こんにちは。
 きょうは「堅川事件」に関する話題です。

 江東区に堅川河川敷公園という高架下の公園があります。ここでテント生活をしている生活困窮者の方が何人もいらっしゃるのですが、江東区は2012年2月、行政代執行でテントを強制的に撤去するということをやりました。そのやり方が強引で非人道的だとして、支援者らが江東区役所に抗議を行なった結果、そのなかにいた若者・そのりょうた氏が威力業務妨害罪で起訴されるという事件に発展しました。そのりょうた氏は無実を訴え、現在控訴審で公判が続いています。

 これが堅川事件と呼ばれる事件です。

 無実を訴えるその氏の言い分には説得力があるため、筆者は取材を行い、背景事情をたしかめるために江東区に情報公開請求を行ないました。その結果が先日出たのですが、奇妙なことが判明しました。

 威力業務妨害でその氏を告訴しており、いまも事件は継続中だというのに、肝心の抗議活動の経緯を記録した文書が「存在しない」というのです。しかもその説明がしどろもどろといった感じなのです。
つまりこういういきさつです。
 
 不開示決定が出たのは12月26日。その決定通知には「「平成24年2月9日江東区役所抗議記録」という文書名を特定したうえで不開示にした理由をこう述べています。

「保存年限経過により廃棄済のため不存在(条例第11号第2項)」




 記録の類(書類)はこれしかないというのに廃棄しているのは不自然だと思った筆者は、職員に尋ねました。

 「事件が終わっていないのに記録を廃棄するなど考えられない。保存年限はどうなっているのか、廃棄した証明はあるのか」

 職員は「保存年限は1年である」「文書のタイトルはない」「保存年限1年ではない」などとあいまいな答えを繰り返した結果、不開示決定を見直すということになったのです。そしてあらためて訂正の決定がなされ、きのう書類が届きました。


 そこにはこうありました。

 公文書件名「平成24年2月9日江東区役所への抗議の状況の一部を記録した編集途中のメモ(文書名なし)」

 不開示理由「未完成のまま編集途中で廃棄したため不存在(条例第11号第2項)
 






 いったん「保存年限」を理由に廃棄とした文書を、未完成を理由に廃棄したという理由に変えたのです。そして「完成」した記録はどこにも存在しません。記録をつくろうとして、途中でやめたことになります。しかも筆者に説明した職員によれば、この「未完成」の書類はワープロ打ちA4版3枚で、昨年春ごろまであったとのことです。緑と公園課の課長にもみせたともいっていました。

 公文書として役所内での事務に役立っていることは確かなようです。

 区役所には公文書に保存期限をつけて適正に管理する責任がありますが、手続きを取らずに廃棄したのではないか、あるいは本当は存在するのに「廃棄した」ことにした疑いも否定できません。

 告訴内容と記録が食い違うとか、なにか不都合なことが書かれていたのでしょうか。