刺激制御~準備性~
おはようございます。
Lovin' Dogsのランパです。
エッ、
そうなの?
今日は、「準備性」についてお話したいと思います。
「準備」と「性」は、聞き慣れた単語ですが、
「準備性」というと、初めて聞かれる単語かもしれませんね。
古典的条件付けは、2つの刺激が対になって起こり、片方がもう一方の
合図になっていれば、どんな刺激であっても成立するものだと、
かつては考えられていました。
しかし実際には、条件刺激と無条件刺激には、連合しやすい組み合わせが
存在しています。この連合のしやすさに違いが生じる傾向を「準備性」と
呼びます。
例えば、「不思議な水」をラットに何回か飲ませます。
この不思議な水は、味が付いて美味しい水をラットが飲む度に、
光が点滅し、うるさい音を聞かせるというものです。
すなわち、不思議な水=味覚・視覚・聴覚への刺激から構成されています。
次に、普段は普通の水を飲んでいますが、上記の不思議な水を飲んだ後は、
①脚にショックが加わる
②気持ち悪くなる成分を注射する
ということを、別々のグループに何度か対呈示します。
その後、
a)味が付いていて美味しい水 (味覚のみ)
b)光が点滅し、うるさい音がする普通の水 (視覚・聴覚のみ)
のどちらかのみにして呈示すると、
a)味覚は②気持ち悪さと、
b)視覚・聴覚は①ショックと結びつける
ことが分りました。
⇒ 因果関係の起こりやすさ
この他の例としては、
「断続的な音」は、脚を素早く上下させるような繰り返しの動き(動)と、
「連続の音」は、脚を上げ続けるような一定の動き(静)と結びつけやすいです。
人がパタパタ動けば、犬も動きやすくなり、
人がじっとしていれば、犬も落ち着きやすくなります。
⇒ 刺激と反応(行動)の類似性
「高く繰り返す音」は、動きが活発(動)になり、
「低く長い音」は、落ち着きやすく(静)なります。
⇒ 遺伝的プログラム(素因がある)
ex)「待て、待て、待て、待て」と高く素早く繰り返し言っても犬は落ち着かず、
「待~~て」と低く長く言う方が落ち着きますよね。
逆に、
「Go~~」と低く長く言っても犬は動かず、
「Go、Go、Go、Go」と高く素早く繰り返し言うと、
例え初めてGoを聞いたとしても、動き出しやすいと思います。
高く早口な口調で語りかけられても、何となくソワソワし、
低くゆっくりとした口調で語り掛けられた方が落ち着くのは、
人も同じですよね。
犬の行動に対して弁別刺激を選択する際は、
このような準備性があることを考慮し、
弁別刺激の種類や動き、方向、強さ、繰り返しの早さなどを決めていけば、
学習をスムーズに進めることが出来ます。
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タグ:学習理論(38)
参考文献:パメラ・J・リード「エクセレレーティッド・ラーニング」
2007年9月発行(原著1996年)