【マスコミ提言型ブログ2012/7.5】 エクセルギー技術開発研究所(NPO準備)星野 衛

オスプレイの事故発生率を検証する

事実・実体がどうなのかを出発根拠とすべき

     

拙【ブログ】に述べたオスプレイグの事故発生率について,反論のコメントを頂いた.ブログ開示から余り月日が経ってない〈新聞論文調のまじめ記事〉のためか,ここまでコメントを寄せて頂いた数は少なかった.その点で先ずはこの【ブログ:チャス】さんには,お礼を申し上げたい.随分と調べて,勉強されている,特に軍事技術には詳しい方のようある.同ブログ掲載記事『比較?検証?真実を問う』内容が大事であるので,該当箇所全文を掲載する..評価に関わる大事な点は★印を文中に付けた.また,論述結論部分は文字色換えをした.※印:引用者誤字訂正 

「  報道で危険などと叩かれているオスプレイについて本当に危険なのか?メディアに対して物申します.

まずオスプレイの事故は現在に至るまで8, その内の4回は試験飛行での事故です. オスプレイは2005年から配備され現在は世界中で200機以上が稼動しています.この事実を知っておられる方は少ないでしょう. さらにオスプレイの事故率は★他の航空機にくらべ特筆するほど高いわけではなく標準並みです. オスプレイの事故率は10万飛行時間あたり1.92となっています. これが高いか低いか他の航空機と比較し検証してみましょう. まず同じ短距離離陸垂直着陸機であるハリアー. ハリアーの配備当初の事故率は10万飛行時間あたりなんと10.47. 最高で15.88を記録したこともありました. 現在でも6.76です. ★続けて民間機の象徴であるセスナ. セスナの10万時間当たり事故率は1.78. そしてヘリコプターのCH-53D4.51CH-53E2.35CH-461.11. 民間機では8.09を記録しております. オスプレイはメディアがこれほどまでに書き立てるほど危険ではない事がわかります. ★また海兵隊内では事故率の高さランキングで5機種中4位とあまり高くありません. つまりオスプレイは危険ではありません. ★またオスプレイはオートローテーション機能がないから危険と言われておりますがこれも間違いです. そもそもオートローテーション機能は非常事態時に緊急対策として使用するものであるから安心というわけではありません. オートローテーション機能を使用し着陸する事を軟着陸といいます. 軟着陸はあくまでも人間が振動に耐えられる程度のものであり住宅地に落ちればオートローテーション機能があっても天上(※天井)には穴が開くでしょう. そこから発火し爆発というのも考えられるわけです. メディアが必至(※必死)になりオートローテーション機能がないと騒いでおりますが実際はこのようなものなのです. つまりメディアは過剰批判をしているわけです. オスプレイは特筆するほど危険ではありません. 狭い日本では災害時など非常に役立つ機体です. 私個人の意見ではオスプレイを日本も導入した方がよいと考えています.          

事故発生率の確率計算の食い違いはどこで

今回の私のブログ記事の〈オスプレイの事故発生率〉は,朝日新聞7.3付社説記事に基づいて計算したものである. 朝日新聞も,【ブログ:チャス】さんも,ソースは,おそらく米軍発表が第1次資料なのであろう. 私の使用は,2次資料となっていることでは,確証性が薄くなるが充分に加工条件を読み取って使うことにする.数値の確率計算の違いは次の通りと思われる.

 ★朝日新聞の数値は,

海兵隊用のオスプレイの飛行時間10万時間あたりの事故率は1.93で

 ※数値からみて,このくだりは【チャス】さんと同じである.

飛行時間が2万時間しかない空軍用にいたっては13.47だ.

※これは,朝日新聞が,第1次資料を加工して,空軍用に限定して事故発生率を求めたものであろう.

  ★【チャス】さんは,事故発生を「○万時間当たり△」としているが,これは,発生事故の回数(件数)ではなく,発生頻度(確率)なのである.その定義は多分に次の通りであろう.

  全ての機体の総飛行時間T ,そこで,発生した事故件数A として,基準飛行時間S(例えば10万時間とか,2万時間など)のときに,事故発生頻度は次の通りである.

   事故発生頻度P = A×(S/T)

 ※頻度数値の蓋然性(当たるかどうかの信頼性)は,総時間Tが多いほど高くなる.軍事用の飛行体の評価の場合は,総時間数が限られよう.また事故原因解析・評価では,戦闘による被害発生率との比較で,軽んじられる傾向がある.況や,市民生活感覚とは異なる評価基準となる.

※この〈時間当たりの発生頻度〉は,地震の発生頻度でも同じである.多くは,この頻度と発生確率,あるいは発生件数と混同したりして議論・政策検討をしているのを見かける.なお,地震の場合は,100年・1000年の2ツが基準単位時間として適当であろう. 日本の場合,震源として:プレートの境界・活断層・活火山が,各地点・線・面で計算される必要がある.

今回の私のブログで行った確率の計算:この算出で使った数値は,上記朝日新聞の〈空軍用・2万時間〉に限定しての数値である.これを用いて:

12機のオスプレイ日本配備で,1年間,飛行をして, どれだけの事故発生が起こるのか

の目安を見通したものである.

空軍の2万時間当たりにして,事故頻度13.47は, 事故件数では 「飛行時間が2万時間しかない」という条件ならば A=13.47×/2で,頻度13.47はそのまま,発生件数となる.

★昨日7月4日【TV朝日報道ステーション】は,オスプレイの〈オートローテーション機能〉の搭載問題だけで,前宣伝で期待していた「機体構造上の欠陥」の指摘は,空振りであった.今後は,さらに,掘り下げた技術本体の核心を抉るような軍事技術者の専門的な検証・探究を求めたい.

  自国の防衛は,自力が先ずなければ果たせない.今回のオスプレイ問題を取り組んで,この飛行体に対して,技術的な解析とそれに基づく,国際政治における対米ネゴティエーション能:主張し交渉する能力を高めることを期待したい.そのためには,自分らが自ら高い技術解析能力でもって,相手にその技術問題の本質:技術実態の核心を示せるかである.

★米軍の発表は,軍事政治的に判断して発表しているものなので,資料としては使えない.出来たらば,米国議会の公聴的な資料に基づいて事故原因を分析してみたい.①単なる操縦ミスもあろうが,②それを支援する機体操縦上の設計がされているのか.③そもそも,その機体の遭遇した事態に操縦対応できない機体制御の設計上の問題なのか.④さらには,垂直水平転換型ヘリの原理技術的問題に関わらないのか.⑤実用とは,過酷な事態となるということの予想で対応するが,そのときの対応能は機体設計ではどうなのか.それらは,実戦で緊急非常事態での防御機構は,操縦性能・機体構造上もあるのかどうか. 〈オートローテーション機能〉もその一つに過ぎない.

★【チャス】さんも含めて,どうも「軍事評論家」は,時とすると市民感覚とのズレがあって頂けない.今回のオスププレイ問題は.市民の密集住居する市街地の中にある沖縄普天間・山口岩国に配備するというものである.それは,市民の生活と接した状況での軍用機配備・軍事行動〉の問題である.この立場をお忘れなく,批評に当たっては求めたい.

   政治的見解・政策の確立・発信に当たり,先ず,その根拠となる事実・実体を把握し,事態の本質をとらえ,正確に見通すこと.