くま

ナナが ひっき~になって
どれくらいだろう

2年? 3年?

なんか もうどうでもよくなるくらいの期間だよねぇ

昔は
ダーリンと旅行したり お出かけしたり
いろいろしたんだけど・・・

もう
無理なのかなぁ

なんて思ってたら
少し寂しくなってきた

それに
ナナがお外に出てくるのを
楽しみに待っててくれる人もいるし
(楽しみにしててくれてるんだよねぇ 笑)

このままじゃ 
いけない気がして


ダーリンにおねだり



ダーリンは心配してくれたけど
条件付で OKしてくれた


行く場所は ダーリンが決める
ダーリンが NGを出したら 即中止
無理はしない


すっごい
ひさしぶりの お出かけ


GWで ほとんど人のいない普通の公園

ダーリンとベンチに座って・・・

ちょっと先のお砂場には
3・4歳くらいの 女の子が一人で遊んでた

ナナから見える範囲には その女の子だけ

その女の子は ナナ達が気になるようで
時々 こっちを見てた



ナナは 少しだけ
重い空気に包まれているような感じで
周りの空気が ゼリーでできているかのように
息するのが 大変

でも
まだ 大丈夫
もう少ししたら
慣れて 楽になるかもしれない


女の子が ナナ達のそばに

駆け寄ってきた

ナナの顔を 覗きこんで
 「いたい?」

 「ううん 大丈夫だよ」

そう言いたいのに 声が出ない
笑顔も 作れない

ナナの代わりに ダーリンが 答えた
 「大丈夫だよ」

女の子は ナナのバックについてた
クマのペンダントが気になったみたいで
ずっと 見ている

女の子は ふと思い出したかのように
あわてて 手をスカートで拭いて
ポケットの中から
飴玉を2つ 手のひらにのせて
差し出した

ナナは 受け取りたいのに
手が出ない
手のひらの 飴玉を

見つめるだけ

ダーリンが
 「くれるの?」
そう聞くと 女の子は
黙って うなずいた

ダーリンが 飴玉を受け取って
ひとつを 食べる
もうひとつを ナナの手に

握らせてくれた


女の子は また
クマのペンダントを 見てた
バックから はずして

貸してあげると
うれしそうに 遊び始めた

ダーリンも うれしそうに
一緒に・・・


それを見ていたら

涙がでてきて・・・


それに気がついた女の子は
 「いたいの いたいの とんでいけ~」
って 大きな身振りで・・・


 「もう 帰るよ~」
女の人の声がした

女の子は クマのペンダントを
ナナに差し出して 返してくれようとした

ナナの顔を 覗きこんだ

ダーリンが
クマのペンダントを受け取って
女の子の首に・・・

女の子の頭をなでながら

 「あげるよ 飴と交換 かわいがってあげてね」

 「うん」

女の子は 笑顔で うなずいて
ママのところへ かけていった


家に戻った
ナナの手の中には
べとべとの 飴玉

ほんの少し

しょっぱくて 甘い
飴玉

手のひらには
赤い模様が ついていた