問題です。
 購入価格の是正などの努力すら怠り、値上げの脅しで再稼働を迫ることは許されません。



2013年07月09日 12:23  
京都大学、小出裕章先生にお話を伺いました。

http://youtu.be/Siegbw963rg
参院選前に電力会社が相次いで原発再稼働を申請している問題で、京都大学の小出裕章さ­んにお話を伺いました。



重要

この選挙は何を私たちに問うているのか


http://youtu.be/85q-d66g5iE
マル激トーク・オン・ディマンド 第639回(2013年07月13日)
この選挙は何を私たちに問うているのか
ゲスト:小林良彰氏(慶応大学法学部教授)
 どうも選挙に盛り上がりが感じられない。本来であれば、憲政史上初めて憲法改正を公約に掲げた政権党が審判を受ける選挙であり、長年日本の政治にとって足枷だった衆参の捻じれが解消されるかどうかも問われている、重大な選挙のはずなのに、だ。
 世論調査などでも、高い支持率に支えられた政権与党の有利が伝えられている。ある意味、無風選挙なのかもしれない。
 しかし、それで本当にいいのか。
 計量政治学が専門で、有権者の投票行動の分析に詳しいゲストの小林良彰慶応大学教授は「今回与党は手堅く組織票を固める戦術で動いており、非常に静かな選挙戦だ」と指摘する。特に風が吹いていない今回の選挙では、タレントなどに頼るのではなく、自分たちの支持母体をしっかりと固めた方が有利だということのようだ。
 結局、過去の選挙結果をみてみると、その時々の景気動向が選挙結果を大きく左右しているのがわかる。2006年以降、日本の政治がなかなか安定せず、政権のトップが毎年のようにすげ替えられていたことと、その間、日本の景気がずっと振るわなかったことは、決して偶然の一致ではない。  しかし、果たしてそれだけでいいのか。小林氏は有権者はとかく景気や経済状況など目先の「生活争点」に目が奪われがちだと指摘する。実際は生活争点には政党間でさほど大きな対立がない。どの党も景気は良い方がいいに決まっている。
 むしろ重要なのは、明確に賛否が分かれる政策「社会争点」の方だ。それは、例えば憲法改正や外交政策、エネルギー政策など、確かに賛否が明確に分かれる政策でもある。目先の景気ばかりに有権者の目が奪われると、本当に有権者の選択が大きく物を言う「社会争点」が見えにくくなる。今回の参院選がまさにそんな選挙だと小林氏は言う。
 例えば与党自民党は、憲法改正を選挙公約に掲げている。そして、自民党憲法案に含まれる義務規定や人権に対する制約などの問題点は、この番組でも度々報じてきた通りだ。エネルギー政策においても原発再稼働を認めるのか、この先も原発に依存するのか、明確な賛否の分岐点がある。しかし、今回の参院選ではこれら重要な社会争点は生活争点の陰に隠れ、大きな議論の対象になっていない。
 景気がいいことに気を良くして、安易に政権与党に白紙委任状を手渡せば、選挙後これらの社会争点が表面化してくることは必至だ。白紙委任状を受け取った勢力が、自分たちのやりたいようになるのは当然だろう。その時になって、現政権の経済政策を評価しただけであって、憲法改正まで認めたわけではないと泣き言を言ってもはじまらないのだ。既に与党は衆院で325議席を持ち、3分の2以上の勢力を保有している。これで参院も与党が過半数を握れば、民意があらゆる政策を与党のペースで決めることを認めたということになる。
 このままの静かな選挙でいいのか。小林氏は、静かな選挙をまねいているのは、野党にも大きな責任があると苦言を呈する。野党が憲法や原発などの重要な社会争点で、与党との間で明確な対立軸を打ち出せてないからだ。しかし、どこが政権の座につこうが、選挙後は憲法改正をはじめ、社会保障制度改革や原発、財政再建、そして規制緩和などに取り組まなければならない。今、そうした社会争点について各政党の主張を聞かれて、きちんと答えられる人がどれほどいるだろうか。
 われわれは今回の参院選で何を選ぼうとしているのか。自らの投票行動が、この先の日本にどんな結果をもたらすかを、真剣に検討しただろうか。まかり間違ってても、気がついた時は手遅れだったというような事態だけは避けなければならない。この選挙が何を私たちに問うているかを、ゲストの小林良彰氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。