22日の祝日の日、友達が出演するミュージカルを観終わった あと、一緒に観劇した2人のうち1人と、近くのイタリアンのお店でご飯を食べた。


もう1人は友達とルームシェアをしているらしく、「今晩はお鍋やし♪」と、にこやかに去っていったのだ。

出演をしていた友達も、これから打ち上げがあるとかで、結局2人になってしまったのだった。



「そうそう栞、あたしもね、ひとり暮らしすることにしたねん!」

「おぉ、ついに!?」

「そう、ついに。まだもうちょい先なんやけどね」

「え、いつ?」

「6月から」

「えー、でももう3カ月ないやん。すぐやって!」


彼女は昨年の8月に一度、ウチに遊びに来た

それも、“ひとり暮らし”について聞かせてほしいということで。


ひとりで生きていくことを考え始めるようになったと話していた加奈子(仮名)だった。


そのときに一緒に来た瑞穂(仮名)が、今回ミュージカルに出演した子。

8月のときにも書いているけれど、アタシのウチに来る前が、ちょうどこのミュージカルの説明会だったのだ。



「C駅から徒歩3分やねん」

「おー、いいやん!」

「ホントは栞と同じB駅のほうがよかったんやけど、いろいろ考えて、まぁ、カードキーやし、スーパーも目の前やし、いいかと思って」


彼女が、アタシの住むB駅のほうがよかったと言う理由は、JRの新快速が停まるから。

彼女も職場が京都で、B駅よりもC駅のほうが1駅分京都駅に近いのだけれど、普通(鈍行)しか停車しないため、B駅から新快速で京都まで行くより、わずかだけど余分に時間もかかるのだ。本数も少ないし。


おもしろいことに、偶然にもこの日、ミュージカルが上演されていた会場のあるA駅、アタシが住むB駅、加奈子が今度住むことになるC駅、そして先に帰った友達がルームシェアで住んでいるD駅が、順に隣り合っている。

そのうち新快速が停車するのはB駅のみなのだけど。




素直な女になるために……-外観

お店の外観はこんな感じ。

なかなか素敵なところでした。




「そっかー。じゃあ、家が近くなるね! また遊びに行くわ!」

「遊びに来てもらえるよう、片付け頑張るわ(苦笑) それより、料理を教えてもらいに栞のところへ行くわ」

「アタシ、“名もなき料理”ばっかりやけど(笑)」


ひとり暮らしだとどうしても材料が余る。

かといって、野菜などカットしてあるものだと割高だし、鮮度も低いので、大きいままを買いたい。

だから、冷蔵庫に残っている材料をとりあえず入れて炒めたり、それこそウェイパーなんかで味付けすればなんでもおいしくなるという(笑)



あ、日本テレビ系「秘密のケンミンSHOW」によると、大阪の家には必ず冷蔵庫にウェイパーがあるのだそうです。

この番組でいう“大阪”って、だいたい関西全部当てはまるんですよねー。

もちろん、我が家の冷蔵庫にもいつも入っていました。


そして、都市伝説だと思われている“一家に一台たこ焼き器”。

少なくとも我が家や周りの家にはちゃんとありましたし、日曜日のお昼ご飯として焼いて食べてました。

家で焼くとカリカリアツアツで、なおおいしいんですよねー。



「わかった。あたしも“名もなき料理”頑張るわ!(笑) 家飲みとかもしようよ!」

「うんうん、いいねぇ、いいねぇ!」

「また今日みたいに恋愛トークもしたいし」

「そやねー」

「ホンマ今日はなんかすっきりしたもん。わかってくれる人がいてうれしいわ。あと、栞の彼の話もまた聞きたいしね」

「まぁ、この数カ月がいろいろありすぎたから、これからは変わったことはたいしてないと思うけど(笑)」




食事をしながら彼女と話したのは、主に恋愛トークだった。

驚くことに、彼女とは恋愛における価値観が似ていた。


背格好も似ているし、洋服などの趣味も似ていて、この日は2人ともピンクのトレンチコート(彼女は薄いピンク、アタシは濃いピンク)を着ていたので双子のようだった。


だけど、まさかアタシの変わった恋愛観まで似ているとは。




・メールや電話は用事のあるときのみ。「おはよう」「おやすみ」などの内容のないメールは論外。


・付き合い始めのころに頻繁に会うのは苦手。心を完全に開けるまで時間がかかる。


・愛されるより愛したい。相手の気持ちのほうが大きいと、その重みに耐えられずつらくなる。


・熱しにくく冷めにくい。年月を重ねるごとに、少しずつ相手のことを好きになっていくため一目惚れが理解できない。


・誕生日プレゼントなどをもらえなくても平気。気を遣わせるほうが嫌。





彼女は1年半ほど前に、8年半付き合った恋人と婚約段階までいって別れている。

アタシも先月、恋人と9年目に突入したし、彼女やアタシのようなタイプはもしかすると、良くも悪くも1人の人と長く付き合ってしまうのかもしれない。


また、彼女もその8年半のあいだ、大きな喧嘩はしたことがなかったのだそう。

アタシは小さいものですら未経験だけど、やっぱりこういうのも、アタシたちのタイプならではのものなのかなと思った。


基本、“ひとりが楽、ひとり好き”なアタシたち。

最初は距離を置いた付き合いしかできない。

まだ気を許していない部分に踏み込まれるような感がすると、一気に冷めてしまう。


でも、最近はマメな男性が多い。

メールも頻繁、わざと返信をせずにいても構わず送ってくる。

“返信ないけど何か悪いことした?”と、暗に返信を催促するメールがくると、うざいを通り越して怖くなる。


「アタシ、『うわっ、またきた!』って、ケータイ放り投げたことあるよ」

「あー、あたしもあるー!! いやぁ、なんか気持ちわかってもらえてうれしいわ。友達に話すと、『それでいいやん。男はマメなほうが絶対いいって! せっかく好意を持ってくれてるんやから加奈子が好きになる努力をするべき!!』って言われるんやけどさー、メールが頻繁にくる時点で、あたしもう無理なんですけど、とか思ってさー」

「うん、わかる。ゆーっくり始めてくれる人じゃないと無理よね」


一般的に、恋愛初期(付き合って3カ月ぐらい?)が一番気持ちが盛り上がると言われる。

だけど、アタシたちの場合、そこで盛り上がられてしまうと、反比例してどんどん冷めていく。


「だから、どうやって人を好きになったらいいかわからんくて。ゆっくり好きになろうと思っても、そうやってメールが来る人ばっかりで『もう無理!』ってなるし。あたし、元彼しか知らんから、ちゃんと恋愛経験積んできてないから、もうそこからわからんのよね。そういうのもあって、よけいに恋愛に興味がなくなってるのかも……」


彼女は、8年半付き合った男性が、初めての恋人だった。

女にもお金にもだらしない、いわゆるダメ男。ダメンズ。


だけど、いつか結婚するものと信じていたから、すべて許していたのだという。

周りからの忠告を無視し続けてきたのだという。


そう、アタシたちのようなタイプは、ともすると相手の“都合のいい女”になりかねない。

アタシは運よく、今の恋人は女性の気持ちをもてあそぶようなタイプじゃなかったけれど、場合によっては彼女のように、浮気をしてもギャンブルにはまっても文句を言わない“都合のいい女”になっていた可能性はある。


だからといって、相手の気持ちがこちらに向きすぎていると引いてしまう。

倫理観、経済観念もしっかりとしているけれど、恋愛よりも仕事や趣味に重きをおいている人。

忙しくてメールをしている暇もあまりないような人。

そういう人がいいのかもしれない。



素直な女になるために……-ノンアルコールカクテル

アタシは車で来ていたので、ノンアルコールカクテルをオーダー。

素面でも熱く語り合う女2人です(笑)




そして、彼女が一番すっきりしたと言っていたのがこれだった。


長年付き合った恋人と別れてからというもの、親よりも、既婚の友達からうるさく言われるようになったという彼女。


「『だから加奈子はアカンねん』とか、『だから結婚できひんねん』とか、集中攻撃されるねん。正直、あたしは今は、恋愛にも結婚にも興味がなくてさ、でもそれを言うとまた『だから加奈子は……』とか言われるから、愛想笑いしながら『そうだね』って言ってるんやけど。結婚してることがそんなに偉いの? なんでみんな、あんな上から目線で攻撃してくるわけ? そりゃ、自分たちは結婚して幸せなんかもしれんけどさ、幸せの形なんて人それぞれじゃないん? あたし結婚しても、絶対ああはなりたくないって思うもん」


相当ストレスが溜まっているご様子。

幸い、アタシの周りにはそんな迷惑な既婚者はいないけれど……。


アタシは、なんとなく感じたことを彼女に話した。


「それさ、自由な加奈子がちょっとうらやましいのかもよ」

「えー、そうかなぁ?」

「だってさ、自分が幸せやったら、そんな、人のことを上から目線で攻撃したりしなくない? 攻撃することで、『自分は幸せ』って思いこもうとしてるだけなんちゃうかな。ホントは不安があるから、自分より弱い立場の存在をつくりあげて、攻撃してるような気がする」


アタシの言葉に、彼女の顔が徐々に輝いてくるのが見て取れた。


「あー、なんか今、すごいすっきりした! そっか、確かにそうやんな。自分が幸せなときは、他人を攻撃したりしないわ。栞、ありがとう!!」

「んー、まぁ、わからんけどね。でも、アタシなら幸せなときにそんなことしないなと思って。そういうのってだいたい心に余裕がないときやろなと」

「うん、そやわ! ものすごい納得した。今度言われてもイライラせんで済みそうやわ」


こんなアタシでも、彼女の憂鬱を少しでも和らげることができたようで、なんとなくうれしかった。


「ま、今度言われたら、『この子たちも大変なんやろな。かわいそうに』ってぐらいに思っといたらいいんちゃう?」

「うん、そうする。『かわいそうやから言わせておいてあげよう』って思えそう!」




人間というのは、自分が恵まれているとき、幸せなときには何に対しても寛容になれるけれど、そうじゃないときには心の防衛機能が働き、自分より下位の存在をつくって安心したがる。

あるいは、自分とはまったく異なった道を歩もうとしている人に、自分の道のほうが幸せだと認めさせたがる。


自分がつらいとき、不安を抱えているときにも、他人のことを心から思いやるというのは、やっぱり理想にすぎないのではないか。

だから、他人の幸せを願うのであれば、まず自分が幸せにならなきゃいけないと、アタシは思う。

思いこむのではなく、本当に、幸せに。




素直な女になるために……-ピザ

ピザとパスタを頼んだのですが、おいしかったー!!

パスタは写真摂り忘れました(涙)




いつの間にやら3時間ほど経っていた。

アタシが駐車しているショッピングセンターが21時半で閉店してしまうため、そろそろお開きにすることにした。