控室に戻ると、私の両親と一番下の弟が来ていた。
弟は私を見るなりハグをした。
「葬儀社など、決められた所はありますか?よろしければ病院と提携している葬儀社を紹介します。
奥様のご遺体は今晩中しか置けませんので、お決め頂くようお願いします」
病院のスタッフにそう言われた。
葬儀社か、、。
そんなもの事前に知っている訳がない。
「俺に任せとけよ。俺が探すから、とりあえず見つけたら教えるよ。」
弟がスマホで色々調べてくれた。
数分後、、、。
「ここでいいか?」
そういってスマホで基本の予算みたいなものを見せてくれた。
正直高いのか安いのかすら分からない。
「うん。そこでいいよ。」
私はとりあえず、そう答えた。
「葬式はどこでやる?こっちの方でやるか、うちの地元でやるのか。」
弟にそう聞かれて、考えた。
妻の両親に聞いても、もともとお寺との付き合いもないし、全て私に任せると言ってくれた。
なので、私の地元でやることにした。
葬儀場も、私の祖父の時と同じところですることに決めた。
ここまで決めるのは、全てが慌ただしかった。
短時間で決めなければならず、とても死を悼んでいる暇などない。
回らない頭の中、本当に弟に助けられた。
控室に戻ると、机の上に妻のカバンが置いてあり、横に紙切れみたいなものが置いてあった。
これは、、、、まさか、、、、。
恐る恐る聞いてみた。
「この紙は何?」
そう聞くと私の母が答えた。
「私があみちゃんのカバンをもう一回調べてみたらね、、、。このカバンのポケットから出てきて、、、。」
私はその紙切れを、手に取った。
それは小さなメモ用紙だった。
あみちゃんの大好きな、ディズニーのキャラクターのメモ用紙、、、。
その小さなメモ用紙を4つ折りにしてある。
私はゆっくりとメモ用紙を開いた。
小さなメモ用紙に、本当に小さな文字で書かれていた。
「生きることに疲れました。迷惑をかけて、また悲しませて本当にごめんなさい。」
それは妻の遺書だった。
これは遺書と言えるものなのか?
正直、この文字を見た時も、とても妻の本心だとは思えなかった。
これだけ?
本当にこれだけなのか?
全く私が知っている妻らしくなかった。
涙は出ず、深い、本当に深いため息しか出なかった。