2015年5月23日付の読売新聞によると、
「名古屋大は22日、遺伝子を組み換えたアブラナ科の植物「シロイヌナズナ」が学内で不適切に廃棄されていたと発表した」
事を報じていました。
記事によると、(以下、抜粋)
◇遺伝子組み換え生物は室内で不活性化した後に廃棄しなければならない
◇文部科学省によると、遺伝子組み換え植物の漏出は全国初
◇名古屋大は拡散防止策を講じ、人体や環境への影響はないとしている
◇東山キャンパス内の土置き場で、自生していないシロイヌナズナを教員が発見
◇調査の結果、計5か所(計113平方メートル)から遺伝子組み換えシロイヌナズナが見つかった
◇現場や周辺の土を回収して除草剤を散布した。名古屋大は、「拡散の恐れはない」と評価しており、経過観察や滅菌などは続ける
◇理学研究科と遺伝子実験施設の計8グループが、基礎研究のため遺伝子を組み換えたシロイヌナズナを5か所に廃棄した
◇このうち2グループでは、廃棄前に高温高圧の水蒸気で死滅させる際、装置に不具合があったり、十分に処理できない場合があったりした
◇名古屋大は、理学研究科と遺伝子実験施設の遺伝子組み換え生物実験を停止
◇調査委員会を設け、原因究明や再発防止策の検討を行う
という状況らしい。
遺伝子組み換え植物の漏出事故は、記事にもあるように、全国初だというから、きちんと、原因究明と再発防止を図ってほしい。
わたしが気になったのは、
「そもそも、遺伝子組み換え植物が漏出する可能性の評価や発見した場合の処置手順、漏出した場合の周辺に与える環境影響といったことがリスク評価されてきちんと手順化されているのかな?」
という点である。
今回、名古屋大は「人体や環境への影響はない」と発表しているようであるが、本当にそうなのであろうか?
というのも、上記で疑問を呈したように「人体や環境への影響はない」ということは、このような調査方法であらかじめ想定して、立証しているから大丈夫です!と評価されているのであればいいが、たぶん「明確な根拠が示せない“人体や環境への影響はない”」との発表だろう。
また、遺伝子組み換え植物が漏出したことがわかった時の処置も、「周辺の土の回収と除草剤の散布でOK」という明確な根拠はあるのであろうか?
そして、「廃棄前に高温高圧の水蒸気で死滅させる際、装置に不具合があった場合の遺伝子組み換え植物の不活性化物(死滅し廃棄するもの)の手順と装置以上の際の代替処理手順はあったのだろうか?
今回の問題点の原因究明や再発防止ももちろんすべきであるが、そもそも、
「遺伝子組み換え植物に関するリスクの評価とその対応手順は確立していたのか?」
という点において、なんだかはっきりしないよな、と思う。
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