マイクを持って、アゴを突き出し…
「元気ですかぁーっ!」
ボクは別にプロレスは好きじゃないんだけど、そんなボクでも知っている、
アントニオ猪木のパフォーマンス。
そして、拳を突き上げ指を立てて「いち、にー、さん…ダーッ!」とか、
引退のときに詠んだ「道」っていう詩も有名だよね。
「この道を行けばどうなるものか、危ぶむことなかれ、ちなみにアレ、一休宗純和尚(とんちで有名な一休さん)が詠んだって、
危ぶめば道はなし、踏み出せばその一歩が道となる。
迷わず行けよ、行けばわかるさ。」
自伝かなんかで猪木は言ってたけど、実は彼の勘違い。
いろいろ調べてみると、ほんとは宗教家・哲学者である
「清沢哲夫」の『無常断章』に収録されている「道」って詩が
ベースらしいってキミは知ってた?
言葉じゃなくて行動なんだ。
ところで、一休さんつながりってことで、せっかくなので
ちょっとためになるお話をしよう。
ある人が一休和尚に
「菩薩とはいったどんな人なんですか?」
と聞いたときに、彼は「腹心気己人」って書いたんだ。
それも、ただ書いたんじゃなくて、こんな風に…。
これは、
「腹は立てずに、心は丸く、気は長く、
自分は小さく謙虚に、人を大きく立てる。」
っていう意味だそうだ。
もともとは禅宗の開祖、達磨大師の言葉らしいけど、
うむぅ…さすがにとんちで名を馳せた一休さん。
言うことがいちいちユーモアに溢れている。
コレを読んだとき、なんだかゆったりとした気分になった。
奇行の向こう側。
自分は小さく謙虚に…ってところは、他人よりも小さくなれ…って、
なんだか卑屈な感じがするかもしれないけど、実はそうじゃない。
そもそも、キミが大きな人間だから、小さくならなきゃ
いけないっていう前提が入ってるわけだ。
一休和尚は、奇行が多いことで有名で、仏教では禁じられていた
肉食や女性関係もお盛んだったらしい。
(そういうとこ好き。w)
photo by Max R - ooyooy
これは、一説によると権威や仏教の形骸化に対するアンチテーゼ、
風刺の精神によるものだったといわれている。
実際にそれらの奇行がすべて、高尚な理念のもとに
行われていたかどうかはわからないけど、他のお偉い坊さんと違い、
人間味溢れ、庶民の生活になじみ、人気があったのは事実なようだ。
高い位を捨てて、庶民とともに生活する…これは、
一休さんが本当に“大きな”人間だったからこそできたんだろう。
そして、言葉じゃなくて、行動で仏の心を説く…
もしかしたらそんな気持ちもあったのかもしれない。
僕は、無宗教なので、仏教の教えなんて高尚過ぎてよく分からないけど、
一休さんを見習って、肉を食らい、女の子好きに磨きをかけて…。
…いや、そこじゃなくて。
「腹は立てずに、心は丸く、気は長く、
自分は小さく謙虚に、他人を大きく立てる。」
心の片隅においておきたい言葉だ。