<②からの続き>

2017年6月27日 第3回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000181077.html

 

(1)一時生活支援・居住支援等のあり方について
(2)自立相談支援・就労支援のあり方について(前回の続き)

○本後室長 

「住居確保給付金について」

 ホームレスの人数、29年の調査では、5,534人、ピーク時の4分の1、一方、ホームレスの実態、高齢化それから路上生活期間の長期化、借り上げ型シェルターを設置する自治体数が伸びている。シェルターのあり方、シェルターにおける支援のあり方を論点。

○田中推進官 

平成27年調査、全国で537カ所、入所者数1万5,600人、うち生活保護受給者が約1万4,000人。社会福祉各法に位置付けのない施設も1,236カ所。

 「貧困ビジネス」、悪質な事業者を規制しつつ、生活支援を行う良質な事業者が活動しやすい環境づくりを進めていく必要がある。

「『一時滞在型』と『長期滞在型』という2つの類型を基本とし」、若年者の方から高齢者の方までいらっしゃって、若年者の方は就業支援につなげていく、短期で地域移行していただく必要がある一方、高齢の方について、ついの住みか的に暮らし続ける場合には何が必要か。「地域で生活する生活困窮者等に対する生活支援も、併せて、検討する必要がある、生活保護受給者以外の方に対する支援も検討する必要がある。

 居住者の生活の質が確保されるよう、施設の基準やサービスの水準を定めることや情報公開が必要。コンプライアンスの状況の確認。

男女比が2対1。65歳以上が52.8%、「入所期間」は、10年以上を足すと4割以上、精神障害者が41.1%、知的障害や身体障害と重複して精神障害がある方も足し合わせると、精神障害をお持ちの方が5割を超える。

○本後室長 

「5 新たな居住支援について」

安価な家賃の住宅、支援や見守りのある住宅、住宅セーフティーネットの見直し。住宅行政、福祉行政が連携を強化。

連帯保証人・緊急連絡先の確保、相談のうち、かなりの割合が占められている。

同居家族がない、人間関係・社会とのつながりに課題、経済的に頼れる人がいない。居住支援ニーズと社会的孤立の状況、

東京のNPO法人ふるさとの会さんの取り組み、地域に点在するアパート・戸建て住宅で、共同のリビング、サロンをつくり、同居者同士のトラブルミーティング、相談支援を担っております。居住支援を受ける人が生活支援の担い手として就労するといった側面もございます。

 NPO法人抱樸さんの取り組み、こうした共同のリビングをつくり、入っている人同士の仲間づくり、関係づくりを支援に共通点が見られる。

 見守りがあれば、民間賃貸住宅に居住しやすくなるのではないか。

○北安心居住推進課長 

民間の賃貸住宅の大家さんのマインドは、家賃滞納、孤独死、そういった面から高齢者や低額所得者などの方々に対して、入居に対する拒否感もある。

 一方、民間の賃貸住宅の空き室、戸建て住宅の空き、民間の空きストックを有効活用。

賃貸住宅を登録していただく制度をつくり、登録住宅の改修、リフォーム等が必要であれば、経済的な支援あるいは入居者に対する家賃を低廉化、要配慮者の入居を支援するための措置等々、要は、民間の大家さんに住宅確保要配慮者の入居を拒みませんという住宅を都道府県などに登録して、その情報を要配慮者にちゃんと提供しながら、要配慮者に居住支援協議会などを通じて入居支援をして、登録住宅への入居を促進。

この登録住宅、最低限の住宅の質は担保、耐震性能、原則25平方メートルという最低居住面積水準、省令等で定める予定ですが、主に戸建ての空き家などを活用した共同居住型のいわゆるシェアハウス的なもの、こういったものも今回登録住宅の中で使えるようにしていこうということも考えております。

家賃債務保証業者に対して、保証の保険を住宅金融支援機構のほうで引き受ける制度をあわせて立ち上げる予定。

NPOや社会福祉協議会等が、居住支援法人としての機能として期待をしている。

大家さんからの強い要望として、住宅扶助費の代理納付、公営住宅などについては比較的進んでいる、民間賃貸住宅ではまだまだ余り使われていない状況。実施機関のほうで代理納というような手続を法律上の規定を置かせていただきました。保護の実施機関のほうで適切な判断をして、代理納付が促進されるようなことを期待したい。

 不動産関係の団体と居住支援関係の団体、地方公共団体の住宅と福祉部局が連携した居住支援協議会が現時点で47都道府県、19の区市町、今年度さらに2つ、今、68にまでふえてきておりますが、居住支援協議会が現在設立されているところです。

 実際に業務を行うかどうかは、地域の実情を踏まえて判断、居住支援法人についても指定はできるような運用を今、考えているところです。 

○大西委員 

 救護施設の歴史は大変古い。戦前の救護法から、ほぼ100年近い。

 条文では「身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする」と規定、現在、救護施設にはおおよそ1万7,000人が入所、大体57%は精神関係の障害。特別養護老人ホームや障害者施設の専門施設に入れない方、障害に該当せず、制度の狭間に置かれた方、ホームレスの方、矯正施設出所者の支援、DV被害者の緊急一時保護等による受け入れを行っております。この4月からは全社協の種別協議会の一員となって活動を行っております。

○岡崎委員 

児童福祉施設で知的障害のある子供さんが、特別支援学校の中学校、高校を卒業して、そのまま1人になるケースがある、特別児童手当は18歳まで、障害年金は20歳から、18~19歳の間に収入が切れる、制度上、谷間もある。

○岡部委員 

貧困ビジネスについて、悪質な事業者と良質な事業者を切り分ける法的な規制が必要。良質なサービスを提供している事業者については、積極的に促進する方向で制度的な手立て、財源的な手当てができないか。

 一時生活支援事業の関係で、ホームレス自立支援法、生活困窮者自立支援法で積極的に関わった成果が出たので、ホームレスの数は非常に減ってきました。一方でホームレスの長期化や高齢化と同時に、多様な生活の課題のあるホームレスが路上に残っています。自立相談支援事業の中でアウトリーチ、専門的な働きかけをする職員がいないと行えません。

○浦野委員 

障害者の分野のグループホーム。常に満床というわけではない。空いているときもある。空いているときだけでも使えるような仕組ができないか。職員が一定程度配置されていますので、職員による支援もできるのではないか。空いている資源を使うということを、取り入れることができないか。

養護老人ホームの入居率が91%ぐらい。9%ぐらい空いている、空いているときはそういうものに活用するというようなことはできないか。

きちんとした居住環境ということが大事であると同時に、そこに専門職をきちんと配置していく。そのために一定の費用を公的に見ていく。社会福祉士を配置することも考える必要がある。

一定程度そこに専門職が関与して、そこの居住者の人権をきちんと守っていくというような仕掛けが必要ではないか。

○本後室長 

一時生活支援事業は、単に一時的な生活の場を提供する機能にとどまらず、サロンのような場につなげ、集まった人たちのかかわり、自立相談支援機関以外の支援者による観察による見立てを深める。サロンのような場は、一時生活支援事業専用である必要はなく、施設ほどではない支援や見守りの提供の枠組みにも一致。サロンで短時間のボランティアをやる工夫もある、

 居住支援は、何かあったら誰が動くのかが求められる。そういうことはむしろ後見制度で位置づけられている身上監護の内容に近い。公的保証制度の仕組みづくりが必要。これは生活困窮以外の分野でも共通の課題、横断的な枠組みが基盤となるべきで、といった御意見をいただいております。

○菊池委員 

無料低額に関して、悪質な事業者に対する規制をどうするか、法令でどこまで規制できるか。

預かり施設である無届けの施設に対する規制としては、無認可保育所もございますが、有料老人ホームとの類似性が高い。

法改正という大上段の議論はなかなか難しく、そのレベルではない段階で何らかの実質的な対応がどこまで可能か、そういう知恵を絞る作業なのかなという気がしております。

○生水委員 

例えば夫が失業で借金があって、国民健康保険税を滞納。妻は精神疾患、成人した子供がひきこもり、祖母が要支援、こうした生活困窮世帯の場合、関係機関としては、自立相談支援機関、納税推進課、保険年金課、地域包括支援センター、高齢福祉課、発達支援センター、健康福祉課など複数課の関わりとなります。

支援調整会議における個人情報の取り扱いを整備し、仕組みを活用できれば、祖母のSOSのサインをキャッチした部署が気づいて、自立支援機関に声をかけ、自立支援機関がコーディネーター役を担い、関係機関を召集して情報共有の場をつくる。これによって保険年金課が、納税推進課が、発達支援センターが、使える制度や状況を共有が出来ます。情報がつながることで、1つの支援機関では止まっていた支援が動き出し、世帯丸ごと支援が可能になる。

 そんな法制度の改正になることを望んでおります。<抜粋終了>