デニス・ブリアコフDenis Bouriakov のリサイタルを聴いてきました。(於、2012年6月28日、新宿オペラシティリサイタルホール)
ブリアコフは、1981年クリミアに生まれ、モスクワ国立音大を卒業後、イギリスへ渡り、ベネットの元で学んだあと、ロンドンフィル、フランクフルト交響楽団、フィンランドのタンペルフィル、バルセロナシンフォニーと、様々なオーケストラを経て、2009年より、ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場オーケストラの首席フルート奏者として活躍しています。
曲目は、バッハ:ロ短調ソナタ
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ヴィラ=ロボス:ジェットホイッスル
ドュメルスマン:ウェーバーのオペラ「オベロン」による大幻想曲
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番
この日の演奏をひとことで言うならば、、「ほとばしる若さとエネルギー」でした。
満面笑みを浮かべ、スポットライトを全身で浴びるような演奏で、特筆すべきことは、「これで、どうだー!」というほどの驚異的なテクニックで聴衆を魅了していました。
ブリアコフは、フルートのレパートリーだけでは自分の持つ音楽性とテクニックを表現しきれないと言わんばかり、いつもヴァイオリンの曲をプログラムに数曲入れますね。今回もサンサーンスをはじめ、アンコールにウィニアフスキーも演奏していました。
その演奏は、テクニックばかりでなく音色も美しく、歌い回しも自然な演奏で、やや高音を細く鳴らすところは趣味の域として、圧巻な演奏でした。ピアノの石橋尚子さんも素晴らしいサポート振りでした。ブラヴォー!
ブリアコフが所属するメトロポリタン歌劇場ですが、最近METライヴビューイングというのをやっていまして、そこで催されるオペラをそのまま、映像として楽しめるのです。東京では、銀座の東劇や新宿ピカデリーでも上演しています。
私は、つい最近、ネトレプコ主演のマスネのオペラ「マノン」を観てきました。歌手陣もさることながら、METのオーケストラの響きは迫力があり、レベルの高い演奏を聴かせてくれます。その中で、ブリアコフがオケピットで演奏している姿が映し出されました。
ここのところ、続けて若手フルート奏者3人、ベルリンフィルのエマニュエル・パユ、ウィーンフィルのワルター・アウアー、そして、今回のMETのデニス・ブリアコフを東京で聴くことができ、その音楽性、音色音質、体の使い方の違いを楽しめ、大変面白く、彼らから多くのパワーと刺激を受けました。
私も彼らのように音楽を、いつまでも生き生きと奏でていきたいと思っています。