重たい荷物 | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

夕方のスーパーは午前中に捌けなかった生鮮食品に値引きのシールが貼られていく。

肉売り場ではお昼に買いたかった豚肉や鶏肉が割引で並んでいた。
「来て良かったよ。ゆいは、鶏のレバーって食べれる?」
「うん。食べれるよ」
「じゃ~買ってみるか。安くなってるし」

要るものをカゴに入れると、魚売り場へ。

「さんま、ちょっと高いね。でも旬だし」
「小百合?今日は詰め放題は?」
「今日はやらない。フランクフルトだったから。ご飯のおかずにならない物はやらないの」
「そうなんだ」
「ゆい、やりたかった?」
「ううん。やりがいが無さそうだからいいや」

「後は、牛乳とパンと卵かぁ。ラップも無いから買わないと。ネギもいるし」

「あっ、卵1パック60円、お一人様2パックまで。4パック買えるね」
「安いね」
「うん。こんな金額滅多にないんだ」
「ラッキーだったね!」

「もういい?小百合、プリン忘れてるよ」
「一番の買い物を忘れた」

小百合がカゴを覗いて思い出す。
「ゆい?カレールーがないよ」
「そうだった。プリンのこと言えない」

「ねぇ?小百合、ちょっと味変えてみる?いつものメーカーと値段同じだし」
「じゃ~今回だけね。ホントはいつものが良いんだけど。冒険ね」

レジを済ますとゆいはリュックに牛乳と肉類を入れると、残りをエコバックに入れた。
「はい、終わり。帰るよ」
「ゆい、持つよ」
「重いからいいよ」
「でも~」

ゆいは歩きながら
「小百合、『重いから持って!』って言っていいんだよ。私は言って欲しいんだけど」
小百合は申し訳なさそうにゆいの腕を掴んだ。

家に帰り、テーブルにバックを置くと、ゆいの手が真っ赤だった。
「ほら、ゆい、重かったんじゃん」
小百合は『痛かったでしょ?』と、ゆいの手をさすった。
「大丈夫。小百合には重たい物持たせたくないから」

こう言う時、決まってゆいは真顔になる。
ちょっとした優しい言葉をサラッと言うゆいが小百合は大好きだった。
「ありがと❤」

「さてと、では、作りましょうか」
「うん。私、買ってきた肉とか片づけるよ」

小百合は買ってきた肉をパックから出して1つずつラップで包んでいた。
圭吾の店から持ってきた新聞紙でニンジンと大根を包み野菜室に、さんまもラップで包むと冷凍庫へ。全て冷蔵庫に入れると、隙間がないくらいに。

「入ったね。これで安心。来週はあまり買わなくていいかも」

満足そうに冷蔵庫を閉めると、外に干してあった洗濯物を取り込む。
「小百合~ごめん。忘れてた」
「ううん。外は雨が降りそうだよ」
「やっぱり台風かな?」
「かもね。やだなぁ。台風」

ゆいも窓を開けて空を見上げる。
「風が出てきたね。これは来るね。小百合~そんな顔しないで。眉間にシワが」
「はぁ~」
「大丈夫。心配しないで、今年も私がいるから」
「うん」
「カレー、もうすぐ出来るからね」

「小百合~、ご飯好きなだけ付けて」
「は~い」

「いただきまぁ~す」
「どう?替えてみたけど」
「美味しいよ!でもいつもの味の方が好き」
「そっか~。じゃ~次回からはいつものルー使うね」
「うん♪」

それでも、美味しそうに食べる小百合を見て
「小百合、もうすっかり良くなったみたいだね」
「うん!もうすっかり治ったよ。」
「夏休みに入って生活のリズムが変わったし。薬は常備しておかないとね」

「ゆい、おかわりしてもいい?」
「うん。いいよ」

「ねぇ?雨降ってきたよね?なんか聞こえない?」
「あ~ホントだ。小百合、台風には敏感だね。はい、どうぞ」
「ありがと❤問題は今日の夜中なんだよね。大雨なんでしょ?」

「天気予報ではそう言ってたけど。あっ!もしかして、お風呂怖いの?」
「全然!別に怖くなんかないよ」
「そう。じゃ、今日も私先に入るね」
「え~そんなぁ~」
「怖くないって言ったじゃん」
「・・・怖いです」
「仕方がないな~一緒に入ってあげよう❤」

ゆいは、浴槽にお湯を張った。

「ごちそうさまでした!あ~お腹いっぱい。いつもカレー食べた後は苦しい~」
「明日もあるんだから、たくさん食べなくても」
「だって、ゆいのカレーだよ。やっぱり食べちゃうでしょ?」
「嬉しいこと言ってくれるね。お腹いっぱいなら、プリンは入らないね?」
「あ~~~!食べたいけど、今は無理」

ゆいが洗い物をしてる間、小百合はテレビをつけてニュースを見る。
「あ~やっぱり、上陸するみたい」
ゆいは洗い物の手を止めて一緒にテレビを見た。
「ホントだ!これは夜中うるさくなるなぁ。小百合の声で」
「イヤイヤ、声じゃなくて、雨風でしょ?」
「そうかなぁ?去年も一昨年もうるさかったのは誰でしょうか?」
「・・・私です」

「正解!後で雨戸閉めておかないと」