2009年6月1日付の読売新聞で、
「タレントの原田伸郎さんが、びわ湖放送のテレビ番組で許可なく猟銃を手に取った」
として、滋賀県警より銃刀法違反容疑でびわ湖放送が捜索され、原田さんも同法違反容疑で事情を聴く方針という報道があった。

報道では(読売新聞より引用)、
・番組は、1月17日に滋賀県余呉町から生放送された「ときめき滋賀’S」
・この番組で、原田さんは地元の猟友会員から猟銃を渡され、手にした
・原田さんは県公安委員会から猟銃所持の許可は受けていなかった
・びわ湖放送の伊藤彰彦・編成部長は「猟銃を手に取っただけで、所持には当たらないと認識している。捜査には協力していきたい」との認識であった
と状況が報じられていた。

あくまでも、報道からの情報とそこからの想像による個人的見解であるが、びわ湖放送の伊藤編成部長の認識と同様で「所持と捉えるのは厳しすぎるのではないか」と思う。
確かに銃刀法では、
「所持の禁止」
⇒法令に基づき職務のため所持する場合などを除き、原則として銃砲・刀剣類の所持は禁じられる
「許可」
⇒銃砲・刀剣類の所持は、厳格な基準を満たした上で、所持しようとする銃砲又は刀剣類ごとに、その所持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない
「雑則」
⇒授受・運搬・携帯の禁止又は制限
というように、許可されたもの以外の所持の禁止、授受・運搬・携帯の禁止がうたわれている。

しかし、おそらく、猟銃を渡された原田氏は、
・猟銃を振り回してもっていない
・銃口を人に向けていない
・所持を許可されたものが傍にいて目を離すことなく管理されている
・銃弾が銃に籠められていない
などの条件下で「一時的に保持」しただけであろう。
また、法律でいう「所持」とは「そのものを自己の支配し得るべき状態に置くこと」であり、上記条件下では「自己の支配し得ない状態」であり実態として「所持」とは言えないだろう。

仮に、上記の条件を満たした上で滋賀県警が「所持」というのであれば、容疑を掛けられ事情聴取を受けるのは、びわ湖放送や原田氏ではなく「銃の所持許可を受けた猟友会会員」であるはずだ。
「法律の条文をそのまま文字通り」解釈すれば、「アウト」なのかもしれないが、法律の目的に従えば、なんだか四角四面な県警の見解だ。
「県警が動かざるを得ないなんらかの力がどこぞから入ったのかな?」と外野の人間は変に勘ぐってしまうが、実際は「視聴者の声」あたりなのだろうか。

話は変わるが、逆に法律の条文を「四角四面」で解釈するならば、このケースはどうだろう。
4月のある日に、読売テレビの「情報ライブミヤネ屋」という番組で、司会の宮根誠司氏が、「マラソン大会での公約未達成」を理由に「公開丸坊主」という番組の企画があった。
その時に、「断髪式」と称して、宮根氏はスタジオでゲストタレントにバリカンで髪の毛を刈られ、その後、理容師にハサミで整髪されている場面があった。

「理容師法第六条の二」では、「理容師は、理容所以外において、その業をしてはならない。但し、政令で定めるところにより、特別の事情がある場合には、理容所以外の場所においてその業を行うことができる」と規定されている。
それによれば、「スタジオは許可を得た理容所」ではない訳で「理容師法違反」ではないだろうか。

今回の「びわ湖放送」の件は、実際のシーンを見ていないのでなんとも言えないが、「テレビメディア」の場合は、不特定大多数の人が視聴している。
つまり、それだけ「いろんな解釈をする人がいて、いろんな声が各所に寄せられる」のだ。
そう考えると、「番組製作上、生じる可能性がある法律上の逸脱リスク」を想定した取材や演出が番組作りには必要である、ということになる。
今の時代は、番組プロデューサーに求められる力量として「関連する法規制要求事項の知識」がバリバリ必要なんだな、と感じた次第である。

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