44.妻とのやりとり | いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

2013年12月、最愛の妻をうつ病による自死で亡くしました。
結婚して1年1ヶ月、あまりにも短すぎました。
体に障害があったけど、懸命に生きていた妻。
妻の事を忘れない為、初めてブログを書きます。

「はい、○○治療院です。」


電話口で院長と思われる男性が出た。


「すいません。ホームページを見て電話したのですが。

実は妻がうつになりまして。治せると書いてありましたのでお電話しました」



「それは大変でしたね。私も以前うつだったので分かります。

お辛いでしょう。奥様はどんな状態なのでしょうか」


丁寧に聞いてくれた。



詳しくは妻と直接話した方が良いと思い聞いてみると、心療が終わってから夜電話をくれるとのことだった。




そして家に帰ってから、夜遅く電話がかかってきた。


それから妻と電話で30分以上話していた。


とても丁寧に話を聞いてくれたらしい。


まだ診察も受けてないのに、ほとんどカウンセラーだなと思った。



すぐ予約をした。


一週間後に予約が取れた。




その間も妻は、いつも行っている整体の先生から借りたうつの治療本を読んだりしていた。


「yoshiちゃんも読んでね」


読んでみると、市販されていない本で医者の立場からうつの患者に対する接し方、治療のプロセスが説明してある本だった。


治療の第一段階は、とにかく睡眠を取り、脳を休めることが肝心だと書いてあった。



「ちゃんと眠れてる?」


そう聞くと、あまり眠れてないと言う。


「何で?ちゃんと薬のんでる?」


「スマホで見ると、睡眠薬って依存性があって怖いんだよ。だから半分に割って飲んでるの。」

妻は辛そうな表情を変えずに言った。


「それ、大丈夫なの?適量を飲んでとにかく眠ったほうがいいんじゃない?本に書いてあるよ」


「うーん。どうしようかな。今日寝付けなかったら一錠飲んでみようかな」




妻は私にうつかも、と告白して以来、ずっと眉間に皺をよせている表情だった。

私の好きだった妻の笑顔は完全に消えてしまった。


そしてずっとスマホをいじっていた。


「何を調べてるの?」

と聞くと

「薬の副作用」

といつも言っていた。


体調の不安、副作用の不安。


まるで不安にとらわれているようだった。




その週末、私は忙しかった。


大阪への出張、それから帰ってきたら次の日はフルマラソンだった。


妻は実家へ戻ったほうが安心できているようだったので、出張の前日から実家に泊まっていた。



出張中に妻からメールが入った。


『yoshiちゃん、出張お疲れさま。

時間がある時に読んでね。↓


もうすぐ結婚記念日なのに、ここのところ私は毎日体調不良の泣き言ばかり言って、二人にとってけして楽しい生活とはいえないよね。


頑張って働いているyoshiちゃんの支えになりたいのに、とても辛いです。


こんな日々が続いたらどうなってしまうの?と、また考えすぎだと言われると思うけど、考えてしまって不安になります。


でも絶対良くなると信じて、見守って、時には力を貸して下さい。

(治療院も探してくれてありがとう)


yoshiちゃんと幸せになりたい。その想いは変わらないから。


心配ばかりかけるけど、これからもよろしくお願いします。m(_ _)m 』


このメールを出張先で読んだ。


絶対乗り越えないと。

そう思ってすぐメールを返した。


「今ようやく新幹線に乗りました。

あまり自分を責めなくていいよ。

少しづつでも良くなっていけば良いからね。


一緒に幸せになりたい気持ちは俺も同じだよ。」


妻から返信があった。


『ありがとう。

実家でも訳のわからない焦燥感、ソワソワ感で苦しくてジタバタしてる。

だから家に帰っても、そんな姿ばかりみせちゃうかなって。

明日は帰ります。』


やはり、私には苦しんでいる姿はあまり見せたくないのだと思った。





次の日、マラソンが終わったころにメールが入った。


『今日、帰った方がいい…よね?

実は新たに深刻な悩みが出てきちゃって(血便になってる、、。)

更にどんよりしてるから、疲れて帰って来てるところ、嫌な気分にさせるかも、、、。


そう思うと、帰ったっほうがいいのか悩むよ。』


えっ!大丈夫なのか?

心配になった。

と同時に何を俺に気を使ってるんだろうとも思った。


「大丈夫なの?病院は?よかったら今日も実家に泊まりなよ」



『そう…させてもらおうかな。

病院は明日聞いてみる。


私は甘えてばかりだね


こんななのに、怒らないでくれてありがとう。

感謝してます。』



甘えでも怒ることも何にもない。

そう思った。



そして治療院に行く当日が来た。






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