なんてこったい!こいつは悪くねぇ。『パシフィック・リム』 | 日記じゃないのよブログは…(´・ε・`)

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僕個人的には、昨今の、アニメが代表するような、日本固有のサブカル文化には余り興味が無いんですね。
例えばアニメで言えば、あれを好む資質というのは、あの、絵とも記号ともつき難い独特のビジュアル形式や、概して、余りに形骸化された人物描写などに疑問を感じず、感情移入できなければなりません。ところが悲しいかな、ひとたび、人間はこんな時こんな行動はしない!こんな身振りはしない!こんな言い方はしない!人間とは本来、そんなものではない!などと、現実や自分自身の真実に照らして考え始めると、もはや、生なかな〝絵で描かれた物語″には入り込めなくなり、むしろ楽しさより虚しさの方を強く感じるようになると思うんです(少なくとも僕の場合はそうでした)。
まあ、その意味では、「実写」であるところのハリウッド製スペクタクル映画だって本質的には遠からず、とも言えますが、しかし僕はどちらかというと、今の日本人が変にアニメを好む心理というのは、歌舞伎や紋切型の時代劇、つまり、僕らの親たちがかつて「水戸黄門」や「忠臣蔵」なんかを飽きもせず観ていたあの心理とそっくり通底するものを感じます。大体、アニメというのは声優が極端な声音を使い、また、実写と違ってコマ数が少なく、いちいち描いてるものだから、やたらと見得を切っているように見える。これって図らずも、歌舞伎そのものですよね。

まあ、とは言えこれは、漫画を読んだりアニメが好きってことが良いとか悪いとかいう問題の話しではないんですがね…。


さてさて、そんなことを思う僕がですね、以前、観逃がして少し気になっていた映画『パシフィック・リム』が先日レンタル開始されたんで、遅ればせながら鑑賞してみたわけです。するとなんと!これはまあ、ホロリとさせられました。というのは、なんだかんだ言っても、かつてガキの頃、スーパー・ロボットアニメや特撮怪獣ものに夢中だったあの頃の気分が、図らずも鮮やかに蘇ってきたからでした。この作品は『トランスフォーマー』などとは全く違う、かつての日本製アニメ・特撮物のスピリットをよっぽど理解していなければ決して作れない、心憎いばかりのオマージュ作だったのです。

この作品は端々に、強烈に、日本製サブカル物のエッセンスがフラッシュ・バックするように出来ていて感心したけれど(怪獣のデザインは『ガメラ』や『帰ってきたウルトラマン』とか思い出したなー)、何と言っても、わかってるな!と感じたのは、ハリウッド映画なのに、脚本うんぬんよりまず、カッコいいアングル、決めの画ありきで発想されているように見えたこと!ようするに、この作品では、アメリカ映画にありがちな理屈っぽい脈略なんかぶっとばして、殆どロボットを操縦し、闘うシーンのグルーブ感にのみ重点を置いているわけで、その、全編通して、侠気(おとこぎ)に次ぐ侠気だけで押し切るあの、リリカルなカタルシスの世界は、それ自体、その破綻の仕方まで、見事に〝日本製″を思わせるのでした(グレート・マジンガーが初登場する、マジンガーZの最終回みたい!)。グッジョブ!

また、設定で言うと、戦闘場面の殆どが海で展開される、というのも〝怪獣映画″の王道らしく、大正解でした。
さらに細かい部分なら、例えば類型作の場合、単に重厚な爆音を使うべき部分の音響を、敢えて抑えてBGMの方を立たせているようなところとか、まあ、幾重にも細部にわたって、オタクならではのこだわりが炸裂している様子!イッツ・グレイト!

ただ、欲を言えば、僕だったら「イェーガー」の設定として、機体自体にもある程度の人工知能が搭載されていて、二人の操縦士の意識の受け皿となり、三つのラインが接続された時、始めて、ジャキーンみたいな、鉄人28号のような凄まじい咆哮をあげて起動する、みたいなくらいマシン自体の存在感を立たせてくれてたら、より、サブカル的に過剰なカタルシスが演出できて良かったかな…。マシンの咆哮は欲しかったな、マシンの咆哮は…(続編があったら頼む!)

それにしても今作の監督ギレルモ・デル・トロではないが、何と言っても、本当に好きな人間が好きなものを作ってハマったケースというのはいいもんですね!何かとても清々しく、やがて想いが極まって、ホロリとさせられた…。
そういえば、怪獣ものといえば、リアルな方では僕は『クローバー・フィールド』が大好きなんだけど、あれとはちょうど真逆の意味で、この『パシフィック・リム』というのは極北の作品だと思いましたよ。つまり〝クール″と〝ホット″という意味でね!

まあ、ただ一つ、気に掛かることと言えば、こんなのを子供に観せたら、それこそ本家、円谷のものを観れなくなるんじゃないか?ってことです。「あんなのはホントのかいじゅーじゃないよ!」とか言い出したりして…。
まあいいや。それはそれとして、サンキュー!デル・トロ!!