こんにちは、カウンセリングサービスの秋葉秀海です。
金曜日更新の「大人の恋愛術」をみずがきひろみ
と隔週で担当させていただいています。今週のテーマは、「パートナーシップを育てるコミュニケーション」。恋愛、そしてパートナーシップは私たちにとって、さまざま気づきを与えてくれるもの。今週もこのコラムが読者の皆様の小さな気づきにつながることができたなら幸いです。
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私たちのコミュニケーションには、言葉がなくても分かり合える、通じ合えるコミュニケーションというのがあります。例えば、年を重ねた熟練カップルの、何も言わなくても相通じる"感覚"。
いわゆる、ツーカーの仲、というやつですね。
それは、沢山の時間を共に過ごすことで自然と共有され、醸成されていった感覚なのかもしれません。
♪目と目で通じ合う~♪
私が中学生の頃そんな歌詞の歌が流行りました。
「言葉がなくても分かり合える仲」というのは、どこか成熟した大人の恋愛を連想させます。
いっぽう、カウンセリングをしていると、こんなご相談をお受けすることがあります。
「仕事が大変そうなんだけど何も言ってくれないからわからない。」
「最近、彼が何を考えてるか分からなくて。」
どうも私たちは、自分の気持ちや考えていることをパートナーに伝えることが苦手なようです。
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例えばこんな場面をイメージしてみましょう。
今日は、週の真ん中水曜日の午後10時、月末処理で忙しい彼は今日も残業。
「ああ、今日も仕事遅くなっちゃったなぁ。たぶん彼女、怒ってるだろうなぁ」と彼。
同時刻、彼女は冷めた夕食にラップを掛けながら独り言。
「昨日も残業、今日も残業って、ホントに毎日こんなに忙しいの?きっと何か他に理由があるんだわ」
怒ってるんだろうなぁ、と想像する彼。
ホントに仕事?と不安な彼女。
時間は過ぎて、日付も変わった午前0時。
3日続けて午前様の彼はようやく帰宅。
「(ああ、彼女怒ってるかなぁ)ただいまぁ。。。」
なんだか不安げな彼の様子に
「(なんか様子が変、やっぱりやましい事があるんじゃ)ただいまじゃないわよ!こんな時間まで何してたの!」
と不安が高じてつい感情が高ぶる彼女。
「何してたって、仕事してたんだよ」
「仕事、仕事ってホントに毎日こんなに遅くまで仕事なの」
「何だよ、何が言いたいんだよ!疲れて帰ってきたのにそんな言い方ないだろ」
「何よ、私だって」
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と、極端な例かもしれませんが、こんなことってないでしょうか?
"彼女を待たせてばっかりで申し訳ないな"という罪悪感、"彼が浮気したらどうしよう"という不安。
そんなお互いの気持ちは伝わらず、「たぶん」や「きっと」に続く想像が、まるで現実のように感じられることから生まれた行き違い。
目と目で通じ合う関係とは程遠い現実。
こんな時、私たちに必要なのは、今の気持ちを伝える言葉なのかもしれません。
かつて、赤ちゃんだった頃の私たちは、身振りや表情、泣き声で気持ちを伝えていました。それは「言葉がなくても通じ合えるコミュニケーション」の原体験といえるかもしれません。
ところが成長し、言葉を覚え始めたばかりの私たちにとって言葉とは、あふれる気持ちを伝えるには不十分で心もとないツールだったのかも。
伝えたい気持ちが伝わらないのは、もどかしく、苦しいこと。うまく伝えられない気持ちを抱えた幼い私たちは、
「どうしてわかってくれないの!」と腹を立て、
「どうせわかってくれないもん」と、本当の気持ちを伝えることをあきらめてきたのかもしれません。
今あなたがパートナーとの間で、何か分かり合えない感じ、壁のような感覚を感じているとしたら、もしかしたらふたりの間には、「どうせわかってもらえない」というあきらめにも似た気持ちが横たわっているのかもしれません。
言葉にできずに飲み込んだ気持ちはないですか?
伝えられずに押し込めた気持ちはないですか?
どうせ伝わらない、とあきらめてしまった気持ちはないですか?
そうやって、飲み込んできた気持ちの数だけ、
「言葉にしなくてもわかってよ、パートナーなんだから」と、私たちは彼を(彼女を)責めてしまうのかもしれません。
けれど、大人になった私たちは、今感じている気持ちを伝えるに十分な言葉と手段を持っているはず。
「たぶん」や「きっと」と想像をめぐらせるより、
「どうせ分かってくれない」とあきらめるより、
「いちいち言わなくてもわかってよ」と期待をするより、
今感じている気持ち、ホントに伝えたい気持ちを言葉にして伝えてみましょう。
それが、ふたりの間の「わかりあえない壁」を壊し、親密感を高め、
パートナーシップを育てていく言葉になるのかもしれません。
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言葉というのは、とても大きな力を持っているもの。
針のように尖って相手を傷つけることもできれば、毛布のように優しく包むこともできるもの。
そんな言葉をどんな風に使うかで、人生は変わっていくのかもしれません。
「パートナーシップを育てるコミュニケーション」をテーマにおおくりした今週の「大人の恋愛術」。
次週はみずがきひろみ 担当となりますので、次回、秋葉秀海の登場は、5月13日(金)です。それでは次回もまたこのコラムでお会いできることを楽しみにしています。
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