マナー向上に効いた、珍しい広告。 | ★コピーライターが思わず ! となったコピー。

マナー向上に効いた、珍しい広告。

東京駅を歩いていると、ギラギラした視線を感じた。
ふと見ると、そこにはマツケンこと、松平健がいた。
 
交通ルールとマナーを守るのが、
僕の安全リズムかな。
 
<春の全国交通安全運動>のポスター。
だが公共機関や官庁のPRにありがちな
トホホな仕上がり。
柔道の金メダリストが出て、<~に1本勝ち>というように
いつもこの手の表現はベタで!とならない。
写真もマツケンサンバの衣装ではないし。
いじりがいのあるキャラクターなのに残念である。
 
マツケンも守るマナーだが、マナーの悪い奴は相変わらず多い。
いまだにタバコを歩道に捨てる人をよく見かける。
私の場合、目撃するポイ捨ては、なぜかスーツを
着たオッサンが多い。まことに恥ずかしい大人である。
 
★今回の!なコピー。
 
 
ちょっと変わった広告。
 
 
1年位前から喫煙マナー向上キャンペーン
あなたが気づけばマナーは変わる。』JT
CMや広告で行っていたのを覚えているだろうか。
例えば、
 
たばこを持つ手は、子どもの顔の高さだった。
 
吸いがらを排水溝に捨てた。というか隠した。
 
夏。たばことすれ違う腕は裸だ。
 
体はよけた。それでも煙はぶつかった。
 
煙の行方、自分だけが他人事だった。
 
捨てる人は、拾わない。捨てない人が、拾っている。
 
…といった喫煙マナーを気づかせる広告が20本以上も
展開された。
 
ちょっと変わった広告。は、そのキャンペーンの
成果を紹介した広告なのである。
ちょっと変わった」には、風変わりなという意味も
あるだろうが、喫煙マナーの意識と行動が
ちょっと変化した」ということが込められているのだ。
 
例えば、吸いがらを排水溝に捨てた。というか隠した。
の場合、「吸いがらを排水溝に捨てない」人が、キャンペーン前と
比べて3.8ポイントアップの51.7%になったことが、
紹介されている。
広告のデザインは、キャンペーン時のものと同じで、
データが追加されているだけ。
(データは、Webを使ってキャンペーン時と
半年後に調査した結果を使用している)
 
この広告には、9つの喫煙マナーの気づきが紹介されており、
ほとんどのマナーで、わずかだがアップしている。

そこが良い意味で、ちょっと変わったのだ。
唯一、ダウンしているのが、
煙の行方、自分だけが他人事だった
それに対する「歩道で吸う時も煙の行方に
気をつかっている
。」は、2.9ポイントダウンしている。
 
JTといえば、たばこ工場の閉鎖や4000人の早期退職希望の応募に
5000人以上が応募したこと、病院事業から撤退したことなどが
報道されたことで、大丈夫?とつい心配をしてしまう。

おまけにたばこメーカーであるために、今ではすっかり
肩身の狭い思いをしている気もするのだが、社会的責任として、
喫煙マナーの向上に努め、結果を出している
点はきちんと評価したい。
 
最初に挙げた、全国交通運動のように、マナーの向上や啓蒙とか、
たんなるお題目だけで終わることが多い気がするのだが、
JTのキャンペーン広告が、マナーの向上という目的達成に

機能したことは、広告業界に携わるものとして、喜ばしいかぎりである。
 
さて、マツケンを使った、春の全国交通運動だが、
どのような成果が出るのだろう?
どこまで、このポスターが機能するのだろう?
正直に言えば、あまり期待できない。
 
「僕の安全リズムかな。」といわれても、
どうすればいいのか、困ってしまうのだ。