今日(2009年6月1日)から改正薬事法が施行される。
改正の主なポイントは、
「風邪薬や胃腸薬などの一般用医薬品(大衆薬)販売が新設される「登録販売者」のもとで約9割が販売できる」
ことだ。

つまり、これまで、ドラッグストアや薬局では薬剤師を置く必要があったが、「高卒以上で薬剤師のもとで1年以上の実務経験を積んだ者」が都道府県が実施する所定の試験をパスした「登録販売者」がいれば販売ができるわけだ。
一般的には、薬剤師を雇うための資格手当は10万円/月程度であるが、登録販売者であれば5千円~2万円/月程度になるとみられ、人件費の大幅なコストダウンである。

その結果、「薬の販売」というと、なかば「ドラッグストアや薬局」に独占されていたが、スーパーやコンビニなど異業種が参入して大衆薬を買う機会と場が増えるといえるのだ。

しかし、その一方、「規制強化」となっている部分もある。
それは、今回の改正薬事法が「対面販売」を原則としているからだ。
つまり、誤用による副作用など危険性が少ない大衆薬であっても、通信販売による販売を認めないというのだ。

医薬品には、購入に医師の処方せんが必要な「医療用医薬品」、不要な「一般用医薬品」(大衆薬)、販売規制のない「医薬部外品」の3種類がある。
大手製薬メーカーが扱う大衆薬は一般的にドラッグストアなどに流通されているが、いわゆる「伝統薬」と呼ばれる昔ながらの薬は、零細製薬企業が製造販売しているケースが多く、通信販売が販売方法の大半を占めている企業も多い。
また、伝統薬に限らず、購入する立場でも、「交通弱者の利用者」にとって通信販売で購入することはメリットがある。

しかし、今回の改正薬事法により「薬は対面方式で販売するもの」となってしまった。
その結果、全国に200~300あるといわれる「伝統薬」メーカーのうち宅配に販売を依存していた何割かは数年後には消えゆく(廃業)と言われている。
「伝統薬の誤用により多大な副作用を起こした」という事案がほとんど報告されていないのに、世の中から「昔ながらの薬」が淘汰されていくのはどうなんだろう?と思う。

私は、いまでも緊張したりストレスがたまるとお腹を壊す性分であるが、幼少の頃、長野県の田舎の祖母が送ってくるりんごなどの荷物に交じって「百草丸」という万病の薬(基本的な効用は胃腸薬)があった。
(製造販売:日野製薬株式会社 http://www.hino-seiyaku.com/  )
この薬もこれからは、直接のお取り寄せは基本的にはできなくなる。
おそらく、購入するとなると直販店舗にお伺いするか、薬局を通じたお取り寄せしかないのだろう。
法改正する側にとっては「副作用による事故を防止する」という大義名分はあるのかもしれないが、全国に太古から伝わる秘薬が徐々に淘汰されていく可能性があるのは、なんだか寂しい限りである。

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