旧聞に属する話題ですが、2014525日に岩手県滝沢市の岩手県産業文化センターで開催されたAKB48の握手会で、ノコギリを振り回した男にスタッフとAKB48のメンバーである川栄李奈さんと入山杏奈さんが襲われけがをした事件がありました。


この事件が発生した時に、最初は、襲われた川栄さんや入山さんを被害者として扱っていましたが、

「会いに行けるアイドルとして握手会を行ってきたAKB48のビジネスモデルに問題があり、起こるべくして起こった事件」

というような「AKBバッシング報道」になっていきました。


個人的には、「事件を発端に真の問題点がすり替わっている」と感じました。

もちろん、AKBが持つ特性はあるにせよ、やはり問題視されるのは、そういった状況を認識したうえでの握手会を運営する側の体制が一番の問題点であり、改善すべき点だと考えます。


なぜなら、今回の事件でノコギリを振り回したU容疑者は、特段、AKBのファンではなく、「人が集まるところで騒ぎを起こしたかった」と供述しているようです。

その点からみても、「AKBが会いに行けるアイドルだから事件が起こった」というのは、論理的に考えて誤りです。


事件当日の警備体制の在り方についての詳細分析は、この場では省略しますが、やはり、この事件から学ぶべきことは「警備体制の妥当性」でしょう。

たとえば、「金属探知機はあったのに、なぜ、握手をしていたテント内にU容疑者を侵入させてしまったのか」といった原因を究明し、警備体制を見直すべきなのです。


ちなみに、土木構造物や建築構造物であれば、物理学的な構造物の強度計算があり、それを満たした構造物であれば「妥当性がある」と評価できます。

しかし、警備体制の妥当性は、経験則に負うところが多いと思います。

つまり「この規模の建物や人が集まるところで、この程度の人員を配置していれば、大丈夫だろう」という経験をもとに、「事故が発生していなければ、警備体制に妥当性はあった」と評価をしがちです。


しかし、本当にそれでいいのでしょうか。

古い話ですが、2001721日に発生した「明石花火大会歩道橋事故」では、警備計画書が、コンサートなどのイベント用に設計された警備計画書が丸写しにされたものだったといわれています。

また、兵庫県警が、暴走族対策を重視し、暴走族対策には292人を配備したにもかかわらず、雑踏警備には36人しか配置していなかったといいます。

おそらく、仮に、事故が発生しなければ「警備体制に妥当性があった」と評価される可能性が高かったわけです。

要は、「警備」の場合、事故など問題が発生しない限り「問題なし」とされる可能性が高いわけです。


明石花火歩道橋事故の場合、事故調査報告書によれば、事故につながる過密状態を生んだ要因として、
1.
歩道橋の幅員6mに対して階段の幅員は3mしかなかった
2.
歩道橋や階段の上で群衆が立ち止まって花火見物を見始めた
3.
階段の下に夜店が並び、群衆が階段から降りるのを妨げた

という3点が指摘されています。

これらを「どこまで想定できたのか」という点はあるにせよ、実際に、雑踏警備に配置された警備員の人数からしても、「想定不足と警備員の配置ミス」は明らかで「警備の妥当性がなかった」ということになります。


話をAKBの握手会での事件に戻しますが、AKB商法の体質が、事件の問題ではなく、「警備体制を設計するうえでのリスク想定が不十分であり、妥当性がなかった」と考えるのが正当な考えであり、マスメディアのバッシングは、ちょっと方向が間違っているといえるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ399号より)


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