死にぞこないの青 [DVD]
¥3,651
Amazon.co.jp


(2007)



出演 須賀健太 (マサオ)

    谷村美月 (アオ)

    城田優 (羽田先生)

    入山法子 (羽田の妹)

    瓜生美咲 (マサオの同級生)

    博多華丸 (マサポの父親)

    坂井真紀 (マサオの母親)


友情出演 柏原崇


監督 安達正軌


原作 乙一 「死にぞこないの青」 幻冬舎刊



【ストーリー】

のどかな田舎町に暮らす小学6年生のマサオ。

彼はささいなことから新任教師の羽田から目を付けられる存在になってしまう。

以来、羽田から理不尽に攻撃され続け、それに乗じてクラス全員も

マサオをイジメの対象とみなし始める。

それは、新任の羽田が学級を掌握するための方便だった。

マサオはたまたまそのいけにえに選ばれてしまっただけだったが、

羽田とクラスメイトのイジメはますますエスカレートしていく。

気の弱いマサオはひたすら耐え続けるが、

そんな時、全身真っ青で傷だらけの不気味な少女がマサオの前に姿を現わす。

残虐な反撃をそそのかす少女に抵抗するマサオだったが…。



【感想】

クラスをまとめるために、一人を標的にして、先生が率先してマサオを苛める。

授業で「自分の地位を守るために、他人を犠牲にする、そう言う人間にはならないでください」と

言いつつ、自分でマサオを標的にしている。

初めて教師になり、自分の立場を有利にするために、悪いことが起きると全てマサオのせいにする。


そして「自分は悪い子です。生きている価値がありません。だから人の100倍努力します」と

無理矢理言わせる。


理不尽な扱いをされるマアオが可哀想で可哀想で、見ていてイライラするし、

羽田先生を殴ってやりたくなる。


そんなマサオの前にアオが現れる。

アオは、全身真っ青の幽霊。マサオにしか見えない幽霊である。

拘束衣のような白い服を着て、片目がつぶれ、口も半分縫い合わされている。

2度目以降顔が見えるときは、口は開くようになっていて、マサオに話しかけてくる。

「死んでしまえ」と。

初めは、昔で死んでしまった?姉の幽霊かと思ったのだが、

アオは、「俺はお前だ」と言う。

何もできないから、拘束衣を着ていると言う。

アオは、マサオのダークハーフなのだ。


羽田先生やクラスメートに苛められ、アオには死んでしまえと言われ、

マサオは泣き出してしまう。

死にたいと思うほど、さんざん苛められても、気の弱いマサオは誰にも相談できない。

優しい母にさえ、何も言えない。


実際、苛めにあった子どもたちは、誰にも相談できずに自殺してしまったりする。

そういう現実を物語にしたのが「死にぞこないの青」のような気がする。

この作品では、苛められ続けるマサオは、アオの手助けを得て、自立し戦うようになる。

すべての苛められっ子にアオのような存在がいてくれたら、

自殺せずに済むんじゃないかな?と思う。


アオの助けを得て、マサオはどう変わっていくのか。


このマサオ役は、将来が楽しみな子役、須賀健太だ。

彼の演技のおかげで、マサオが生き生きとして、マサオの悲しさや辛さが

じわじわとこちらに伝わってくる。


逆にひどい仕打ちをする羽田先生役の城田優。

演技が下手なのが良かったのか、淡々とした台詞が余計に嫌味な男に見えて、

本当にムカムカしてくる。

救いようのないくらいの悪い人間。

一気に城田優が嫌いになりそうなくらい(^^;

すぐにその人が演じた役に影響されてしまうのは、私の困った癖(^^;;






以下ネタばれ

  (未見の人は、読まないでくださいね)



アオにそそのかされて羽田先生の家を見張り、忍び込む。

そして先生を殺そうとするのだが・・・・

この後、物語はトントン拍子で進んでいく。

殺そうとしたのに、逆に見つかり、窮地に追い込まれる。


どちらが生きるか死ぬかというところまで来るのだけど・・・

マサオは、ぎりぎりのところで止まる。


見ているこちら側からすると、子どもを加害者にするわけにはいかないけれど、

羽田先生には何かしらの罰を与えてほしいし、償いもしてほしい。

それなのに、「良い子」で終わってしまうラストがどうも・・・

マサオもすべて真実を話せば良いのに・・・羽田先生の理不尽な仕打ちを

世間に知らしめてやりたい・・・・と思うのに・・・


これ、原作だとどうにかなるのかな?

映画だから、こんな中途半端な形で終わってしまっているわけ?


確かにマサオは強くなる。

アオが消えるときに残した言葉「自分が軽蔑するものに負けるな」

その言葉通りに、マサオは生きていくと思う。

初めに言った「苛めによる自殺や、加害者への仕返し」のようなものを抑制するという

意味では、この映画は正しいのかもしれないけど・・・


また映画の初めに、海で死にかけた少年。

一緒にいた誰かが死んでしまい辛い思いをしている少年。

あれが羽田先生の過去だったというのも、なんだかなぁ・・という感じ。

「自分に自信がなくて怖かった」「親父に嫌われているかと思っていた」

そんなのがマサオを率先して苛めた理由になると思っているのだろうか?


実は乙一は私の中では「中学生向け小説の作者」というイメージだったりする。

このストーリー展開の唐突さ、筋道立ったものではないところが苦手なんだと思う。


またアオが青い理由も不明。


色々と中途半端で、煮え切らない部分が多い映画ではあるけど、

小中学生が見たら、何かが分かるかもしれない部分はいっぱいあるように感じる



お勧め度 ★★★☆☆ 2.8くらい?



ランキングに参加してます。ポチッと応援お願いします。


にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 

映画ブログ 映画評論・レビューへ にほんブログ村 映

画ブログ 映画DVD・ビデオ鑑賞へ



死にぞこないの青 [DVD]
¥3,651
Amazon.co.jp


死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)/乙一
¥480
Amazon.co.jp