終末論争2~勲章と指環 22 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「グレゴリウス司教はやはり従来通りの『洪水派』かぁ…残念。
僕は数々の書物を読み漁った結果、『天空からの神罰』の説を唱えるけどなぁ~。」

「ハイネ殿下はそちらで出土される円鏡
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の収集家としても有名であられますことは、僕も存じ上げています。」

「アンナ、収集家ではない『研究家』だ。」

「ありがとう、カイザー丞相。じゃぁ、次は僕の見解だ。僕も大破壊と最終戦争は別だと思う。
ヨハネの黙示録には『天使の三分の一は堕天して~』とある。
大破壊が最終戦争だったのなら、出土する書物に天使や堕天使の痕跡があるはずだ!
ならば大破壊は『主の意志そのもの』として、何の痕跡も残すことなく、地上から生命を奪ったのかもしれない。
だがそれでは『今現在の僕達が生きている理由』を否定することになる。
政を担う者として『都合が悪いことは神任せ』というわけにはいかない。」

「殿下の見識には頭が下がります。
では大破壊をどのようにお考えで?」

「手掛かりは円鏡だ。
僕は大破壊は『警告』だったと思う。
天使が直接神罰を降したのではなく、天使の命を授かった者が、旧世界の人間の殆どを滅ぼしたのだよ。
それは…。」

「それは?」

「『鳥』だよ。」

「鳥?あの鳥ですか?」

「そう。鳥だ。それもただの鳥じゃない。天使の加護とメッセージを授かった、鳥の軍団が『悔い改めないと本当に最終戦争が起きる』と人類に警告と啓示を記したのだよ。
だが、鳥は天使の力を授かっても、鳥の本能に逆らえなかった。
人類も無抵抗じゃなかった。
だから円鏡で自分達の身を守ったんだ!」
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怒りに囚われた私なら、道場で剣を振っていただろう。
だが、悲しみに包まれた私は、礼拝堂で涙を流しながら、ただ祈り続けていた。

「主よ…どうかロイに魂から惹かれ合う伴侶が見つかり、幸せが訪れますよう、お導きくださいませ…私は…もう…どうなっても構いませんから…。」

「なぁ~に独りで悲劇ぶってんのよ!
こんな所で泣いてる女に神様は奇跡を起こさないからね!」

「エマ!どうしてここに?」

「説明はあとよ。
私達も行くわよ!」

「行く?何処にだ?」

「御前会議に決まってるでしょう?」

「待て!私の騎士団長の身分では…。」

「知ってるわ!だから昼食会の給仕係として、リディアちゃんもメイドに化けて潜り込むの!」続