朝ぼぉ~っとしていたところにゆきひめ様が遊びに来てくれました。
そして、そこで「ハッツ」たまにはお礼にSSをと思い立って(勝手に)浮かんだSSはこちら!
※そしてホットケーキの差し入れしてくださった方ありがとうございます!!
久しぶりのこの家に帰ってきたのに、まるで数日間外出していただけの様なそんな錯覚を覚えた。
ロケが長引いて2カ月ちかく日本を離れていたのに、何一つ変わらない。
穏やかに漂う優しい香り、数日前までここにいたような感覚。瞳を閉じるとこの香の主を簡単に思い出すことが出来た。
「・・・・あぁ・・早く会いたいな・・」
壁にかかっている時計に視線を向けると時刻は16時だ
まだ、この香の主が戻ってくるには早い時間・・・
それでもどうしても早く会いたいと思う気持ちが抑えられず、その存在を求めて部屋をウロウロし始める。
綺麗好きの彼女が痕跡を残しているともおもえず、自分の頭の中にいる彼女を想像してニヤリと笑った。
『敦賀さん・・ちゃんとご飯食べてくださいよ?』
心配そうな彼女が2カ月前に俺に言ったセリフ。昨日のことのように思い出せた。
『・・いってらっしゃい・今日の帰宅は何時ごろですか?』
そしていつも出かけるときにかけてくれる言葉、少し寂しそうな彼女の瞳に俺はキスを落とすのが日課だった。そんなことを思いながら寝室に入るとまるで誰も使っていと思わせるほど整った部屋に少しだけ寂しさを感じる。だが、それこそが彼女が部屋にいてくれた証だと自分に言い聞かせるように部屋の奥まで入った。
夕日が斜めに差し込むと、黄金の間のようにキラキラと輝いていた。
「・・・・綺麗だな・・」
前に彼女が言っていた言葉が頭を過る。
『敦賀さん・・この部屋夕日が入るとすごく綺麗なんですよ?見たことありませんよね?今度写真で撮っておきますね?』
確かにこの時間は、いつもだったら仕事だな・・・・
彼女が眠る側のベッドに腰掛けると鈴の音の様な声が聞こえた気がした。
『・・・・蓮・・』
その声に愛しさが募る
『・・・・愛しているわ・・・・忘れないで・・そうだ、蓮のために・・』
そういえば、2カ月前彼女はなんといっていただろう・・
「忘れないでね・・蓮・・」
あぁ・・そうだった・・・。
彼女が忘れないでくれと言った言葉をもう少しで忘れてしまうところだった。
蓮は嬉しそうに寝室を後にすると、その足で冷蔵庫に向かった。
そして忘れないでくれと言われた内容を思い出し、冷蔵庫をゆっくりと開くと、ヒンヤリとした空気と一緒に小さなカップケーキが現れた。
『I Love you』のコースターの文字の上にちょこんとのっているカップケーキ
『・・蓮・・忘れないでね・・・・付き合い始めて1周年・・早かったですね・・そうだ、蓮のために・・・・お祝いに何か作るから・・帰国したら冷蔵庫開けてね?』
食欲がすっかり失せていたはずなのに・・・・
彼女の手作りを見た瞬間に、空腹を感じるなんて・・
蓮はテーブルに可愛らしいカップケーキを運ぶと控えめな甘さのケーキを一口食べて笑みを浮かべた。
「・・・・あと4時間もすれば戻ってくるかな・・?」
そういいながら蓮は待ちきれずに彼女を迎えに行ったのは、それから30分後だった。