SHINYA的☆09S/Sメンズコレクション速報☆その7 | メンズファッション大革命


「変化とか進歩とかいうものは、デリケートな緩やかな線で

進んでいくものなのです。急速に進めればガタンと落ちたりもする。

それはお互いに自分達の繊細な気持ちを傷つけないように

優しい気持ちで気長にやっていくしかないんです。
遅いようですが、その気長が一番の早道なんです。」

-オノ・ヨーコ"ただの私(あたし)"より


ノースリーブカットソー、リストバンド:ナイキ
ショートパンツ:ミリタリー
レギンス:アメリカンアパレル
キャップ:古着
ゴーグル:キャットストリートで拾った
バングル:むげん堂
ハイソックス:サンタモニカ
ブーツ:ディオールオム



ディオールオム 「07A/Wコンバットブーツ」

さて、いよいよ通常のメゾン単位での
コレクション分析は今回で最後となります。

分かりやすいのであえて言う必要もないかな、
と思っていた今回の…というより、
ここ数年のコレクションを通して成長しつつあり、
今回は特にそれが顕著だった、というような
大きなトピックスがありまして。

でもちゃんと言葉にして表現することはやはり
大切なので書いておきますが、それは…
「メンズファッションがどんどんお洒落になってきている」
ということです。

「は?」と…「そんなんわざわざ言うことかい!」と…。

まぁ普通はそう感じると思うので補足しておきますと、
洋服のシルエットやコーディネートのバリエーションなどなど、
技術的な側面(ハード)であらゆる選択肢が豊富に
なってきているという裏付けはもちろんあるのですが、
その大元の大前提として、それらを求める、あるいは
それらを受け止めることのできる、
女性的な柔軟で臨機応変な感性(ソフト)が、
確実に男性の中で芽を開かせつつある、ということですね。

その流れは今後、黄河のようにゆるやかで大きな
カーブを描きながら、着実にその河口に向かって広く、
どっしりと大きな力を携えていくものだと直感しています。

が、いくらで言葉で説き伏せるよりも、
まずは論より証拠。

では波乱に次ぐ怒涛のコレクション速報最終回、
しばしの間、ご一緒願いたいと思います。


COMME DES GARCONS(コムデギャルソン)


このファーストルックに対する、正直な第一印象は…
「やられた!!!」(笑)


とにもかくにも、男性の下半身を優雅なプリーツを
携えてたゆたう、スカートの大輪が咲き乱れています。

以前からこのブログをご覧になっていただいている
方はすでにご承知かと存じますが、僕自身は
男性のスカート着用を熱烈に支持し、また実践する人間です。

(たとえば、コレ とかコレ 。)

だからこのコレクションは素晴らしい!!
…などと単純なものではなく、まぁ当然やるよね、
というか、さすがだよね、というか…(笑)

ハイヒールと同時期から考えていたことで、
サリーの次にはやろうと思っていたのですが…
違う手を考えるいいきっかけになりました(笑)

まぁ僕のことはどうでもいいので
ひとまず置いておいたとして、そのラインが
描き出すシルエットと、それが男性に与える躍動感は
やはり「素晴らしい!」の一言に尽きます。



スカートではありませんが、ショート丈のボトムを
ロング丈のトップスで隠すようなフェミニンなレイヤードは、
今期のラフ・シモンズ や以前のトム・ブラウンでも
見られた、新鮮かつ高度なテクニック。

ナンバーナイン でも特に多用されていた過剰なまでの
レイヤードの提案ですが、このルックでは
モデルの雰囲気も相まって、洋服を重ねることによる、
微妙な幼児的なニュアンスが、着る男性の
「少年性(無邪気な、やんちゃな、生意気な、というような)」
を、それを見る者のまぶたに浮かび上がらせ、
浮き彫りにします。


で、なによりも秀逸な点は、このスカートを穿いた
男性たちの姿が、結果的にちっともフェミニンなものに
なっていない
、という点に集約されます。

あくまでもそこにいるのは、(恐らく性癖的にもストレートな)
男性たちの姿なのです。

男性が、普通にスカートを履く、もしくはハイヒールを履く…
という選択肢与え、それに対して個々人が
どういった反応をするのか?

「うわっ、キモっ…ありえへんわ…」なのか、
「え、なんだかよく分かんないけど、
ちょっと穿いてみたいかも…」なのか、
「キターーーーーーーー!!!!!!!」なのか…

どう受け取るかはその人次第ですが、
それを考え、決断することによって、その人の内面を
形作る精神が、そのスカートやハイヒールによって
与えられるシルエットの変化と同じように形を変え、
「自分」という存在の輪郭をよりくっきりと
浮かび上がらせること…が、大事なのではないでしょうか。


インドのガウチョ(極端に幅広で、ほとんどスカートのように
見えるパンツ)のようなシルエット。

フェミニンなアイテムが、逆にその人物の男性的な
部分を際立たせている点にお気付きでしょうか?

寿司のワサビやガリが、影ながらその主役を
引き立てるがごとくの健気さで…(笑)

もし、使い古されて腐臭を放つ「男らしさ」というような
言葉にとって代わるような概念が姿を現すとしたら、
そのときの男性のフォルム(外見)は、きっと
こんな姿形をしているんじゃないか?

そんなことを思わせるような、まさにこのコレクション速報の
テーマ「そこに希望はあるのか!?」に相応しい、
現代の空気感を象徴し、なおかつその先の発展を
暗に示すような、可能性に満ちたコレクションでした。


DIOR HOMME(ディオール・オム)



東洋人モデルの登場は、どう冷静に考えてみたところで、
やはり率直な心情として嬉しいものである(笑)

日本人の可能性も…?


とにもかくにも、クリス・バン・アッシュによる
二回目のランウェイショーは発表された。

前回、前々回に渡って、クリス流のエレガントな男性像を
確固たるものにした新生ディオールオムだが、
今回は一転、肩の力がふっと抜けたような軽やかな
雰囲気を感じるコレクションを披露。

(なんだかファッションニュースのコメント欄みたいで、
我ながら面白みのカケラもない表現だな…。)

モノトーンをキャンバスに、ビビッドカラーのキッチュな
小物やメタリックなレザーやケミカルな素材感で、
徹底的に若さを打ち出した。

(ますます面白みに欠ける…)

アイテムとしては、やはりこのカラフルで大ぶりな
サングラス(ゴーグル?)に目がいった。

ロボコップやサイボーグを連想させるそれらは、
この擬似的なマッチョ感を与えるトップスと相まって、
現代の若者の「感情を排したロボットになりたい…」
という隠れた欲求を、その服と身体の間に孕ませている。

(彼らにとってのヒーローであるダフト・パンクの
ロボットスーツや、カニエ・ウェストの
シャッターサングラスなどを連想してもらえば、
彼らの時代に対する洞察力がいかに素早く、
また的確なものであったかを理解していただけるだろう。)


と、いうことでこのパンツはC-3POパンツと命名(笑)

腰履きし、裾をたるませたそのシルエットは、
まごうことなきエディ・スリマンがメンズファッションに
遺した偉大な足跡を、そのまま再現したものだ。

このシルエットは、ある意味でいまだに、
またおそらく今後もしばらくの期間にわたって支持され、
「定番」となりうる可能性を秘めている。

今回のコレクションでは、あまりにピンクが頻出するもので、
その理由をずっと考えていたのだが…

僕が考える今の時代における、男性のフューシャピンクが
示している深層心理とは…

「過剰な自己愛と、それによる自己顕示欲」

を、男性が持ち始めた…ということに
他ならないだろうと思う。


ただノースリーブにするのではなく、
ベストのように腕周りを大きくえぐることによって、
盲点を突いたような新鮮なアイテムになっている点が秀逸。

この全体的な角ばったシルエットからも、
どこかロボット的なニュアンスを
醸し出しているように感じる。

コレクション全体のバランスは非常に良く、
また個々のアイテムのクオリティは最高レベルに
高いものであることが、画像からも十分に伝わってくる。

しかしながら(前任者と比べるのもお門違いかもしれないが)、
やはり「ディオールオム」というイメージが持つ、
時代を「ズバッッッ!!」と切り裂くようなドスの鋭さを
つい期待してしまうが、それが感じられるとはいえない。

これは恐らく、つくる人物のキャラクターにも
大きく拠るところなのだろう。

僕が思うに、クリス・バン・アッシュはかなり気長で、
長い視点であらゆる物事を捉えているような人物だ(笑)

いささかの消化不良感が否めないとは言え、
「とりあえず、あのサングラスはいっとく(買っとく)かな…」
というような人は、案外多いのではないだろうか?

僕もだ(笑)


ANN DEMEULEMEESTER(アン・ドゥムルメステール)



ここからは、軽いタッチの箇条書きで…
(だから、決して「時間がないんだろ?」と勘繰ってはならない笑)

・いいねっ!ハット最高!!

・やっぱヌーディが気分だよね!「ゆるさ」の中に
凛として強く「身体」を感じさせるなんてステキ!!


・若かりし日のパティ・スミスですか?(笑)
中性的な雰囲気がもう辛抱たまらん。

・性差の決定的な象徴である「男根」をひた隠しにするような
レイヤードも、今の時代性に合っていると思います。


・あまりに似合っていて、カッコよすぎです。

・「こんなカッコイイじいちゃんになれよ!」という、
アンからの若人に対するメッセージでしょうか…?

(ちなみにおじいちゃんモデル他にも多数。)


YOHJI YAMAMOTO(ヨウジヤマモト)



・ビッグシルエット回帰ということで、本家ともいえる
ヨウジさんのテーラードが改めて気になる。

・ヨウジさんのビッグシルエットは「体型をひた隠し、抽象化する」
という日本人的な観点から出発しているのに対して、
例えばヴィクター&ロルフ に見られるような極端な
バランスの変化は、むしろそのことによって逆に身体性を
獲得しようとしているのではないか…と思うのは、
果たして僕だけだろうか?

・イアン・ブラウン(ストーン・ローゼス)ですか…?

・ヨウジさんの手にかかれば、レオンの言うところの
「ちょい枯れ」どころの騒ぎではありません。
「朽ち果てる一歩手前(失礼)」こそが、最もセクシーで
あるという境地です。その分、洋服をまとったときの
迫力は凄まじい…。


・「モデル」の概念が崩れていること、先達はとっくに
ご承知のようです。お見それしました。

・それを受け取る人が「感情移入できるか否か」こそが
すべてである…ということを、改めて考えさせられました。


LANVIN(ランバン)


・「メンズファッションも、ようやくここまできたか」
ということを痛感させられたルック。
この中には男性と女性、そして少年と少女が入り乱れ、
その混沌がゆえに一つの形を成している。

・こういったクリエーションの文脈を理解できる人は、
まだまだ少ないことは当然だし、いたし方ないが、
それでもこうしたクリエーションを続けてほしいし、
また毎シーズン、安定してその期待に応えると同時に、
徐々にその全貌を現さんとしているように感じられる。


・さすがにいま最も注目を集めているメゾンの一つと
言わざるを得ない。その瞳の透明感、見つめる先の
濁りのなさは、確実にファッションの次の世代を向いている。

・かかとを覆うような繊細な素材のレギンスは、
女性が履いているのを見て、個人的にも注目していたアイテム。

・「具体的な言葉やイメージになっていないものに、
しっかりとした輪郭を与えてあげる」という、
もの作りやクリエーションの原点となる仕事を、
確実に、丁寧にこなしている。
あらゆるクリエーションをこなす人間にとって、
刺激となるコレクションだ。


さて、全7回にわたるコレクション速報にお付き合いいただき、
まことにありがとうございました。

次回からは総集編、及び番外編という形で、
コレクションを通じて次世代のメンズファッション
引き続き探ってまいりたいと思います☆

いやーそれにしても…

「ファッションって、ほんっ…とに、いいもんですね!」

この記事をご覧になっていただいたあなたが、
同じように、そんなふうに思ってくれたとしたら…
こんなに光栄なことはございません。

速報全体を通しての感想でも結構ですので、
もしよろしければ、なにかしらご意見をお寄せ
いただければ幸いです。

ではまた、次回をお楽しみに―。


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