ファインチューニング!~マリアにお願い 12 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「ねぇ、ゴリエちゃん。お願い!ヒント!ヒントだけでいいからさ。」

守衛室に押し掛ける数名の女子生徒。

来月に迫った文化祭=バーバラフェスティバルに何とか赤尾俊光を誘おうと必死だった。

修理に訪れた時を思えば人気は一部の生徒のみだったが、それでも文化祭への招待状を出す為に赤尾の所在地を聞き出そうと必死だった。

「正当な理由なく個人情報を教えることは出来ません。」

警備主任の後藤梨恵は、外部から生徒を守るのが役目だったが、今や生徒から外部の人間を守るのに追われていた。

「美紀?どうだった。」

「駄目モトで質問したけど、ゴリエちゃん口堅いよ。
真子はどうだった?」

「うん、お兄ちゃんと妹に調べてもらったけど、『赤尾電気』なんて店はこの辺りにないみたいよ。
もっと遠くから来てたか、違う名前の所で働いてるか…。」

「自営か会社勤めかさえわかればねぇ。
あ~、私の部屋で修理してた時にもっと喋っとけば良かった~。」


「私もだよ。
もしも、たくさんの招待状を受け取った中で、赤尾さんが自分の招待状に署名してここに来てくれたら気絶しちゃいそう!」

「でも…このままじゃ誰も招待状贈れないよ…。」

「何かいい方法ないかなぁ~」

****
「修道院長様、ご相談が…。」

「あら、後藤さん。
まだ業務中に礼拝堂を訪れるなんて、よっぽどですわね。」

「はい、自分の中の迷いをどうしても抱え切れず…。
未熟者の私をどうかお許しくださいませ。」

「主は罪を自覚した者を永遠に許します。
そして私は既に貴女を許しています。
お話なさい、どうせ理事長に言えないことでしょう?」

「はい、修道院長様もご存知の『電気屋の赤尾さん』のことです。」

「ええ、存じております。
彼が訪れた翌日は、生徒達でここも大盛況でしたわ。
相談内容は言えませんが。」

「やはり…。」

「理事長はこの教区司祭様のご機嫌取りにしか念頭にありませんからね。
文化祭でどう接待するやら…。あいつは昔っからあざとくて…。」


「……。」

「あら、あたしとしたことが失言でしたね。」

「そのことなんです。修道院長様。
今年もバーバラフェスティバルに司祭様が来賓されるなら…。」

「ええ、助祭の赤尾さんもお付きとして今年も来るでしょうね。
みんなマントが作業服に変わって気付いてなかったみたいね。
勿論、一年前の教会側の来賓なんて生徒からは記憶の外ね」