苫小牧市にある食肉加工卸会社「ミートホープ」が生産した「牛ミンチ」に豚肉が混入していた問題で、田中稔社長の対応はまずいと思う。
問題が報道された経緯を整理すると、
1)「まだなんだかわからないが申し訳ない」(田中社長)
  「製品に(豚肉が)混入した可能性があり調査している」(ミートホープ幹部)
2)「消費者に不安を与えたことは申し訳ない。(豚肉混入は)意図的なものではない。現場の判断で故意に混入した可能性がある」(田中社長)
3)「牛肉にいいものがなく、何度か豚肉を足したことを(社長自ら)了承した。偽装といわれても仕方がない」(田中社長)
と事態の進展とともにインタビューに対する発言が変わってきている。
「わからない」→「そんなことがあったかもしれない」→「豚肉を混ぜました」だからなんとも不誠実な対応だ。

ミートポークで加工されたミンチ肉は加ト吉の子会社の北海道加ト吉で「コロッケ」に加工され日本生活協同組合連合会が「CO・OP 牛肉コロッケ」として全国販売している。
問題に対して加ト吉の外部対応は早かった。「すべての責任はメーカー(加ト吉)にある」としてすぐに記者会見を開き謝罪した。
この対応で加ト吉に対して消費者が抱く不信感などの影響はかなり軽減されたと思う。

ミートポークの「偽装問題」については元幹部社員による偽装告白が発覚の発端であるが、取材が進むとともに社長が書いたと思われる作業指示書(レシピ)や投入原料日報(記録からはカモ肉の混入もあり)など続々とあらたな事実が出てきている。
農林水産省はJAS法が定める「品質表示義務違反」としてミートホープやメーカー(加ト吉)、販売会社(日生協)に聞き取り調査を始める(立ち入り調査は原因追及が主であると明言)そうであるし、ミートポークから購買していた加ト吉(北海道加ト吉)も再発防止のために問題の真相や原因を調査していくだろう。
すると牛肉以外の肉を混入させた以外に加工牛肉の質もメーカー(北海道加ト吉)と合意している製品仕様と異なったもの(例:質の悪い肉)を混ぜていた事実などもわかってくるだろう。
「何度か(豚肉を)足した」と田中社長は認めだしたが、投入原料日報や食肉の納入記録(食肉購入の経理データ等)をチェックしていけば「何度か」ではなく「恒常的に」という事実が出てくるかもしれない。

報道を見ていて、
a)ミートポーク田中社長の説明が二転三転する不誠実な対応
b)加ト吉が「責任はメーカーにある」とすばやく謝罪
c)農水省が立ち入り調査の目的を販売、メーカー、下請けを含めた問題の原因究明と明言
が印象に残った。
特に農水省が「立ち入り調査の目的をJAS法の違反事実だけでなく消費者に製品が届くまでのプロセスのどこに原因があるか究明する」としているところは驚きに価する。
役所の調査や処置は法規に対する違反事実の認定とそれに対する注意や許可または認定取り消しなどの行政処分が通常で「メーカーや販売を含めた問題の原因究明」をすると表明することはあまり聞いたことがない。
原因究明がないとメディアの報道は、「問題の現象的部分の報道」であり、「問題の原因報道」がされないからコメンテイター等のコメントも感覚的・感情的な論調になる。
どのような背景から問題が発生したのかが究明され、それが報道されることを期待したいと思う。

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