ハッピーバースデー | *アンチハリウッド的* 映画論

ハッピーバースデー

happybirthday

ハッピーバースデー


【発行年】 2005
【発行】  金の星社
【著者】  青木 和雄、吉富 多美


【あらすじ】
実の母に「あなたなんか産まなければよかった」と言われ
深く傷ついたあすかは、声をなくしてしまう。
療養のために訪れた祖父母のもとで、人間の優しさに触れ、
また自然の営みに触れることにより、「命の意味」を学び
あすかは大きく成長する。


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仕事帰りに本屋で立ち読みして号泣してしまいました。
(かなり怪しい人ですね)
立ち読みで読破できるほど、軽いタッチで書かれており
読みやすいです。
あとがきを読んで初めて知りましたが、もともとは児童書
だったものを大人向けに?加筆・修正したものです。
道理で深くないわけだ。


声を失ってしまうほど、心が病んでしまった主人公が
祖父母の愛情を受け、また自然に触れることで、自分を
取り戻し「命はめぐみ」なのだと理解する。
ここで心と声を取り戻し、大きく成長したのはよく分かる。


だけど、実母のもとに戻ってからのあすかは別人です。
こんなに簡単に人は強くなれるのか?変われるのか?
と読んでいて違和感をおぼえました。
あすかの心の葛藤や変化についてもっと描写がほしかった
なぁと思います。
児童書としてはこれで十分だし、そこを書いてしまうと話の

主軸がぶれてしまったかもしれないから仕方ないのかな。


テーマはとても重いです。
親からの虐待、障害者とのふれあい、いじめ、人の死・・・
この手の本は読後、気分が重くなってしまうこと多いですよね。
でも、よくも悪くもさらっとしているから、こういうテーマが
苦手な人でも読みやすいのではないかなと思います。
そういう意味では、みんなにオススメできる本だと言えます。


人の痛みを理解したり、善悪の判断をつけられる心を持った
大人になるには、こういった本を早いうちから読んで
自分に置き換えて考える訓練をした方がいいんでしょうね。

読んで心が洗われました。