68.会葬礼状 | いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

2013年12月、最愛の妻をうつ病による自死で亡くしました。
結婚して1年1ヶ月、あまりにも短すぎました。
体に障害があったけど、懸命に生きていた妻。
妻の事を忘れない為、初めてブログを書きます。

朝を迎えたが、全く眠くならなかった。




ときおり葬儀社に言われたように、葉っぱに水滴を取って口から飲ます動作をしたり、妻の髪を撫でたり。


その場から離れず、ずっと横にいた。



妻の穏やかな表情を見ては、思い出があふれてきて泣けてくる。

頭の中は「何で?どうして?」



この感情が繰り返される。




時間は朝の9時になっていた。


もう会社が始まっている時間だ。



会社に電話をして、簡単な指示を出して電話を切った。


次はお客さんに電話をしないと、、、。




うちの会社の一番大口のメーカーのお客さんだけに電話をした。


ちょうど直近の仕事を抱えていたので、連絡が取れないと迷惑をかけるから。


他のお客さんは沢山いるが、いまだに妻が亡くなったことは言っていない。



きっと幸せに新婚生活を送っていると思っているだろう。





しばらくすると、葬儀社から電話がかかってきた。


会葬礼状に載せるエピソードを聞く電話だった。



昨日の夜、妻に語り掛けたエピソードを話した。


「奥様の印象や好きな物、思い出に残っているエピソードなどお話し下さい。」



「そうですね、、。

私の妻はいつも笑顔の印象がありました。思い出すといつもニコニコしてる思い出ばかりです。

海外ドラマが好きで、よく二人で見てました。

思い出のエピソードですか、、、。


妻は生まれつき足に障害があって杖で歩いていたんですが、私も景色が見せたくてデートで張り切ってしまって、急な坂道を手を引っ張って登って行きました。

岐阜の養老の滝です。


それと、毎年花火をとても楽しみにしていたんですが、初めて浴衣を着て喜んだ日に限って雨が土砂降りりで、、。

後では笑い話なんですが、とても思い出に残っていて、、、。」



ここまで電話越しに話していると、当時の情景が鮮明に思い出されてきた。

この状況で元気だった頃の思い出話は、かなり酷だった。


「すみません。ちょっと待って下さい。」


泣きそうになって、言葉に詰まった。



「大丈夫ですよ。落ち着いてからゆっくり話して下さればいいですから。」



そう言われて、言葉に詰まりながらもエピソードを話した。





昼過ぎになると、義両親が交代で来てくれた。


一度会社に言って、引き継ぎをしないといけないので、一旦家族葬の施設を後にした。



アパートに戻ってシャワーだけ浴びて、車で会社に向かった。




運転していても、景色がいつもと違って見えた。


年の瀬のせわしない中、自分だけ世の中からはじき出されてしまったような感覚だった。




会社に着くと、みんなぎょっとした顔をしていた。


弟には言ってあったが、まさか会社に来るとは思っていなかったのだろう。



弟に引き継ぎの資料を渡し説明を手短にして、30分くらいで会社を後にした。



夕方、家族葬の施設に戻って、義両親と一緒に葬儀の打ち合わせをした。



朝話した会葬礼状の原文がもう出来上がっていた。

「この内容が良いかどうか見て頂けますでしょうか。」


渡された原稿に目を通した。





「きれいにまとめるもんだねぇ」


お義母さんが言った。



私は当時の思い出が一瞬に蘇って、部屋を出て隠れて泣いた。


だがすぐ部屋に戻って、その内容で進めてくれるようにお願いした。




「yoshiちゃん、昨日は一晩ここにいて疲れたでしょう。

今夜は私たちが泊まるから、yoshiちゃんはアパートに戻って休んでね」


本当はまだ一緒に妻と痛かったけど、義両親も一緒にいたいはずなのでアパートへ一旦帰ることにした。




アパートに戻った。



もう妻のいないアパート、、、。



帰って来ても、何もできなかった。


ただ椅子に座って、嘆き悲しむしかなかった。



ふいに妻のスマホが目に入る。



私はスマホは持っていないので、実際に妻のスマホを触りながら操作を覚えていった。



妻がなぜ死んだのか。

何か痕跡は残っていないのか、探した。



LINEの操作もこの時初めて覚えた。



メッセージを見て、痕跡をずっと探す。


最後にメッセージをしていたのはお義母さんで、亡くなった前日には短時間でとても多くメッセージを送っていた。



新しく見つけたうつのカウンセラーに行こうか相談している内容。

妻と同じ障害の二分脊椎で3人も子供を産んでいる人の事。

身体に良さそうな、サプリの内容。

身体の不調の悩み。

時々自分が無能に思えるという内容。



6~7通一度に送っていた。



これは今思うと、躁状態に入っていたのかもしれない。

話していた感じでは、ただ穏やかになったような感じだったが、、。



よくスマホでネット情報を見ていたので、履歴が見たくなった。



どうやって見るのかな?


適当に操作していると、履歴らしきものが出てきた。


履歴は前日の内容だけ残っていた。



それを見て思わず「うわっ!」っと声を上げた。


それは自殺サイトだった。


http://ameblo.jp/loveemichan/entry-11763985232.html





にほんブログ村
にほんブログ村