9.思い出(続・アウトドア) | いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

2013年12月、最愛の妻をうつ病による自死で亡くしました。
結婚して1年1ヶ月、あまりにも短すぎました。
体に障害があったけど、懸命に生きていた妻。
妻の事を忘れない為、初めてブログを書きます。

妻がまだ彼女だった頃。


ウォーターボールが楽しかったので、二人でアウトドアで遊ぶ事が出来るものをまた探していた。


二分脊椎症で足が不自由でも、アクティブに二人で楽しめる事はないか。


色々調べたらこういうのを見つけた。



「レールマウンテンバイク」



廃線になった路線を利用して、横に連結したマウンテンバイクでレールの上を走ることが出来る遊びだ。


自転車のタイプは何種類かある。


マウンテンバイクの後ろにシートを連結したようなファミリー向け、主にカップル二人で漕ぐ電動アシスト機能がついたタイプ、全て自力で漕ぐ 体力自慢の通常タイプなどがあった。


アシストタイプなら二人で漕げる。


彼女は日頃から足の機能低下を防ぐため、ジムでエアロバイクを漕いでいるので何ら問題ない。




ヘルメットを被り、自転車にまたがると係員に後ろから押された。



「キャッ!」


ちょっとしたジェットコースターみたいにレールを下に勢いよく降りたため、彼女が軽く悲鳴をあげた。


そのままレールの上を惰性で勢いよく進んでいく。



だんだんスピートが落ちてきた。


「じゃあそろそろ漕ごうか。」





誰もいない線路の上を、二人でゆっくり漕いで行く。



レールの振動が体に伝わって心地いい。

すでに秋口に差し掛かっていて、木々も少しだけ紅葉している。


途中トンネルに入った。





山の中のトンネルは自転車の頼りない灯りでは不気味だし、とても寒かった。


「寒いから、早く漕ごう!」


アシストを全開にして、全力で自電車を漕ぐ。


「ここで自転車の電池が切れたらヤバいよね?」

彼女が笑って言った。


暗いトンネルの中で自転車を漕ぐ音と、喋り声が反響する。

あんまり充電を使いすぎると途中で止まってしまうと係員から説明があった事を思い出し、あわてて少しパワーを抑えた。


かつて駅だった無人のホームの前を通過した。



「yoshiちゃん、線路の下の方からホームを見るって変な感じだね。」


「特急列車通過しまーす!」

私はそういっておどけた。



20~30分くらい漕いで終点に着いた。


終点は折り返し地点になっている。

駅舎は休憩室になっていて、マウンテンバイクを係員が反転させるのを待つ。


反転を待つ人たちと一緒にしばし休憩した。



「今度一番紅葉している時にまた来ようよ。絶対きれいだよね。」

彼女は嬉しそうに笑った。



約束果たせなかったね。

ゴメンね。



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