先日、光栄にもフォームに対するご相談を受けました。
この記事は
相談者のTさんへ書いたものなのですが、
同じような悩みを持ってる方も結構いるんじゃないかと思うので
私が考える今の状態の見解と、
これからの意識へのご提案をシェアします。
『悩んでいること』 Tさん
・テイクバック時に前に行ってしまう、セットアップ時に肩がはってるような感覚がある。
・投げ方においては、切り返し(トップ)で待てない、すぐ出してしまう、切り返し地点で握りこんでしまう。
・今一番直したいところは、右にズレる、垂れる(失速)。
①【テイクバック時に前に行ってしまう】
ターゲットに合わせる為の腕の回内によって
縮めるのに使う屈筋ではなく、伸ばす筋肉である伸筋を使ってテイクバックしてしまうため、
腕は縮まるのを嫌がって、テイクバックするのに力がはいり、
その力に引っ張られて体が前に突っ込んでしまう。
その結果重心は前に移動する。【テイクバック時に前に行ってしまう】
これは後ろから誰かに押された場合と似ていて、
反射的に倒れないように体は伸筋優位になります。
(押されてふんばる時、手がパーになったりするのは伸筋が作動するから)
筋肉バランス的には後ろから押されている状態でダーツを投げようとしているので、
当然体は力みます。
ふんばる分、脚は力み、その力みは上半身に伝わる。
可動域はせまくなる。
前に出ないようにする力(体)と
前に出そうとする力(腕)が同時に起こり運動の矛盾が生じる。→拮抗
②【切り返し(トップ)で待てない、すぐ出してしまう】
伸ばして伸ばすを嫌います。
(縮めて縮めるより、伸ばして伸ばすという動きをより嫌うのは、屈筋より伸筋のほうが筋肉的に弱く
ダーツで痛くなりやすい箇所は伸筋が多いのはそのため。)
ので、伸筋を使ってテイクバックした腕は、今度は伸びたがらなくなったり、
これ以上、無理に腕の伸筋を使うと(引く・止める)と痛めてしまうため
勝手に腕がでてしまうという現象が起こります。
癖ではなく、体の正常反応です。
【切り返しで握りこんでしまう】
これに関しては、私はあまり握りこむということがないので
想像になるんですが、
テイクバックで伸筋が拮抗している分、
より屈筋の力をかけないと引けないことが影響しているんではないでしょうか。
(握るという動作は屈筋を使うので)
ですが、日本のトッププロや海外の選手でも握りこむプレイヤーさんは結構いるので、
トップの切り返しがスムーズになっていけば
そんなに気にしなくてもいいのかもしれません。
③【右にズレる、垂れる(失速)】
上記①②の要因の結果、
伸筋促進になると指が効きにくくなるので、リリースポイントが遅れたり
空振りの状態になると体への負担も大きくなり、
拮抗してる分よけいな力を使うので疲労も早くなります。
通常のリリースポイントがあったとして、
体がつっこむとつっこんでる分と、拮抗している分で
ダーツに力が乗らなかったり、リリースが遅れる。【下に垂れる】
そして高さが足りないのをダーツを押して補おうとする。
そこでもまっすぐ押せればいいのかもしれませんが、
(肘の跳ね上げなどで。ですが私はその辺あまりわからないので割愛します)
ここでも筋肉の力みなどが伴って
まっすぐ腕が振れなかったり、そもそも拮抗が大きくなって腕が伸びなかったりする。
じゃぁこの問題をどうクリアしていくかですが、
根本の原因、伸筋促進を抑えることが有効だと考えます。
課題その①
・スタンス重心位置
土台が大きければ上半身は安定しやすいと考えて
みぞおちから足のかかとに一直線に重心をのせるイメージでスタンスをとる。
(かかとの上の太い骨にのる意識)
その上に上半身が乗っかってるイメージです。
下の画像の境界線から上は筋肉がリラックスしてる状態が理想。
(参考→スタンス・骨の上に乗る)
課題その②
・回内をおさえる
腕を画像のようにグーのまま手前に折りたたむ&伸ばすことは簡単にできると思います。
ここで手首だけ返してもスムーズにできると思います。
そしてこのままマシンの前に立って投げればバグは起きないんですが
構えたところとターゲットとズレが生じるので、
腕を回内して合わせてしまいます。
(これにより伸筋が促進されてバグが起こりやすくなる。)
ので、このズレを
腕の回内ではなく、あとこのピンクのところ以外の意識で
どう合わせていくかを考えていく。(スタンスやセット、重心、使う筋肉の意識などなど)
回内が大きくなるとどうしても、上記の骨や屈筋の上に立つスタンスをとっても
伸筋優位のスタンスにシフトチェンジしてしまいやすいです。
それをかばって、肘をはると
セットアップはできるものの肩回りが力んで可動域はせまくなる。
同じ力むなら、ダーツを投げる腕から遠いほうがいいと考えます。(だからピンクのところ以外)
深呼吸して胸が膨らんだ状態だと、胸が閉まってる時より
腕を動かしやすくなるはずです。
これは胸が開いたことにより前側に引っ張られている肩や背中側の筋肉の圧がやわらぐため。
緊張したときは体が委縮する分胸が閉まりやすいので、
意識して胸を開いていく。
胸をひらくにもテンションをかける力がいりますが、
力まないようにしようとしてできないなら、
力を入れてもいい筋肉の順番を知ることも大事。
(力んでもコントロールできる筋肉バランスを見つけていく、→力んでも大丈夫→心の余裕)
できるだけバグが起きないようにするリスクヘッジです。
そして胸の筋肉を使っていくことで、
やわらかく・可動域を増やしていく狙いもあります。
(筋肉に呼吸させるイメージだよ。)
ダーツを3本投げた後、
胸に空気を入れて広げるような深呼吸をするのも
おすすめです。
(参考→筋肉を緩める)
(参考→フォロースルー)
フォームの動画も見せてもらったんですが、
Tさんのレベル・センスから見ると
スタンスや重心の意識、回内から起きる拮抗が少なくなってくれば
一番直したいところ右にズレる、垂れる(失速)は勝手に修正されていくと思います。
そして上記をふまえて
課題③
・起点の意識を変える
ダーツを投げるという動作だけだとしても
エネルギーは体の内側から外側へ連動しています。
であれば、指先は連動の最後・結果なので
意識しなくても連動がうまくいってれば指の意識だけでコントロール可能ですが、
そうでないのなら、
体の内側の起因となる個所から調整していく方が効率がいい。
体が前に突っ込んだ状態は押されている状態と似ていると書きましたが、
その状態で腕を振っていこうと思うと
その押されてる力以上の力がいることになります。
ので、よりパワーが強いところを起因とする、それが
肩甲骨です。
まず、腰の位置を胸の下・肩甲骨下くらいに意識してみてください。
これは、利き手側(ピンクで囲んでいることろ)を分離させて動かす意識をつけていくためです。
実際には、もちろん分離はしませんが
イメージはロボットが腕を飛ばすように
肩甲骨から腕を抜いていくイメージをもつためです。
腕をおもいっきり振っても、切り離して腕ごと飛ばせたら
下半身に影響はないですよね。
そして起点を肩甲骨にして
指先まで到達した大きなバグを起点の早いうちに修正します。
ーーーーー練習法----←えらそうに
・肩甲骨から指先までを鞭のように振っていきます。
ポイントは腕や指が先行するのではなく、
肩甲骨を歯車のように動かすことで、結果腕や指が振れるイメージです。
野球投げするときって肩甲骨動きませんか、あんな感じです。
おおげさに肩甲骨動かしてみてください。
※固定の意識はいりません。むしろない方がいい。
※ピンクで囲ったとこだけが動くイメージ
鞭のようにしなるイメージでダーツが ばこーんっ て飛んでいけばok
肩甲骨からのエネルギーを感じながらダーツに力がのるととても気持ちいいんです。
まずはそれを感じてください。
それに不思議なことに気持ちよく振れたときって投げたいところに飛んでったりします。
このもう一つの狙いも
肩甲骨周りの筋肉を動かすことで、可動域を広げてくことです。
トッププロで気持ちよさそうに飛ばすな~って思うプレイヤーさんは
後ろから見ると肩甲骨めっちゃ動いてます。(必見です)
エネルギーがスムーズに伝われば
グリップは勝手に決まり
ダーツに力が勝手に伝わります。
(参考→テイクバック)
(参考→肩甲骨は天使の羽)
(参考→筋肉は使うことでやわらかくなる)
今の体のバランスの状態や
普段はできても緊張した場面での力みなどからコントロールがむつかしくなってしまったとき、
伸筋が優位になってしまうなら
伸筋以上の屈筋を使い無理に入れにいくことも必要になってきます。
私はそういときは開き直って
試合でも肩甲骨投げをするときがあります。(アップではいつもやりますし)
失投して気持ちを弱くしてしまうくらいなら
開き直りますw
気持ちよく振れるとアドレナリンが出たりもしますし(私だけかなw)
どうせ入らないなら、おもいっきり!!その方が私はダーツが楽しめます。
とこんな感じです
とても長くなってしまいましたが、(文章力がないのはどうやらのびなさそうです)
Tさんやこのブログを読んでくれてる方に
一番伝えたいことは
わからないことや違和感の正体を
知る・理解しようとしてほしいということです。
自分自身の心や体のために。
うまくできないとき、体がいうことを聞いてくれないとき
自分の心や体を責めないでください。
自分の心や体は一番のパートナーです。
そのパートナーの信号(違和感)に耳を傾けてあげてください。
決して私が過去にしたような、体に無理にいうこと聞かそうとしたり
頑張りたいという心を否定しないでください。
・・・ってちょっと熱くなっちゃったはず~~~
でもホント思うように出来ないとき、
原因はこれかな?っていう選択肢を作ることって
とても大事だと日々感じています。
いつもと同じように打てないときメンタルのせいにするのではなく、
これでダメだったらこの手でいってみるかっていう選択肢は
心の余裕を作ります。
経験も技術も上の相手と対戦するとき
丸腰で挑んでも勝つのはむつかしい。
だから、何か武器を持とう!!
それが私にとっては、自分だけの理論を作ることでした。
ぜひ自分だけの武器を探してください。
それは、絶対に強みになるから。
私の理論が正しいかなんてわからないけど、
こんな考え方もあるんだと知ることだけでもいいと思います。
試してみて合えば取り入れてみて、
合わなくても心のすみに置いといたらいつか何かとつながるかもしれませんしね。
ぜひTさん自身のフォームや考え方に昇華してもらって
心が震えるようなダーツを打つ選択肢のひとつになれたら
とてもうれしいです。
(Tさんはプロなんだよ)
Kiki
PS:いいアイディアが見つかったらぜひおしえてくださいな