温州ミカンと八朔の交配品種で、熊本の特産品のひとつでもあるスイートスプリング。
皮は青いのですが、それでも実はオレンジ色をしていて甘いのが特徴です。
今の時期は黄色いのですが、いつも食べ始める少し前くらいの青さが次の写真(写真は以前も載せたことがある2年前の11月に入る直前のもの)
この青さでも甘いんです。
でも今年はなんと、11月に入ったくらいから黄色くなっていて…暖冬の影響でしょうか。
海の近くではないので普通のみかんはさすがに難しいのですが、我が家の庭には柚子、晩白柚(こちらも県の特産品)と並んでスイートスプリングも毎年豊作。
(まだ植えたばかりなのですが、柑橘類だとレモンもあります)
庭のスイートスプリングは毎年とにかくたくさん実るのですが、特に摘果しなくても甘くてみずみずしいのは、品種の特性もあるでしょうけれど、土も合っているのかもしれません。
もちろん無農薬です。
室温でおいておいても日持ちするので、一度にたくさん収穫しておき、この時期は子供たちととにかく毎日のように食べているのですが今日はそのうちのいくつかをマーマレードに加工しました。
パンやクラッカーに塗ったり、紅茶の風味付けや、お菓子作りにも重宝します。
ここ最近はレモンマーマレードのレシピを検索してこのブログにたどり着かれる方が多いようなのですが、このスイートスプリングのマーマレードも同じ作り方で作っています。
でもスイートスプリングはレモンほどの苦みや酸味はないので、神経質に苦みを抜いたり、砂糖の量を多くしなくても良く、気軽に作ることができます。
また私の作るマーマレードの手順はほかの一般的な方法とは少し違うのですが(一番下で説明しています)、もし他に普段から作り慣れているレモンや甘夏のマーマレードのレシピをお持ちの場合は、その作り方でもスイートスプリングをジャムにすることができます。
~材料~
約250~300g 《皮+身の重さのおよそ1~1.3倍の間》
スイートスプリング 2個 (写真では皮と実の重さの合計240g)
グラニュー糖 皮+実の8~10割 (約180~240g)
水 皮+実の半量程度 (ここでは120cc前後)
●グラニュー糖は多いととろりとした部分が多くなり、少ないと皮の割合が多くなります。
~下準備~
○小皿を冷蔵庫で冷やしておく
○保存瓶を煮沸消毒しておく
~作り方~
①無農薬のものは表面の汚れを落としながら軽く洗い、市販品の場合は塩ずりやたわしなどで皮をよく洗ってから水気をよくふき取り、ぺティナイフやピーラーなどで、白いわたの部分はできるだけ多く剥きすぎないよう皮の黄色い部分を剥いて細切りにし、沸騰させたお湯で1~2分ずつ、3回茹でこぼす
→りんごを剥く時のイメージで包丁をスライドさせると剥きやすい。細切り具合はお好みで。
②わたも包丁をスライドさせながら剥いて、薄皮を丁寧に剥がしながら実をはずす
③皮と実の重さを量り、3/4程度のグラニュー糖、また皮+実の半量程度の水を準備する
④皮・実・水を小鍋に入れて弱火にかけ、あくを取りつつ焦がさないよう注意しながら、とろみがつくまで実の水分をゆっくりと飛ばす
→ここで一度、後述の《煮詰め終わりを確認する方法》をよく読んでから取り掛かってください
⑤鍋の中身が重さにして皮+実の重さの3分の1になったら、グラニュー糖を加え、溶けて透明になるまで2分ほど火にかける
⑥砂糖が溶けて透明になったら一度火を止め、冷蔵庫でしっかりと冷やした小皿に、ティースプーンの先にほんの少量取ったジャムを乗せて数秒待って、冷えた時に指で押してみてぺったりととろみがついていたら、さらさらの状態でも保存瓶に詰める
《鍋について》
マーマレード類は、下地が金属製の鍋で作ると酸と反応すると言う理由から、ホーローか耐熱ガラスの鍋だとまず安心です。
(金属でも腐食しにくいステンレスは可)
おたまや箸なども竹や木製のものを使うのがおすすめですが、他の鍋や器具で作れないと言うことはありません。
ただホーローでもそうでなくても、加工や表面が剥がれたものは避けてください。
レモンを使用する場合は特に、金属とレモンの酸が化学反応して苦味が出やすく、作っている途中で更に加工が剥がれ異物混入のもとになる場合もあります。
《煮詰め終わりを確認する方法》
皮と実に水を加えて煮詰める際、煮詰め終わりを勘や見た目で判断しても良いのですが、より性格に計りたい場合は、デジタル秤を使っています。
皮と実の重さの3分の1の重さまで煮詰めたい場合、まず皮と実の重さを量り、その3分の1の重さを計算し、そこに鍋の重さを足した数値を覚えておきます。
例)皮+実=240g であれば、 水を加えたあと、80gになるまで煮詰めたい。
80g+鍋の重さ=鍋の重さが500gとすると、煮詰め終わりは580g
あとは煮詰めながら、たまに鍋ごと秤に乗せ、その550gになるまで煮詰めて行くのです。
大量に作る場合や重い鍋ではできない方法ですが、私も使用している2kgまで計れるデジタル秤があればレモンやスイートスプリングなど数個分程度をジャムにする場合には役立ちます。
何度も作るうちに見た目で判断できるようにはなりますが、“どろっとした状態”など言葉ではなく本当にこれくらいのとろみでよいのかなどがわからない時、初めて作る際にはまず重さを量ることで状態を見極めることができます。
《期限・保存》
煮沸した瓶に入れて、冷蔵保存 1ヶ月。
砂糖の量が多いほどに長期保存可。
雑菌繁殖を防ぐため、口をつけたスプーンなどは絶対に使わないこと。
長期保存したい場合は砂糖の量をもとのレモンの重さの50%以上使用し、ジャムが熱いうちに煮沸消毒した瓶の縁まで詰め、脱気と殺菌をして未開封で半年~1年程度長期保存可。
ふたを開封したら早めに食べ切ること。
長期保存は完全に密閉できていることが条件でもあるので、やはり素材に合わせて風味をいかした甘さで作り、できるだけ早めに食べ切るのがおすすめ。
《私が作るマーマレードについて》
●ジャムが固まるにはペクチンの働きが必要で、どの柑橘で作るにもわたや薄皮に種も一緒に煮てペクチンを抽出するものが多く、私も柚子マーマレードを作る際にはそうしています。
ただスイートスプリングは種も少ないので、私は皮に含まれるペクチンと、熱を加えた砂糖が固まる性質を生かして固めています。
●他のフルーツではややとろみがつくまで煮ますが、マーマレードはさらさらの状態でも、他のフルーツジャムよりもジャムの部分がゼリー状にかたくなりがちです。
ここでは砂糖を加えてからは溶けるまで火を入れるくらいでほとんど煮ず、私の思う理想のとろみに仕上げています。
●個数で表記されていたり、煮詰める時間を目安としたレシピでは、使う柑橘の大きさが違っても砂糖や水の分量が同じだったり、個数が違う場合は同じ煮詰め時間では毎回違った仕上がりになってしまいます。
なので私のマーマレードは、もとの個体の重さではなく皮や実の重さに合わせて分量を計算できるように、また個数が違っても毎回同じ状態で仕上げることができる方法で作っています。