悪質な風俗のごとく。 | ★コピーライターが思わず ! となったコピー。

悪質な風俗のごとく。

少し前、ある企業広告の提案で
顧客満足度NO1という表記を入れましょう
というプランを出したところ
NO1ということを、ひけらかすのは
感じが悪いと思われるのを
気にしたらしく、採用されなかった。しょぼん
 
結局、その案件はなぜか企業広告から
販促ツールに変化したため、
こちらの意図をきちんと伝える機会は

無くなってしまったのだが、

顧客満足度1位に選ばれたことを

伝える広告って最近よく目につくのだけど。
 
1番であることをひけらかしていると
思われることを気にする気持ちも
分からないではないが、それは
伝え方で解決することだと思う。
だから、ちゃんと言うべきなのだよ。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
わたしたちは、まだ、
アフターサービスを
完全に必要としない製品を
つくることができません。

 
 
パイオニアの企業広告より。
アフターサービス(修理など)満足度
2年連続1位という実績を伝えている。
 
アフターサービス満足度2年連続1位!
とどかんとストレートに言えばいいものを
なんて思ったりもするかもしれないが、
このような気になる表現をすれば、つい次の
ボディコピーを読んでしまうのが人の心理。
 
案の定、「アフターサービス満足度2年連続1位」は
ボディコピーの見出しにある。

ここがこの広告のキモだね。一番伝えたいことが

書かれてあるわけだ。
この場合、キャッチコピーがボディコピーへの
導入を促している
のだね。ダウン

 
キャッチコピーそれ自体で、伝えたいすべてを
言うことだってできるのだが、この場合
なぜ1位に選ばれたのかを伝え、いかに
アフターサービスに力を入れているかを
詳しく知ってほしいのだ。(だからわざわざ新聞15段の
大きなスペース)
 
長くいえば、「わたしたちは、
アフターサービスに力を入れて取り組んで
います。なぜならまだ、アフターサービスを
完全に必要としない製品をつくることが
できないからです
」と言うメッセージになるが、
わざわざ「なぜなら~」の部分をキャッチに
もってきたのは、キモであるボディコピーに
進んでほしいからだろう。

 

キャッチコピーだけでは、何を伝えたいのか

分からないし、取り方によってはネガティブな

印象がしないこともないわけだし。
 
でも、これも表現のアイデアのひとつ。
主役はキャッチでなくボディコピー
サッカーでいえば、FW(キャッチ)がくさびになって
2列目のMF(ボディ)が飛び出してシュート
というイメージである。
 
宣伝文の第1センテンスの唯一の目的は、
読者に第2センテンスを読ませることである

とジョセフ・シュガーマンは「10倍売る人の
文章術」で述べているしね。

 
その広告が、キャッチコピー一発で勝負するなら
ともかく、リードコピー、ボディコピーと
読ませたいのなら、風俗の悪質な竹の子剥ぎ(服を

脱ぐごとに金をむしりとる方法、気をつけてね!ドクロ)の
ように、あるいはキャッチコピーをおとりに

使った罠を仕掛けるように、核心へと導くような

アイデアが必要である。
 
広告だけでなく、WebサイトやDMのレターにも
使えるコピーの考え方である。(だから、

キャッチコピーですべて伝えられないと

苦しむ必要はないのだよ)
 
ところで、1位という評価を受けたら
それは言わないと損である。
特に第三者、とりわけ消費者からの
評価はきちんと伝えるべきである。

消費者主導で選ばれる時代だからこそ

大切なのだ。
 
1番は覚えられるが、2番手以降は
おおむね忘れられる運命にある
もの。

(徳川幕府の2代目将軍の名前なんて

あまり知らないでしょ?答え:徳川秀忠)
消費者はいちいち業界の順位や評価を
調べるわけではないのだから、
言わないと気づかないのである。

 
差別化がしにくい状況ならば、
なおさらで、顧客満足1位や
売れ筋NO1という刷り込みは、
知名度以上にアドバンテージ
となり得るのだ。
マーケティングは商品の戦いではなく、
知覚をめぐる戦いである
」(ジャック・トラウト)
 
市場に入る前に、まずは消費者や
お客の心に入ることってことさ。恋の矢