有名な話であるので、ご存知の方も多いと思うが、長崎にあるテーマパークのハウステンボスは、1992年の開業以来、18年連続で赤字経営をしていた。
開園当初は物珍しさもあってか、順調に来場者数を伸ばし、5年目の1996年には、ピークの360万人を記録したが、その後は、右肩下がりで来場者数が減り、最近では120万人程度になっていた。
そのハウステンボスの経営に2010年4月からエイチ・アイ・エスが中心となった経営再建がはじまり、エイチ・アイ・エス創業者の澤田秀雄氏が社長に就任して、半年で黒字にしたのだ。
黒字化に成功させたポイントは、
◇リピート客を増やす集客戦略
◇徹底したムダなコストの削減
◇社員の一体感とモチベーションを盛り上げる
だろう。
『集客戦略』に関しては、澤田氏の考え方は、「入園料はタダでもいいから、とにかく何度でも来場してもらって、お土産や飲食代で稼ぐ」という方法だ。
具体的には、「次々とイベントを開催する」といった方法で、
◇フジテレビとタイアップし、人気アニメの「ワンピース」の体験型イベントを開催
◇AKB48の握手会を開催
◇無料入場ゾーンを設置する
などを実施したのだ。
特に上手いのが、フジテレビとのタイアップだ。
通常、集客するためには、広告宣伝費といった外部に支払うコストが生じる。
しかし、テレビ局とのタイアップにより、番組内で何気なく取り扱ってもらえる。
また、無料入場ゾーンを設けることで、園内に賑わいが出ると、テレビの取材映像を見た人は、「なんだか混雑しているぞ、行ってみよう!」という心理的効果も出すのだ。
次に『ムダなコストの削減』である。
社内的なキャッチフレーズは「コストを2割減らして来場者数を2割増やそう!」だ。
特に「コスト削減」について、一番取り組んだものは「仕入先の見直し」だという。
確かに、18年も営業していれば、仕入先とのしがらみによる「ムダ」が多く潜んでいるだろう。
ハウステンボスに行ったことがある人ならわかるが、園内には、膨大なチューリップをはじめとした草花がある。
この仕入先を見直したことによって、従来より、約1億円のコストが圧縮できたという。
そして、『社員の一体感とモチベーション向上』である。
私も経営コンサルタントとして「コストハーフプロジェクト」と銘打ったプロジェクトを企業からの依頼で何度も携わったことがある。
しかし、この手のプロジェクトを実施しようとすると、まず手をつけやすいのが人件費である。
すると、コスト削減による仕入先を含めた業務委託業者との人間関係、ムダ削減に伴うアルバイト・パート職員と社員との人間関係など、なんだか職場内が殺伐とした雰囲気になるのだ。
また、「どうせ、何をやってもダメだよ」という古参幹部や職員いて、負け犬根性が染みついている。
そこで澤田氏は「知恵を絞って来場者数を増やして、ムダを削減し、利益を出してみんなで分け合おう」と社内に積極的に呼びかけしたというのだ。
目に見えて来場者数が増えれば、スタッフにもやる気が芽生え、社内全体に活気が出る。
つまり、「お客様が何を求めているのか?」「お客様に喜んでいただくためには何をすればよいのか?」という意識で仕事をすることになり、お客様の声や業務改善提案もよく上がるようになったのだろう。
ハウステンボスの事例は、経営トップのやり方次第で、錆ついていた歯車もスムーズに動き出すことができる、という成功例のひとつである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ251号より)
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