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恋愛小説『Lover's key』

#8-3 思わぬ再会(yua's side)






────記憶をさかのぼること小学生時代。



小学6年生のとき、入学したての1年生のお世話をする係りというものがあった。



給食を一緒に食べたり、掃除の手伝いをしたり、まだ小学校生活のノウハウも分からない子達のお手伝いをする係りだったんだけど、そのときに私が面倒見てたのがテルくん率いる1年2組だった。。。



テルくんは今思えば昔から頭のいい子だったのかもしれない。



手の込んだイタズラをして、周りのみんなを困らせていた。



あっ。。。そういえば私も色々泣かされた記憶がある。。。



虫が大嫌いなのを知ってて、テルくんがいつも私のカバンにこっそり入れたり、服につけてきたり、、、、。



……うっ。。。そう考えると嫌な思い出だなぁ。。。



でも、何故か私はテルくんになつかれていた気がする。



1年生なのに6年生の私のクラスにまで一人でよく遊びに来てたし。



もともと私も小さい子のお世話は好きだったから、テルくんともよく遊んであげたっけ。。。



小学校を卒業する頃には私も今住んでる場所に引っ越しちゃったし、テルくんと接点があったのは少しの間だけだったんだけど・・・。



そっかぁ。。。あのテルくんかぁ。。。



私は懐かしむようにテルくんを見た。





「それにしても、、、、よく私だって分かったね!!あのテルくんがこんなに大きくなってるなんてビックリだよ~!!」



「オレ、結構記憶力いいんだよね。。。しかも………」



しかも・・・??



「……まぁ、いいや。。。」



テルくんは何かを言おうとして口篭った。



・・・あれ?



なんだかふと切なそうな表情に変わった気がしたけど…気のせいだった…かな??



「でも、ホント久しぶりだね~センパイ!!会えてちょっとウレシイかも。オレ!」



テルくんはそう言うと、さっきまでの笑顔に戻った。



「K大志望なんて、テルくん頭いいんだね~!」



「いや、そんなことないよ。でもセンパイもK大なんじゃないの??」



「え??・・・私が??違う違う、全然違うよ!!!私はS女子大だし。。。」



「あ、そうなの??だって、櫻井センセの知り合いだろ??」



「……」



私は言葉に詰まった。



「・・・ってもしかして、、、センセの彼女??」



テルくんは目をまるくさせていた。



「まぁ、、、そうかな。。。」



これは言ってもよかったのかな??



でも、隠しても結局はバレそうだし、、、。



「……ふーーーん。。。。そうなんだ。へぇ~。。。。。」



・・・え??なに??テルくんの不満そうな顔は。。。



しかも、頭からつま先まで一瞬見られた気がした。



「ちょっと……。もしかして、不釣合いとか思ってない?!」



「……あ、ヤベっ!バレた??」



テルくんはイタズラっぽく舌を出して笑った。



「ちょっと、、、ヒドイよ~!!!!!!!!そりゃ、私には出来すぎた彼氏だと思ってるけど。。。」



「どうせ、センパイが告って、無理矢理センセにOKもらったんだろ??」



「え??・・・それどういう意味よ!!あ、なんか頭にきた!!」



(ハイハイ!!そうですか!!そう思ってればいいよ。テルくんにはもったいなくて私たちの出会いは喋りたくないもんねっ!!)



・・・そう言おうと思った矢先、そばにある時計が目に入ってきて、予定の時間から20分も過ぎていた。。。ヤバっ!!



高校生、、、しかもテルくん相手にムキになってもしょうがない。。。冷静になんなくちゃ!!



「ヘンな雑談してたら時間が過ぎちゃったじゃない!!んもーーー、ほら、テストするから椅子に座って!!」



私は進一から預かったテスト用紙をバッグから取り出した。



「……ちぇっ、時間稼ぎして、今日は勉強無しにしようと思ったのに……」



「ん??何か言った??」



「や、別に…。はい。じゃぁ、ちゃんとやるよ。テストください、“センセ”!」



テルくんはムスっとしながら椅子に座った。






んもーーー、最初の出だして超カッコイイなんて思ったのは訂正!!!ヤンチャなところは全然変わってないんだから!!!




───でも。




まさかこんな風に再会できるなんてちょっと驚いた。。。






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