23.お披露目会(1) | いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

2013年12月、最愛の妻をうつ病による自死で亡くしました。
結婚して1年1ヶ月、あまりにも短すぎました。
体に障害があったけど、懸命に生きていた妻。
妻の事を忘れない為、初めてブログを書きます。

沖縄の結婚式が終わり、次は1ヶ月後に地元名古屋でお披露目会をすることになった。


結婚式は親兄弟だけだったので、今回はどこまで呼ぶか相談した。



「あみちゃん、どこまで呼ぶ?弟の時には親戚一同呼んだけど友達とかどうしよう、、。」


「私は少人数の方がいい。友達は呼びたくないよ。何か、さらし者みたいになるのが嫌だし。

それに大阪にいる父方の親戚とは10年くらい付き合いがないから来ないかもしれないよ。」



会場選びも最初は食事会程度にしようかと思っていた。


しかしプランナーに相談したら予算内で結構いい所があり、お披露目会というより披露宴に近いものになった。


結局妻の大阪の親戚も、声を掛けたところ10年ぶりに大阪から来てくれた。


それとお互いの仕事の上司を一人ずつ呼んだ。

私は会社の相談役、妻は市役所の課長さんが来てくれることになった。


少人数が良いと言っていたが、私の親戚が多いため総勢40人くらいになった。



今回のお披露目会は妻が望んだものではなく、ケジメとして親戚へのお披露目を目的としたもの。


なので来て頂く限りは、退屈させてはいけない。



余興が一番だけど、友達を呼べないのが厳しいな、、、。


結局新郎の私が余興の大部分を行う事にした。


妻はただ座って笑っててくれればいいや。



「プロフィールビデオとかどうする?流さないと多分間がもたないよ。俺がPCで自作するから、あみちゃんの昔の写真とか持ってきてよ」


「やだよ。私のはいいからyoshiちゃんだけのにしなよ。そのかわり私は席次表を作るから。」


何度か写真を持って来いと言ったが、結局首を縦に振らなかった。


仕方なく私の半生と、後半は沖縄の結婚式の写真でビデオを作った。

ビデオのBGMはミスチルの曲「GIFT」にした。


結局私は妻の昔の写真を一度も見た事がない。

先日妻の友達が来てくれた時聞いてみると「学生時代からほとんど変わらないよ」と言っていた。


極度の恥ずかしがり屋なんだろうか。


「今度はカラードレスにしようと思うんだ。yoshiちゃん何色が好き?」


「そうだなぁ、水色かな。」


「私も水色がいいと思ってたよ。ドレスは水色にするから、また当日までのお楽しみね。」


結婚式の時と同じく、当日まで私にも内緒だった。


私は前回同様5分で決めた。




ちなみに当日の余興。


・フランベ

・弟たちの余興

・私から妻へ送る歌

・瓦の寸勁(すんけい)割り。



上記の弟たちの余興以外は全て、私の担当だった。


私は元々カラオケが嫌いで、妻と付き合っているころから一度も歌声を披露したことがなかった。


「なかなかyoshiちゃんの歌は聞けないから、ラブソングにしてね。」

妻からの要望だった。


皆さんの前で嫌いなカラオケでラブソングを歌う、、、。

完全に罰ゲームだと思ったけど、妻の要望ならしょうがないな。


「最初で最後だからね」

そう言って引き受けることにした。



今回の最大の余興は「瓦の寸勁割り」



普通の瓦割りは手刀や正拳で割る。


そんな当たり前のものは見せたくなかった。



寸勁は空手や中国拳法の技で、対象物にほぼ触れた状態で打撃を当てる技術。

ブルース・リーの「ワンインチ・パンチ」などが有名だ。


やった事はなかったが、寸勁の映像を見て多分出来るのではと思っていたので、練習して当日披露することにした。


なんちゃって寸勁で十分。



色々な空手家の瓦の寸勁割りの映像を見た。


達人クラスになると、手を置いているだけで瓦を粉砕しているように見える。

これはとても出来ない。


でもその他の人のを見ると、多少モーションは大きいものの出来そうな気がした。


地面のほうに叩き付けてはいるが、近距離のストレートパンチに動きが近いのではと思った。


それに普通の瓦割りとインパクトが全く違う。


早速ブロックに電話帳を数冊積んで練習。

練習は仕事が終わったあと、会社で行った。


手のひらを電話帳につけて叩きつける。


多分これだと割れないな。

腕の中心が、瓦の中心にまっすぐくるように置く。

手の力じゃない。

全身をつかわなきゃ。


手のひらをつけた状態で、瞬間わずかに手をはなす。

その瞬間、軽くジャンプするような意識で重心を上に持っていく。

地面につく瞬間、重心を真下の腕に集中させ右ストレートを打つイメージで足・腰を使い叩きつける。


電話帳に手のひらが当たると、先程とは手ごたえがまるで違った。


「これなら割れるな」


早速瓦を取り寄せた。

瓦が届くまで上記のモーションを限界まで小さい動作で、しかもスピーディに行う練習を繰り返した。


割るのにはタイミングとバランス、スピードが重要だと思った。


瓦で試したところ、一発で割る事に成功した。


お披露目会の準備で一番時間を割いた練習だった。




そしてお披露目会の当日を迎えた。





にほんブログ村
にほんブログ村