私は数少ない女友達に連絡した。
彼女は「妖精・ブラウニーの茶谷美夜子(ちゃたにみよこ)
「夜の便利屋」と言っても、えっちぃお仕事じゃなくて、闇夜に迷う少女に、光を照らしてくれる「乙女の助っ人」を生業としている。
料理が失敗したとか、期日までにマフラーが編めないとか、彼のハートを掴むラブレターを書いて!
なんてお手の物。
だからデート服選びなんて軽いミッションのはず…。
「おぅ、マリリンか?
どした?また張り込みのヘルプか?」
「違うの美夜ちゃん。
デ、デートに着ていく服に困って…。」
ホントは契約に基づく商談なんだけど、私の必死さを伝えるにはデートと言うしかなかった。
「デート?また浮気調査の囮役?」
「違うわよ!浮気されたのは私!じゃなくて、私がした方でもなくて…。
とにかく、グラシャ=ラボラスに見劣りしない衣装を見立に来てよ!」
「グラシャ=ラボラス?『あの』グラシャ=ラボラス様?」
「ソロモンNo.25の悪魔で私の元バイト仲間だけど何か?」
「うそー!?
喫茶ロビンフッドに勤めてたなんて信じられない!!
あぁ、私は何度あのお方の召喚に失敗したことか…。」
「あいつそんなに有名なの!?」
「当たり前よ!
『少女妖精のヒーロー』『殺人術の天才』『流血の貴公子』そして何より…。」
「何より?」
「『ヴァー○ンキラーの悪魔』。思春期を迎えた少女妖精達が、初めてをグラシャ=ラボラス様に奪ってほしいとどれだけ願ったことか。私もその一人だけど。
任せな、マリリン。
私がコーディネートしてやるよ!
但し、今度私を喫茶ロビンフッドに連れてけよな!
いくら私が四谷を散策しても、店は出現しねぇんだなぁ。」
「うん…。美夜ちゃんが行きたいならいいよ…。」
「OK商談成立!!
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「う~ん、予想通り、壊滅的な品揃えのクローゼットだな…。」
「今更呆れないでよ!だから頼んでるんでしょう?」
「わかってるよ。
今、マリリンに似合いそなのを妹に運ばせてるとこよ。
ロリ好きのグラシャ=ラボラス様をあざとく意識するより、
普通っぽさの演出より、
文学の悪魔でもある彼には知的さと落ち着き優先かな?