トム・ブラウンと言えば、ブルックス・ブラザーズ。と言えば、トラッド、アイビー、プレッピー。
ジャケット:Shinya Yamaguchi
チルデンベスト:古着(ブラックスミス)
シャツ:古着(マリアズクローゼット
)
パンツ:April77
タートルネックカットソー:ユニクロ
ニットキャップ:ディオールオム
スニーカー:ナイキ
ナイキ 「レザー コルテッツ」
「大革命」ではじめてクツがカブった
…。
まぁそれはさて置き、トム・ブラウン(THOM BROWNE)です。
今回はニューヨークコレクションを中心に「コレクション速報
その6」
をやろうと思いましたが、あまりにもトム・ブラウンのコレクションだけ
明らかに異彩を放っていたので、「もうコレだけでいいか」という運びになりました。
変だ、なにか変だ…とは思ってましたが、この人は変態です。間違いなく。
それはいいとか悪いとかそういった次元の話ではなく、
ファッションの流れとは別の場所に「点」として存在するような印象です。
トム・フォードやカール・ラガーフェルド、マーク・ジェイコブスなどが
時代に寄り添うカタチでのクリエーションをする人たちだとして、
それに対しトム・ブラウンは、グレやココ・シャネルなどと同じように、
時代のある一点に直立しているように思います。
う~んちょっと難しいかな?
とにかくそれくらい強い個性を、ドスのように鋭く時代に突きつけてくる人です。
僕流の方程式、
「わけわかんないけど、とにかくスゴそうなもの=ファッション」
に当てはめるとすれば、このトム・ブラウンは間違いなくモードを体現している、
数少ないブランドの一つということができるでしょう。
ファーストルックはスワローテール(燕尾)のタキシードにヒザ上丈のスラックス、
白いハイソックスになぜかゴス風のアイメイクと不気味なカラーコンタクト(以降すべてのモデル)。
続くルックはもはやファンタジーの世界。
トンガリ頭のニット帽に、ジャケットの上から羽織ったポンチョと
ワンピースのようなシャツが描く不思議なシルエットは、
見る者を現実から幻想の世界へと誘う(このシルエットも度々登場)。
トム・ブラウンのもはやアイコンと言えるクロップド丈のパンツからは、
アーガイル柄のソックスが顔を覗かせる。
革靴のストラップやグローブの手首周りなどに、赤・白・青のトリコロールカラーのリボンを添えて、
グレーを基調にした無彩色のコーディネートを、さらに引き立てる。
中盤では、まるで映画「Brothers Of The Head(ブラザーズオブザヘッド)」に登場する
結合双生児を思わせるような、パンツの生地がつながった二人組みが登場。
この辺になると観客は「次は一体なにが出てくるんだ!?」という期待感の方が増して、
みんなニヤつき気味に。
(某超有名雑誌の女性編集長は、複雑そうな表情の歪みが口元に。)
これを過ぎてからは、全身が鳥の羽で覆われた(羽でできたスーツだと思われる)
鳥人間や、三つ編みをふたつにお下げにした男(ちびまるこちゃんの「たまちゃん」
に似ている)、スーツをスーツカバーのまま着てしまった慌て者(言語による説明は不可能!)
などなど…
フィナーレ前には竹馬に乗った足長お兄さんも登場して(ちゃんとそれ用にスーツも仕立てられている)、
羽をまとったメイド・メン(メイドのような男子)でおしまい。
おっと、デザイナー本人の登場も忘れずに。
この、実に質実剛健そうな顔からはまったく想像しがたいぶっ飛んだクリエーションは、
いったいどんな過程を経て作られているのか?
ブルックスブラザーズの「ブラックフリース」を手掛けることになったことで、
自身のラインはさらにクリエーションや遊びを入れることが可能になり、
またそうしてバランスを取るようにしているのかもしれない。
コレクションの画像はコチラ
から☆
とにかくこのトム・ブラウンと、個人的にはレディースのガレス・ピュー
の二人は、
これから目を離すことができない。
ファッションは、いつだっておもしろい。
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