「凄~い!
代議士に医者に弁護士、教師が勢ぞろい!みんな『先生』って呼ばれる職業じゃない!?」
「わ、私は…ただの研究員で議員のマツリちゃんの秘書ですから…。」
「それでも未来の『教授』じゃない!
やっぱり皆『先生』だわ!」
喫茶ロビンフッドでの五人の女性の会話は途切れることはなかった。
仕事の苦労や好きな妖怪、社会の不満や男への不満、今時の流行の話に時間を忘れて話していた。
いや、そもそも喫茶ロビンフッドに『時間』の概念が当てはまるかも疑問なのだが…。
(お話に夢中なのにごめんなさいね、そろそろご挨拶させて頂こうかしら?)
五人の会話が一気に止まり緊張に包まれる。
「何?何この声?みんなも聞こえた?」
狼女のコスプレにて体育教師の大月教子が声を上げ辺りを見回す。
それは縄張りを警戒する狼さながらだった。
「待って!『声』だったの?」
一反もめんのコスプレの綿貫倫恵は弁護士だ。『言葉』を扱うプロである。
「『心』、ううん脳に直接話しかけられたみたい…。
こんなの現代の科学や医学じゃ無理よ!」
ぬりかべ好きの堅城治美は内科医である。心と身体の繋がりには敏感である。
(ごめんなさい、驚かせるつもりはなかったの。
でもね、どんなに超自然なことを見聞きしても、『自分に起きたこと』の方が一番信じるのよ)
「ちょっと、もう止めてよ!」
「つまり…貴女はその『超自然な存在』ということだな。
現実に起きてるんだ。テレパシーなんて信じてなかったが…トリックも無さそうだ。信じるしかなさそうだな。」
(流石はヴァンパイア好きの代議士先生。リーダーに相応しい振る舞いね…。
でもね、テレパシーってなんかチープな響きだから、『お告げ』とか『啓示』って言ってほしいなぁ?)
「ふん、自分を神だとでも言うのか?超自然現象と神への信心は別物だ!」
(神様?とんでもない。私は『あのお方』のメッセンジャー。ただの御使いよ。聖母に受胎告知をしたようにね…。)
「受胎告知?じゃぁ、この声の主は大天使ガ…。」
(駄目よ!声に出さずに心で言ってね。どこで『あの人』が聞いてるか分からないから。
だから私は人間界じゃ別の名前を名乗ってるわ。)
店内がまばゆい光に包まれ、長い手足に引き締まった筋肉、豊かな胸、女性から見ても惚れ惚れする絶世の美女が現れた。
(私が萌慎艶戯塾長、三好真理亜である!貴女達をスカウトに来たのよ)
続