2016718日付のロイター通信によると、

「ソフトバンクグループは18日、英半導体設計ARMホールディングスを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収すると発表した。あらゆるものがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)時代を見据え、同領域に強みを持つ同社を買収することで需要の取り込みを目指す。
日本企業による海外でのM&Aとしては過去最大規模になる」

と報じていました。
 

 

ARM社といえば、半導体の設計会社で、スマートフォンへの半導体供給では、約95%のシェアを持つ大企業である。

孫社長が買収の狙いとして記者会見で述べた

「IoTは人類史上もっとも大きなパラダイムシフトになる」

「IoTの時代の中心の会社はARMだ」

は、まさに将来を見越した経営戦略だと思う。

 

 

この買収で驚くべき事実は、買収までの期間が非常に短期間であったことだ。

各メディアの報道を見ていると、ARM社への正式な買収打診は、イギリスのEU離脱の国民投票結果後だった、という話もある。

孫社長の素早さと買収先のARMの意思決定の早さに驚かされます。

 

 

状況だけで考えれば、ARM社は、ソフトバンクが提示した買収額が、現在の企業価値を上回るもので、「売り時」と見たのかもしれない。

孫社長の今までの企業買収事例を見てもわかるように、買収するときに、買われる側がびっくりするような高額な価格を提示して、一気に交渉をまとめてしまう。

このあたりが、ソフトバンクが世界的な大手企業にも関わらず、「ロマンを期待した夢の投資」を実行して、成長してきた特徴である。

 

 

だから、投資家からすれば、夢のある企業であると同時に、投資先としては、株の乱高下が生じやすい不安定な会社でもある。

今回の買収劇で、子会社のスプリント株が下落したという。

ソフトバンクが、アリババグループやガンホーエンターテイメントなどの株式を売却して調達した資金は、スプリントの経営再建に使われるという期待が高かっただけに、使用用途が、ARMの買収資金だったということで、スプリントの株主は、将来性を悲観して、ウリ注文も相当出たのだろう。

 

 

買収したARM社の特徴は、ファブレス企業であるということだ。

つまり、会社自体は設計機能だけで、製造や販売は、「協力会社と委託契約して管理している」会社だ。

したがって、優秀なエンジニアの確保とエンジニアの雇用環境を高い水準で維持することが、経営資源の投入ポイントとなる。

 

 

孫社長は、エンジニアの雇用を現在の倍にすると発表しているが、EU離脱となると、イギリスの会社であるARM社に優秀な人材が集まるのか、そして、EU内での関税発生もあり、今後の経営に不透明な面もシロウト目には、映る。

孫社長の先見性が成功することに期待したい。

 

 

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